春は逝く

ちあきなおみ 春は逝く歌詞
1.さだめ川

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

明日のゆくえ さがしても
この眼に見えぬ さだめ川
あなたの愛の 流れるままに
ゆるした夜は 雨でした

二人の恋を 憎むよな
うわさが辛い さだめ川
故郷の町を 逃れる旅は
いずこの山が また海か

すべてを水に ながしては
生きて行けない さだめ川
あなたの愛に 次ぎの世までも
ついて行きたい 私です


2.船頭小唄

作詞:野口雨情
作曲:中山晋平

おれは河原の 枯れすゝき
おなじおまえも 枯れすゝき
どうせふたりは この世では
花の咲かない 枯れすゝき

死ぬも生きるも ねえおまえ
水の流れに なに変わる
俺もおまえも 利根川の
船の船頭で 暮らそうよ

枯れた真菰に 照らしてる
潮来出島の お月さん
わたしゃこれから 利根川の
船の船頭で 暮らすのよ

なぜに冷たい 吹く風が
枯れたすゝきの ふたりゆえ
熱い涙の出た時は
汲んでおくれよ お月さん


3.ゴンドラの唄

作詞:吉井勇
作曲:中山晋平

いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の明日は 無いものを

いのち短し 恋せよ乙女
いざ手をとりて かの船に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰も 来ぬものを

いのち短し 恋せよ乙女
黒髪の色 あせぬ間に
心の炎 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを


4.無情の夢

作詞:佐伯孝夫
作曲:佐々木俊一

あきらめましょうと
別れてみたが
何で忘りょう
忘らりょか
命をかけた
恋じゃもの
燃えて身をやく
恋ごころ

喜び去りて
残るは涙
何で生きよう
生きらりょか
身も世も捨てた
恋じゃもの
花にそむいて
男泣き


5.籠の鳥


6.流浪の旅

作詞:後藤紫雲
作曲:宮島啓二

流れ流れて、落ち行く先は
北はシベリヤ 南はジャバよ
いずこの土地を 墓場と定めん
いずこの土地の 土と終らん

昨日は東、今日は西と
流浪の旅は 何時までつづく
果なき海の 沖の中なる
島にでもよし 永住の地欲し

思えば哀れ、二十八の春に
親の御胸を 離れ来てより
過ぎ来し方を 思いて我は
遠き故郷の み空ぞ恋し


7.北帰行

作詞:宇多博
作曲:宇多博

窓は 夜露に濡れて
都 すでに遠のく
北へ帰る 旅人ひとり
涙 流れてやまず

夢は むなしく消えて
今日も 闇をさすろう
遠き想い はかなき希望(のぞみ)
恩愛(おんあい) 我を去りぬ

今は黙(もく)して行かん
なにを 又語るべき
さらば祖国 愛(いと)しき人よ
明日は いずこの町か


8.枯れ葦小唄

作詞:横井弘
作曲:細川潤一

風にさらさら 葦が鳴る
ともに俺らも 枯れる葦
なまじ情に 棹さして
泣いて流れるヨ
これが運命か 川育ち

水に写した 角かくし
それが別れの しるしかよ
どうせ嫁いで 行くのなら
なぜに俺らのヨ
舟に涙を 置いて行く

月にしょんぼり 枯れ落ちる
葦も俺らも 捨たれもの
せめてあの娘の 便りなど
棹にたぐってヨ
舟を支えに 生きるのさ


9.惜別の唄

作詞:島崎藤村
作曲:藤江英輔

遠き別れに たえかねて
この高殿に 登るかな
悲しむなかれ 我が友よ
旅の衣を ととのえよ

別れといえば 昔より
この人の世の 常なるを
流るる水を 眺むれば
夢恥かしき 涙かな

君がさやけき 瞳(め)のいろも
君紅(くれない)の 唇も
君が緑の 黒髪も
またいつか見ん この別れ


10.赤色エレジー

作詞:あがた森魚
作曲:八洲秀章

愛は愛とて 何になる
男一郎 まこととて
幸子の幸は どこにある
男一郎 ままよとて
昭和四年は 春の宵
桜吹雪けば 蝶も舞う

さみしかったわ どうしたの
お母さまの 夢みたね
オフトンもひとつ ほしいよね
いえいえこうして いられたら
あなたの口から サヨナラは
言えないことと 思ってた
裸電灯 舞踏会
踊りし日々は 走馬灯

幸子の幸は どこにある
愛は愛とて 何になる
男一郎 まこととて
幸子の幸は どこにある
男一郎 ままよとて
幸子と一郎の 物語
お涙ちょうだい ありがとう


11.昭和枯れすゝき

作詞:山田孝雄
作曲:むつひろし

貧しさに負けた いえ世間に負けた
この街も追われた
いっそきれいに 死のうか
力のかぎり生きたから
未練などないワ
花さえも咲かぬ 二人は枯れすゝき

踏まれても耐えた そう傷つきながら
淋しさをかみしめ
夢を持とうと 話した
幸せなんて望まぬが
人並みでいたい
流れ星みつめ 二人は枯れすゝき

この俺を捨てろ なぜこんなに好きよ
死ぬ時は一緒と
あの日決めたじゃ ないのよ
世間の風の冷たさに
こみあげる涙
苦しみに耐える 二人は枯れすすき