海がここに来るまで

伊勢正三 海がここに来るまで歌詞
1.ほんの短い夏

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

都会に星屑を ちりばめた
街の灯も いつかはにじむ時を
恐れていたよ 今夜の「おやすみ」は
いつもとは違うみたい
君は振り向かずに 人波に消えてく
ほんの短い夏 ささいなこと
分かり合えなくて
こんなになるはずじゃ ないのにどうして
いつものように 送ってとは言わないの

どこかに意地悪な
もう一人の 君がいて
ほんとの気持ちだけを 隠してしまうよ
最後の地下鉄が 街の下くぐり抜けて
君が僕の時計 遅らせたと知った
ほんの5分だけの 君の願い
ずっと気付かずに
君が言葉には 出来なっかたこと
僕は知らずに 季節は過ぎてゆくよ

ほんの短い夏
風を少し 冷たく感じた
こんなに好きなのは 分かってるくせに
いつものように 送ってとは言わないの
にじんだ夜を ひとり抱きしめたままで


2.レミングの街


3.さよならの到着便

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

遠く粉雪が降りる駐車場。
僕が指差すと、君は笑って、モノレールを選んだ。
君が東京へ戻ったその訳。
僕はおもわず、君の指を見て気付いてしまったけど、
さよならを一度君に言わせた僕に、
今君を慰めるそんな資格はなかった。
時はなぜ過ぎてしまったの?

冬の桟橋は灯り消えたクリスマスツリー、
工場の煙、螺旋の倉庫、淀む運河を見て、
ふっと懐かしいため息が出るなら、
忘れたはずの言葉は、今も悲しい膳物。
貨物船ばかり浮かべた港だって、
君とならいつまでもロマンティックな夜だった。
時はなぜ過ぎてしまったの?

僕は今、君と同じスピードだして、
離れずに走るから止まって見えるモノレール。
君はまだ気付いてくれない。


4.遠いロンリネス

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

「雪が積もり始めたら
暖かいのはなぜ?」
もしもそう尋ねてくれたら

「さよならの街の悲しい景色を
雪が塗りかえるから……」

ぼくはそう答えたくて
空を見上げた
君がマフラー外した

君の冷たい頬に
手をあてたときの
ときめき忘れそうで

やがて雪どけの
せせらぎの冷たさと
今は消えそうなあの頃の
ぼくのロンリネス

お互い隠し合っても
すぐに見つかるもの
恋とはあまりに無防備

そんな強がりの微笑みぎこちなく
君の背中を押せば

君はもう振り向かずに
タラップ駆け上がり
強くドアが閉まる

小さなエアポートの
君までの距離が
こんなに短くても

それは遠すぎて
届かない想い出と
今は戻れないあの頃の
ぼくのロンリネス

ぼくのポケットの中
今見てはダメと
写真を預けてゆく

それはいつまでも
変わらない想い出と
今は戻らないあの頃の
ぼくのロンリネス

今は届かないあの頃の
遠いロンリネス


5.有り得ない偶然


6.ジャンク・フード


7.N.Y.ムーヴメント


8.バルコニーの休日


9.夏の沈黙

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

まるで幼い少年のように
君の頬をそよぐ風になりたい

何も恐れず
雨上がりすぐに……
おろすような白い靴のままで

ふざけた 夏の沈黙
男と女の 七つの涙
傷つくことは かけひきじゃなく
流れて行く時のせい

都会の中の孤独なぼくらに
蝉の声が痛みすぎて分かる

白いシーツの
森を抜け出せば
君が僕と違う訳も分かる

起きぬけの君の あのあどけなさも
鏡に預けるように
二人の夏を 季節の風が
化粧して 恋も終わる

「旅行しよう…」って 君がつぶやく
も一度 二人の夢を捜しに
誰も知らない町を探しに
新しい恋を捜しに


10.このままずっと

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

今の君がなぜ
素敵に見えるのだろう
時が幾つか過ぎて
なぜ? 恋がやさしい嘘でも

まだ僕の胸に
灯り揺れるキャンドル
燃え尽きることもなく
あの日のままだよ

いつだって君は
流れて行く時間の
その先へ漕ぎ出して
すぐ答を捜してしまうの?

でも夕暮れには
安らぎと寂しさは
同じ素振りしてると
気付いたなら

飛び込んで
この胸に も一度
昔君がいた
心地良いこの場所へ

ああ今でもきっと
君の涙より
僕がそこへ戻れるもの
他にはないから

その捜し物が
見つからない時には
君の一番近く
なぜ? 捜すことをためらうの?

恐れているのは
せつなさのショーケース?
手のひらに取り出して
解き放てばいい

その長い髪が
風にまかれたあとの
落ち着く分かれ際を
今 無理して見つけなくても

そのままの君で
僕のそばにいるのが
一番素敵なこと
気付いたなら

飛び込んで
この胸に も一度
昔君が居た
あの日と同じ場所へ

ああこのままずっと
君の細い肩
そっと滑る指先から
思い出し始めて

ああこのままずっと
君の白い胸
僕の胸に響く鼓動
重なる時まで

ああこのままずっと……


11.時の化石

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

君と過ごした時間も
君に会えない時間の彼方へと
流れて行く僕の胸

その砂時計壊して
そっと一粒の時を
いつまでも抱きしめていたい

夜は美しく
朝はいとしさで
この胸を埋め尽くした

夜にまぎれても
星がこぼれても
時は流れるばかりで

僕はこのままで
ずっとこのままで
時の化石になる

光の底を覗いて
そのひとかけら見つけた
そんな奇跡が起きるよいつの日か

愛を疑えば愛は
そのひとときの幻
信じる扉への階段

永遠の時を
刻む水晶に
願えば叶うと言うけど

君に逢いたくて
ずっと逢えなくて
時は流れるばかりで

僕はこのままで
ずっとこのままで
時の化石になるだけ

街のざわめきが
街の静けさが
君を忘れさせなくて

僕はこのままで
ずっとこのままで
時の化石になるだけ

夜にまぎれても
星がこぼれても
時は流れるばかりで

僕はこのままで
ずっとこのままで
時の化石になるだけ


12.涙憶