宵待ロマンチカ

みとせのりこ 宵待ロマンチカ歌詞
1.桜散ル夜~ハナチルヤ~

作詞:みとせのりこ
作曲:弘田佳孝

花匂う刹那 一夜を限り この夢に酔い痴れ
春の夜を謳歌(うた)え 月は果敢なく
夜天(そら)を翔けて 過ぎゆく

時代は徒に

栄華と闇夜の間(はざかい)に 運命綾なし
艶やかに 花は咲き乱れて
夜鳥(とり)啼交(か)わす刹那 一会を限り この美酒に酔い痴れ
楽の音に踊れ 紗(うすぎぬ)の闇
踏み惑いて 耀(かがよ)う

闇は徒に

揺らめく燭炎の陰翳(かげ)さして 紅霞む
密やかに 花は散り初めて
月満つる刹那 一夜を限り この虚構(うそ)に酔い痴れ
常の夜に狂え 遊蛾(ゆうが)果敢なく 燃えて尽きて

風馨(かお)る刹那 一期を限り この恋に酔い痴れ
春の夜に眠れ 薄紅の雪 降り注いで 彩る

罪は徒に


2.キネマモザイク~薔薇の筆跡~

作詞:みとせのりこ
作曲:吉野裕司

心はモザイク 世界は万華鏡
瞬きの間(はざま) 戀は映シ画の幻燈遊戯

七色に煌く欠片を指で
辿れば胸裏に浮かぶは惑い

玻璃窓に紗(うつ)した空は青に染みて
華と咲き誇れる春に 刹那の刻(とき)を競え

触れた指に微かに滲む 甘やかな痛み

心はさかしまに映る鏡像
言葉は消えるだけ 夢は果敢なき銀塩の虚像

しめやかにたゆとう春薔薇の名残
重ねたペイジの奥 深紅の筆跡

愛しき季節は足早に移ろいて
愁いに響くは懐かしき旋律(しらべ)

嗚呼、馨(かぐわ)しい 花咲くあの日々よ
風薫る野辺優し 遠い日の思ひ出

秘めしこの奥津城に刻んだ俤(おもかげ)

この世はモザイク 想いは映写機械(キネトスコォプ)
廻る歯車の音 時代(とき)は短き幻燈遊戯


3.ナヴィガートリア~北極星~

作詞:みとせのりこ
作曲:中河健

曇りの窓 ふわり ひとひら
白い欠片(かけら)が 舞い初(そ)む

凍てる綺羅(きら)の水晶 指に触れるたび
ゆるやかに解(ほど)ける 刹那の花

千の宵 千の欲望(ユメ)
降り積む過去(とき)のはざま
記憶の底繰り返す銀塩写真(フォトグラフィカ)

千の夜 千の翳
馨る闇は陽炎(かげろう)
迷ひ路(じ)の天(そら)に灯す星の燭(あかり)

日暮れの空 きらり ひとつぶ
星の欠片(かけら)が 瞬く

降りる宵闇の裾 頬に触れるたび
ひそやかに零れる 吐息の花

千の宵 千の幻想(ユメ)
儚い時代(とき)の波間
耳の底で繰り返す蓄音機(フォノグラフィア)

千の歌 千の風
浮かぶ月は十六夜(いざよい)
通ひ路の雲間照らす燭(しょく)の灯り

凍てる胸の薄氷(はくひょう) ひとつ触れるたび
秘めやかに彩づく 久遠の花

千の宵 千の夢
綾なす運命(とき)のはざま
眸の底繰り返す残像絵(ソォマトロォプ)

天に星 地には華
人の夢は泡沫
忘れじの俤(かげ)に結ぶ星の標

天に高く きらめく北極星(ナヴィガートリア)


4.天球トロイメライ

作詞:みとせのりこ
作曲:Dani

黄昏に 凍てる藍(あお)が
滲む 天(そら)の汀(みぎわ)

降りてくる 宵の垂帳
散りばめた玻璃玉(びいどろ)

言葉は星を 繋ぐように
曖昧な像(かたち)を みせても

この夜に 見上げた穹(そら)
描いた 未来(ゆめ)の欠片
重ねてく 青写眞(サイアノタイプ)
一つ星 結ぶ約束

硝子ごし 浮かぶ星座
指で辿りながら

恒星(ほし)の生命に 較べたなら
時代(とき)はただ刹那の 瞬き

宙(おおぞら)の 銀板へと
写した 記憶(ゆめ)の欠片
色褪せた 単色写眞(モノクログラフ)
思い出は 遠い囁き

天球は 廻る歯車
奏でる トロイメライ
螺子を捲く 時代(とき)の子午線
胸の奥 響くカリヨン


5.君知ル哉、此ノ華

作詞:みとせのりこ
作曲:弘田佳孝

煉瓦の舗道(みち)に黄昏色(セピア)の翳落ちたならば
瓦斯燈の火が きらり 夜に灯る

光も翳も希望も 綯い交ぜの街
片隅に咲く 君よ知るや この花の色
胸秘めし この花の香を

手風琴(ばんどねおん)の楽が路地に響いたなら
店(カフェー)の洋燈(らんぷ)が きらり 窓に灯る

刹那と耀う日々 繰り返す歳月(つき)
記憶は廻る時計仕掛け キネマトグラフ

果敢ない夢と詩を編んだ 泡沫の時代(とき)
けれども君よ、嗚呼知るや この花の名を
唯一つだけ君に捧ぐ 久遠の想い(はな)を


6.宵待ロマンチカ

作詞:みとせのりこ
作曲:みとせのりこ

戀せよ乙女

戀せよ乙女 花の生命は 短きものと嘯(うそぶ)いて
戀せよ乙女 花の色は 移りにけりな徒(いたづ)らに

貴方の聲を聴けば 夢でも一目逢いたくて
千々に乱れる胸に 灯す洋燈(あかり)の切なさよ

言葉に出来ぬ想いは 夜天(そら)を渡り行くわ

戀せよ乙女 やさしい人は 星の数ほどあろうとも
戀せよ乙女 月と仰ぐは 冷たい貴方ひとりだけ

貴方の姿(かげ)を追えば 眸はいつも囚われて
愛し心の枷に 零す涙の果敢無さよ

胸刺すこの痛みさえ 貴方がくれたものなら

夜色染まった窓に 揺らめく宵待ち月

戀せよ乙女 刻告げ鳥の 慈悲なき聲を欺いて
戀せよ乙女 胸裡の炎は 紅燃ゆる逆しまに

戀せよ乙女 花の生命は 短きものと嘯(うそぶ)いて
戀せよ乙女 花の色は 移りにけりな徒(いたづ)らに

嗚呼 満ちては欠ける月の微笑み
玲瓏の美しきその雫 降り注ぐ白露
届かぬ俤(かげ)を包む闇淵(やみわだ)