拓郎ヒストリー

吉田拓郎 拓郎ヒストリー歌詞
1.イメージの詩

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

これこそはと 信じれるものが
この世にあるだろうか
信じるものがあったとしても
信じないそぶり
悲しい涙を流している人は
きれいなものでしょうね
涙をこらえて 笑っている人は
きれいなものでしょうね

男はどうして 女を求めて
さまよっているんだろう
女はどうして 男を求めて
着飾っているんだろう
いいかげんな奴らと 口をあわして
俺は歩いていたい
いいかげんな奴らも 口をあわして
俺と歩くだろう

たたかい続ける人の心を
誰もがわかってるなら
たたかい続ける人の心は
あんなには 燃えないだろう
傷つけあうのが こわかった昔は
遠い過去のこと
人には人を傷つける力があったんだろう

吹きぬける風のような
俺の住む世界へ
一度はおいでよ
荒れはてた大地にチッポケな花を一つ
咲かせておこう
俺もきっと君のいる太陽のあるところへ
行ってみるよ
そして きっと言うだろう
来てみて良かった 君がいるから

長い長い坂を登って
後を見てごらん
誰もいないだろう
長い長い坂をおりて
後を見てごらん
皆が上で手を振るさ

きどったしぐさが したかったあんた
鏡を見てごらん
きどったあんたが映ってるじゃないか
あんたは立派な人さ

激しい激しい恋をしている俺は
いったい誰のもの
自分じゃ 言いたいのさ
君だけの俺だと 君だけのものだと
裏切りの恋の中で
俺は一人もがいている
はじめから だますつもりでいたのかい
僕の恋人よ

古い船には新しい水夫が
乗り込んで行くだろう
古い船を 今 動かせるのは
古い水夫じゃないだろう
なぜなら古い船も 新しい船のように
新しい海へ出る
古い水夫は知っているのさ
新しい海のこわさを

いったい
俺たちの魂のふるさとってのは
どこにあるんだろうか
自然に帰れって言うことは
どう言うことなんだろうか
誰かが言ってたぜ
俺は人間として自然に生きてるんだと
自然に生きてるって
わかるなんて
何んて不自然なんだろう

孤独をいつの間にか
さびしがりやと感違いして
キザなセリフをならべたてる
そんな自分をみた

悲しい男と悲しい女の
いつもひとりごと
それでもいつかは
いつものように 慰めあっている


2.マークII

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

さよならが 言えないで どこまでも歩いたね
街あかりさえ消えて 足音が淋しいよ
わかってくれる ただ一人の君を はなしたくないのに
冷たいこの世界

みつめたら 泣いていた いとおしい君だった
悲しみをこらえてる 傷ついた若い恋
また会うときは 大人になっているだろう 別れたくないのに
冷たいこの世界

年老いた男が 川面を見つめて
時の流れを 知る日が 来るだろうか


3.今日までそして明日から

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかの力を借りて
時にはだれかにしがみついて
わたしは今日まで 生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと

わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかをあざ笑って
時にはだれかにおびやかされて
わたしは今日まで生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと

わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかにうらぎられて
時にはだれかと手をとり合って
わたしは今日まで生きてみました
そして今 わたしは思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと

わたしにはわたしの生き方がある
それはおそらく自分というものを
知るところから始まるものでしょう
けれど それにしたって
どこで どう変わってしまうか
そうです わからないまま生きて行く
明日からの そんなわたしです

わたしは今日まで生きてみました
わたしは今日まで生きてみました
わたしは今日まで生きてみました

そして今 わたしは思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと


4.青春の詩

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

喫茶店に彼女とふたりで入って
コーヒーを注文すること
ああ それが青春

映画館に彼女とふたりで入って
彼女の手をにぎること
ああ それが青春

繁華街で前を行く
いかした女の娘をひっかけること
ああ それが青春

すてきな女(ひと)に口もきけないで
ラブレターを書いたりすること
ああ それが青春

Go Go クラブで汗だくになって
踊り疲れること
ああ それが青春

グループサウンズに熱中して
大声あげ 叫ぶこと
ああ それが青春

フォークソングにしびれてしまって
反戦歌をうたうこと
ああ それが青春

SEXを知りはじめて大人になったと
大よろこびすること
ああ それが青春

親にかくれて酒・タバコ・睡眠薬
はては接着剤シンナー遊び
ああ それも青春

アルバイトばっかりで学校へは行かず
てきとうにやること
ああ それが青春

飛行機のっとり革命叫び
血と汗にまみれること
ああ それが青春

勉強一筋他には目もくれず
わが道を行くこと
ああ それが青春

スポーツこそ男の根性づくりだ
やれサッカーやれ野球一年中まっ黒
それが青春

かっこいいスーツ かっこいい車
プレイボーイ プレイガールと呼ばれること
ああ それが青春

パチンコ・マージャン・競輪・競馬
かけごと専門のギャンブラー
ああ それが青春

一日中を規則通りに生きて
他に何んにもしないこと
ああ それが青春

ジュリー! ショーケン! キンチャン!
ああ それが青春

孤独になって ひとりで悩み
ひとりで考えること
ああ それが青春

自由気ままに思った通り
何んでもやってみること
ああ それが青春

さて青春とはいったい何んだろう
その答えは人それぞれでちがうだろう
ただひとつこれだけは言えるだろう
僕たちは大人より時間が多い
大人よりたくさんの時間を持っている
大人があと30年生きるなら
僕たちはあと50年生きるだろう
この貴重なひとときを僕たちは
何かをしないではいられない
この貴重なひとときを僕たちは
青春と呼んでもいいだろう
青春は二度とは帰ってこない
皆さん青春を……

今このひとときも 僕の青春


5.ともだち

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

やるせない 思いを胸に
友だちは 去りました
今日という 日のくることは
さけられぬ ことだったのでしょう

友だちは 遥かな旅路に
今いちど たたないかと
手をとって ふるえる声で
言ったけど あきらめたのでしょう

果てしなく 広がる夢と
自由とが ほしかった
あてのない 長い道でも
何かしら 信じてたのでしょう

今日の日は私にとっては
届かない 彼でした
ふりかえる ことすら忘れて
友だちが こわかったのでしょう

汽車に乗る 後姿が
友だちを 語ってた
いくたびか こみあげてくる
悲しみも こらえてたのでしょう

傷つけることはしたくない
優しさがわかりすぎて
バカヤロウ って言ってほしかった
それだけを 言い忘れたのでしょう


6.夏休み

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

麦わら帽子は もう消えた
たんぼの蛙は もう消えた
それでも待ってる 夏休み

姉さん先生 もういない
きれいな先生 もういない
それでも待ってる 夏休み

絵日記つけてた 夏休み
花火を買ってた 夏休み
指おり待ってた 夏休み

畑のとんぼは どこ行った
あの時逃がして あげたのに
ひとりで待ってた 夏休み

西瓜を食べてた 夏休み
水まきしたっけ 夏休み
ひまわり 夕立 せみの声


7.旅の宿

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

浴衣のきみは尾花の簪
熱燗徳利の首つまんで
もういっぱいいかがなんて
みょうに色っぽいね

ぼくはぼくで趺坐をかいて
きみの頬と耳はまっかっか
ああ風流だなんて
ひとつ俳句でもひねって

部屋の灯をすっかり消して
風呂あがりの髪いい香り
上弦の月だったっけ
ひさしぶりだね
月みるなんて

ぼくはすっかり酔っちまって
きみの膝枕にうっとり
もう飲みすぎちまって
きみを抱く気にもなれないみたい


8.春だったね

作詞:田口淑子
作曲:吉田拓郎

僕を忘れた頃に
君を忘れられない
そんな僕の手紙がつく

くもりガラスの窓をたたいて
君の時計をとめてみたい
あゝ僕の時計はあの時のまま
風に吹きあげられたほこりの中
二人の声も消えてしまった
あゝ あれは春だったね

僕が思い出になる頃に
君を思い出にできない
そんな僕の手紙がつく

風に揺れるタンポポをそえて
君の涙をふいてあげたい
あゝ僕の涙はあの時のまま
広い河原の土手の上を
ふり返りながら走った
あゝ あれは春だったね

僕を忘れた頃に
君を忘れられない
そんな僕の手紙がつく

くもりガラスの窓をたたいて
君の時計をとめてみたい
あゝ僕の時計はあの時のまま
風に吹きあげられたほこりの中
二人の声も消えてしまった
あゝ あれは春だったんだね


9.おきざりにした悲しみは

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

生きてゆくのは ああ みっともないさ
あいつが死んだ時も
おいらは飲んだくれてた
そうさ おいらも罪人のひとりさ
ああ また あの悲しみを
おきざりにしたまま

まつりごとなど もう問わないさ
気になることといえば
今をどうするかだ
そうさ あいつとうまくやらなければ
ああ また あの悲しみを
おきざりにしたまま

おまえだけは もう裏切らないさ
激しさが色褪せても
やさしさだけ抱きしめて
そうさ おまえは女だからね
ああ また あの悲しみを
おきざりにしたまま

おきざりにした あの悲しみは
葬るところ
どこにもないさ
ああ おきざりにした あの生きざまは
夜の寝床に抱いてゆくさ

ああ おきざりにした あの生きざまは
夜の寝床に抱いてゆくさ


10.暑中見舞い

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

こんなに遠くの海に来ています
こんなに遠くの海に来ています
彼女は鼻の頭まで皮が剥けて
おまけに化粧もしてないけど
とってもよく笑うんです
暑中御見舞申し上げます
暑中御見舞申し上げます

君と幸子さんも元気ですか
愛するところはきみのアパートですか
公園はみょうに薄暗く秘密めいてて
おまけに誰かにどこかで見られてるみたいでいやですね
暑中御見舞申し上げます
暑中御見舞申し上げます

陰口言ってる人もいるでしょうね
長い休暇をとりました
休んでいると落着かないってのは
知らぬうちに病んでるんですね
もっときれいになりたいんです
暑中御見舞申し上げます
暑中御見舞申し上げます

子供のように笑えないけれど
なにも考えず 駆けて 叫んで それから跳んで
なにも考えず なにも考えず
きれいに笑っていたいんです
暑中御見舞申し上げます
暑中御見舞申し上げます


11.ビートルズが教えてくれた

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

髪と髭をのばして ボロを着ることは簡単だ
うじうじと吹き溜りのスナックで
腕を組みながら
考え深そうな顔をするのも楽にできる
日陰ばかりを好んでいては
いじけてしまうんだぜ
もっと陽気であっていいんじゃないか
もっと陽気でもいいんじゃないか

勲章を与えてくれるなら
女王陛下からもらってしまおう
女王陛下はいい女だから
つきあってみたいと思う
それも自由だとビートルズは教えてくれた

くれるものはもらってしまえ
欲しいものはものにしたい
その代わり捨てるのも勝手さ
もらうも捨てるも勝手さ

ビートルズが教えてくれた
ビートルズが教えてくれた
ビートルズが

人が幸せになるのを
批判する権利は誰にもない
みんな 幸せになっていいんだ
人に迷惑さえかけなければね

ビートルズが教えてくれた
ビートルズが教えてくれた
ビートルズが

ビートルズが教えてくれた
ビートルズが教えてくれた
ビートルズが


12.落陽

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

しぼったばかりの夕陽の赤が 水平線からもれている
苫小牧発・仙台行きフェリー
あのじいさんときたら わざわざ見送ってくれたよ
おまけにテープをひろってね 女の子みたいにさ
みやげにもらったサイコロふたつ 手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に 陽が沈んでゆく

女や酒よりサイコロ好きで すってんてんのあのじいさん
あんたこそが正直ものさ
この国ときたら 賭けるものなどないさ
だからこうして漂うだけ
みやげにもらったサイコロふたつ 手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に 陽が沈んでゆく

サイコロころがしあり金なくし フーテン暮らしのあのじいさん
どこかで会おう 生きていてくれ
ろくでなしの男たち 身を持ちくずしちまった
男の話を聞かせてよ サイコロころがして
みやげにもらったサイコロふたつ 手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に 陽が沈んでゆく


13.野の仏


14.ひらひら

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

喫茶店に行けば今日もまた
見出し人間の群れが
押し合いへし合い つつきあっているよ
恋の都合がうまくいくのは お互いの話じゃなくて
見知らぬ他人の噂話
お笑い草だ お笑い草だ
ああ 誰もかれもチンドン屋
おいらもひらひら お前もひらひら
あいつもひらひら 日本中ひらひら
ちょいとマッチを擦りゃあ 火傷をしそうな
そんな頼りないつき合いさ

ラッシュ・アワーをごらんよ今朝もまた
見出し人間の群れが
押し合い へし合い でかけて行くよ
商売・取引うまく行くのは ほんとの話じゃなくて
どこかで仕入れた噂話
用心しろよ 用心しろよ
ああ そのうち 君もねらわれる
おいらもひらひら お前もひらひら
あいつもひらひら 日本中ひらひら
ちょいとマッチを擦りゃあ 燃えてしまいそうな
そんな頼りない世の中さ

おいらもひらひら お前もひらひら
あいつもひらひら 日本中ひらひら


15.シンシア

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

なつかしい人や 町をたずねて
汽車を降りてみても
目に写るものは 時の流れだけ
心がくだけて行く
帰ってゆく場所もないのなら
行きずりのふれあいで
なぐさめ合うのもいいさ
シンシア そんな時 シンシア 君の声が
戻っておいでよと唄ってる
君の部屋のカーテンやカーペットは
色あせてはいないかい

人ごみにかくれて 肩をすぼめて
自分を見つめた時
過ぎ去った夢が くずれ落ちる
長い夜が終わる
夜空は町に落ち 人々が
笑いながら通りすぎる
あの日と同じ所を
シンシア そんな時 シンシア 君の声が
戻っておいでよと唄ってる
君の部屋に僕一人居てもいいかい
朝を待つのがこわいから

シンシア 帰る場所も シンシア ないのなら
シンシア 君の腕で シンシア 眠りたい


16.人生を語らず

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

朝日が 昇るから
起きるんじゃなくて
目覚める時だから 旅をする
教えられるものに 別れを告げて
届かないものを 身近に感じて
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

嵐の中に 人の姿を見たら
消えいるような 叫びをきこう
わかり合うよりは たしかめ合う事だ
季節のめぐる中で 今日をたしかめる
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

あの人のための 自分などと言わず
あの人のために 去り行く事だ
空を飛ぶ事よりは 地をはうために
口を閉ざすんだ 臆病者として
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

おそすぎる事はない 早すぎる冬よりも
始発電車は行け 風を切ってすすめ
目の前のコップの水を ひと息にのみほせば
傷もいえるし それからでもおそくない
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

今はまだまだ 人生を語らず
目の前にも まだ道はなし
越えるものは すべて手さぐりの中で
見知らぬ旅人に 夢よ多かれ
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず


17.となりの町のお嬢さん

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

となりの町のお嬢さんが
僕の故郷(くに)へやって来た
都会の香りふりまいて
夢を見させてくれたんだ
好きになっちまったんだよ
はじめて知った口紅の味
僕の胸は はりさけそう
月夜の晩に誘われて
大人になると 決めたんだ
長い髪は 夜露にぬれて
蒼い月がかわいい女(ひと)の
エクボの上でゆれてるよ

となりの町のお嬢さんに
僕は心も 捧げたい
忘れることは出来ないよ
白い胸で 眠りたい
好きになっちまったんだよ
すてきな君は町の人だ
いつか帰ると知ってるさ
切符を二枚 買っちまえばいい
二人で恋の汽車ポッポ
夜風が君のうなじをみせる
おもわず僕はかわいい女(ひと)の
くびれた腰を抱きしめる

となりの町のお嬢さんは
僕を残して行っちゃった
約束よりも早い汽車で
何も言わずに帰ったよ
きらいになっちまったのかョ
となりの町の風に乗って
そんなうわさを耳にした
お嫁に行って しまったんだね
娘心と秋の空
海辺の町は夏の終わりと
すっぱい恋で ミカン色に
知らんふりして 暮れて行く
となりの町のお嬢さんは
今年の夏の忘れ物


18.明日に向って走れ

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

流れる雲を追いかけながら
本当のことを話してみたい
いつか失った怒りを胸に
別れを祝おう
通りすがりに微笑みを持ち
一人である事を忘れた時
ノアの箱舟が笑って消えた
誰のせいじゃなく
もう君に逢うこともない 心はゆれても
だから
明日に向って走れ こぶしを握りしめて

扉を開けたら いつもの笑顔
約束だから 散歩もしよう
夢は消えたんだ そよ吹く風よ
人は悲しいね
求めあう愛は いつも届かず
残り火だけに体を寄せて
つかれた横顔いつもの唄
さよならだけだと
ほらおなじみの友が来たよ 何か話せよと
だけど
明日に向って走れ 言葉をつくろう前に

季節が僕をはこぶ
一日を抱きしめながら
この肩の重き罪を
明日はとき放て

だから
明日に向って走れ こぶしを握りしめて


19.たえこMY LOVE

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

たえこ MY LOVE 雨の中を
踊るように 消えていった
馬鹿な人ね あんたって男
たえこ 君の最後の言葉

一人で 生きてみせるなんて
君を許す 誰かがいても
若かった頃の自由さが 今も
僕に嘘をつくなと叫ぶ OH-
だから たえこ MY LOVE
追いかけるんだ 君を

たえこ MY LOVE すべてを捨てて
生きる為に 生きて欲しかった
君の胸を いつもよぎる昔
話相手は もういらなかったね

涙は きのう枯れてしまって
笑顔は 別れの為にあって
好きになった 僕の心をはねつける
愛を告げる愚かさが もどかしい
だけど たえこ MY LOVE OH-
想い出になんかしないよ

ある日 男と女が出会い
出会いだけで 恋に落ちても
男は明日を 女は昨日を
それぞれの言葉の中で かみしめていた
この世の果まで 行きつく事のない二人

たえこ MY LOVE 君を追って
雲の上に 僕も旅立つよ
事実が伝わらぬ世界
そうさ たえこ 僕も馬鹿な男

たえこ MY LOVE
たえこ MY LOVE


20.あゝ青春

作詞:松本隆
作曲:吉田拓郎

ひとつひとりじゃ淋しすぎる
ふたりじゃ息さえもつまる部屋
みっつ見果てぬ夢に破れ
酔いつぶれ夜風と踊る街
哀しみばかりかぞえて 今日も暮れてゆく

あゝ青春は 燃える陽炎か
あゝ青春は 燃える陽炎か

いつつ生きてる後味悪さ
胸に噛みしめれば泣ける海
やっつやめるさ抱きあっても
こころは遠ざかる安い宿
眠れぬ夜をかぞえて 日々は過ぎてゆく

あゝ青春は 燃える陽炎か
あゝ青春は 燃える陽炎か…


21.言葉

作詞:松本隆
作曲:吉田拓郎

電話の声は ささやきまじり
ごめん起こしてしまったんだね
いま他愛ないやりとりのあと
ぼくは一言闇に浮かべた
「愛してる」

月並みすぎる一言だけど
他にどうにも言い方がない
静けさのあと驚く君が
時を両手でもて余してる
「愛してる」

そう三ヶ月悩んで来たよ
そして最後の三日は苦しみ
心の奥の暗い迷路で
たった五文字の道しるべ見た
「愛してる」

君は未来をこわがっているし
ぼくは過去へと縛られている
こんな何処にも転がっている
言葉が一番重いんだなんて
「愛してる」

預かっとくってそう言うんだね
ぼくの言葉を鳥カゴに入れちまって
そうさ君の部屋のガラス箱に入れて
ゆっくりながめて見るんだね
「愛してる」

こわい言葉を言ってしまった
もう友だちで居られないんだよ
人生さえも塗り替えるほど
こわい言葉を言ってしまった
「愛してる」


22.外は白い雪の夜

作詞:松本隆
作曲:吉田拓郎

大事な話が君にあるんだ 本など読まずに 今聞いてくれ
ぼくたち何年つきあったろうか 最初に出逢った場所もここだね
感のするどい 君だから 何を話すか わかっているね
傷つけあって 生きるより なぐさめあって 別れよう

だから Bye-bye Love 外は白い雪の夜
Bye-bye Love 外は白い雪の夜

あなたが電話で この店の名を 教えた時からわかっていたの
今夜で別れと知っていながら
シャワーを浴びたの哀しいでしょう
サヨナラの文字を作るのに 煙草何本並べればいい
せめて最後の一本を あなた喫うまで 居させてね

だけど Bye-bye Love 外は白い雪の夜
Bye-bye Love 外は白い雪の夜

客さえまばらなテーブルの椅子 昔はあんなににぎわったのに
ぼくたち知らない人から見れば
仲のいい恋人みたいじゃないか
女はいつでも ふた通りさ 男を縛る強い女と
男にすがる弱虫と 君は両方だったよね

だけど Bye-bye Love 外は白い雪の夜
Bye-bye Love 外は白い雪の夜

あなたの瞳に私が映る 涙で汚れてひどい顔でしょう
最後の最後の化粧するから 私を綺麗な想い出にして
席を立つのはあなたから 後姿を見たいから
いつもあなたの影を踏み 歩いた癖が 直らない

だけど Bye-bye Love 外は白い雪の夜
Bye-bye Love 外は白い雪の夜

Bye-bye Love そして誰もいなくなった
Bye-bye Love そして誰もいなくなった


23.冷たい雨が降っている

作詞:松本隆
作曲:吉田拓郎

冷たい雨が降っている
冷たい雨が降っている
指をふるわせ 髪を氷らせ
冷たい雨が降っている

どの位歩いただろう
海岸線の縁取りを背に
夏色の船が岬へ沈むのを
君と見たよね

好きでも無いし嫌いでも無い
ぼくたち 見知らぬ他人のようだ

ねぇ 貝殻になりたいね
海の深くで眠りたい
殻が守ってくれるだろう
ねぇ 貝殻になりたいね

君は少女の詩
ぼくのひざには男の詩集
君は言葉のナイフを深々と
胸に刺したね

好きでも無いし嫌いでも無い
心が痛いよ 楽にしてくれ

9月の海に雨が降る
波と雨とが入れ替わり
空と海とが溶けあって
9月の海に雨が降る

ぼくがいまこのまま
荒れくるう海に抜き手きったら
君はこのボート小屋から「素敵よ」って
声をかけてよ

好きでも無いし嫌いでも無い
フルだけフリなよ フラれてやるさ

冷たい雨が降っている
冷たい雨が降っている
この世界中 びしょぬれにして
冷たい雨が降っている


24.流星

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

たとえば僕が まちがっていても
正直だった 悲しさがあるから……流れて行く
静けさにまさる 強さは無くて
言葉の中では何を 待てばいい……流れて行く
たしかな事など 何も無く ただひたすらに 君が好き
夢はまぶしく 木もれ陽透かす 少女の黒髪 もどかしく
君の欲しいものは何ですか 君の欲しいものは何ですか

さりげない日々に つまずいた僕は
星を数える 男になったよ……流れて行く
遠い人からの 誘いはあでやかで
だけど訪ねさまよう風にも 乗り遅れ……流れて行く

心をどこか 忘れもの ただそれだけで つまはじき
幸福だとは 言わないが 不幸ぶるのは がらじゃない
君の欲しいものは何ですか 君の欲しいものは何ですか

流れる星は 今がきれいで ただそれだけに 悲しくて
流れる星は かすかに消える 思い出なんか 残さないで
君の欲しいものは何ですか 僕の欲しかったものは何ですか


25.知識

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

どこへいこうと勝手だし
何をしようと勝手なんだ
髪の毛を切るのもいいだろう
気疲れするのは自分なんだ

うまくやるのもいいものだ
おいしいものには味がある
おしつけられたら逃げてやれ
気にする程の奴じゃない

人を語れば世を語る
語りつくしてみるがいいさ
理屈ばかりをブラ下げて
首が飛んでも血も出まい

言葉をみんな食い荒らし
知識のみがまかり通る
一人になるのに理由がいるか
理由があるから生きるのか

自由を語るな不自由な顔で
君は若いと言うつもりかい
年功序列は古いなどと
かんばんだけの知識人よ

人を語れば世を語る
語りつくしてみるがいいさ
理屈ばかりをブラ下げて
首が飛んでも血も出まい


26.虹の魚

作詞:松本隆
作曲:吉田拓郎

枯れ葉ごしに山の道をたどってゆけば
水の音が涼しそうと背伸びする君
底の石が透ける水に 右手をひたせば
虹のように魚の影 君が指さす

虹鱒よ 身重の身体で
虹鱒よ 川を逆のぼり
ほとばしる命を見せてくれるのか

青春とは時の流れ 激しい流れ
苦しくても 息切れても 泳ぐしかない
苦しくても 息切れても 泳ぐしかない

溪を渡る橋の下は養魚場だね
網で川を右左にせきとめてる
人は何てひどい仕打ちするのだろうか
魚たちはここで 長い旅終えるのか

虹鱒よ 身重の身体で
虹鱒よ 川を逆のぼり
ほとばしる命がくやしいだろうね

青春とは 時の流れ 激しい流れ
打ちのめされ 傷ついても 生きるしかない
打ちのめされ 傷ついても 生きるしかない


27.この指とまれ

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

この指とまれ この指とまれ

君のまわりは変じゃないか
何か気づいた事ないか
あいつはいつもの 笑顔でいるけど
胸の中にまたひとつ やばい事隠してる
友達づらして 手招きするけど
俺ら あいつを見捨てたよ

この指とまれ この指とまれ
ガキの遊びじゃあるまいに
俺ら お先にチョイトゴメン
俺ら お先にチョイトゴメン

信じることは義理じゃない
人の自由って何だったい
言葉たくみな奴等も だけどすべてにおさなくて
あやつるつもりが 気づいたら不自由で
出まかせ言うな 愛など語るな
俺ら とにかく 大キライだね

この指とまれ この指とまれ
甘いケーキは食えないよ
俺ら 明日にチョイトゴメン
俺ら 明日にチョイトゴメン

浮かれてるのは誰だってさ
やましいこともあるもんだ
逃げたからって アンタなんかに
ひきょうだなんて言わせないぜ
外の景色も人の心も 変わってきたけど
人間なんだ 忘れちゃこまるよ
俺ら 気ままでいいんじゃないか

この指とまれ この指とまれ
なぐさめもないのに
俺ら とにかくチョイトゴメン
俺ら とにかくチョイトゴメン

この指とまれ この指とまれ
この指とまれ この指とまれ


28.唇をかみしめて

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

ええかげんな奴じゃけ
ほっといてくれんさい
アンタと一緒に
泣きとうはありません

どこへ行くんネ
何かエエ事あったんネ
住む気になったら
手紙でも出しんさいや

季節もいくつか
訪ねて来たろうが
時が行くのもワカラン位に
目まぐるしかったんじゃ
人が好きやけネー 人が好きやけネー

さばくもさばかんも 空に任したんヨー

人がおるんヨネー 人がそこにおるんヨネー

何かはワカラン
足りんものが あったけん
生きてみたんも
許される事じゃろう

自分の明日さえ
目に写りもせんけれど
おせっかいな奴やと
笑わんといてくれ

理屈で愛など
手にできるもんならば
この身をかけても すべてを捨てても
幸福になってやる
人が泣くんヨネー 人が泣くんヨネー

選ぶも選ばれんも 風に任したんヨー

人がおるんヨネー 人がそこにおるんヨネー

心が寒すぎて
旅にも出れなんだ
アンタは行きんさい 遠くへ行きんさい
何もなかったんじゃけん
人が呼びよるネー 人が呼びよるネー

行くんもとどまるも それぞれの道なんヨ

人が生きとるネー 人がそこで生きとるネー

人がおるんヨネー 人がそこにおるんヨネー


29.旧友再会フォーエバーヤング

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

久しぶりに逢えたのだから つもる話もかずかずあるけど
何だか胸がしめつけられて
あなただけとにかく元気でなによりです

結婚してから十年になり 子供に追われる暮らしの中で
男の夢だけ捨て切れません
目の前のマッターホルンがまだなのです

あゝあの頃よりは少し あゝ歳もとりました だけど
時には無邪気に はしゃいでみたいと
フォーエバーヤング フォーエバーヤング

僕はといえば時計にはじかれ 灰色の街に吸い込まれている
今日一日の照れ笑いのすべてを
ビールの泡と一緒に飲みほしてます

若かった頃が一番きれいでしょう 煙草をやめたりむやみに走ったり
そんな毎日が立派だなんて 魂が熱くならなきゃ恥ずかしいだけ

あゝあの頃よりは少し あゝ歳もとりました だけど
時には男だと 肩いからして
フォーエバーヤング フォーエバーヤング

あゝあなたの様な生き方も あゝ私の様な毎日も
人生なんだと 言えるでしょうか
随分歩いて来たようで 夢につまづいた日々に追われる
フォーエバーヤング フォーエバーヤング


30.友あり

作詞:康珍化
作曲:吉田拓郎

生まれた時から 旅に出る
男に生まれたおれたちは
夢の途中で すれちがい
あれから何年 たっただろう
飲め飲め友よ まだ夜はあけぬ
友あり友あり おれに友あり

時代の流れに棹差して
なんにも恐れぬヒゲ面が
惚れた女に惚れてると
どうして言えずに涙ぐむ
飲め飲め友よ まだガキでいい
友あり友あり おれに友あり

花火みたいに 生きる奴
黙って山をのぼる奴
誰かに道をゆずる奴
みんな夢追う 風になれ
飲め飲め友よ 月夜に吠えろ
友あり友あり おれに友あり

空の神さまよ 聞こえるか
おれの頼みを聞いてるか
おれの大事な友達を
いつでも遠くで 見ててくれ
飲め飲め友よ まだ夜はあけぬ
友あり友あり おれに友あり

飲め飲め友よ 月夜に吠えろ
友あり友あり おれに友あり
友あり友あり おれに友あり


31.海を泳ぐ男

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

あんまり 夜が滲みるから
闇にまぎれて ハネてみる

やさしくするのは 悪くない
顰めっ顔は似合わない

あの頃 急いだ 人生が
今はしみじみ なつかしい

時代は変わったそうだから
君のうしろに 僕はいる

世界をナナメに 泳がない
僕等は 胸にしみている

若さが街に 流れこみ
遠い記憶と口づける

かしこい事など ウソだから
少しくらいは いさましく

幾千万の経験は
夢のかけらが 消えたあと

時代は 変わったそうだから
何かが古くなって行く

いきがらないでも よくなった
僕等は 胸にしみている

ありのままで いればいい
こだわる程のことじゃない
あれはみんな 陽炎だったから
今は少し滲みるさ この胸に


32.とんと御無沙汰

作詞:阿木燿子
作曲:吉田拓郎

慌ただしい時に追われ
孤独にさえ気付かない夜
人は嘘を自分につき
年のせいにしてみたりする
とんと御無沙汰 どうしてました?
気にはしてても ついつい気後れ 憶病風
外は雨 外は雪 外は晴 外は鬼
とんと御無沙汰 ぼくの内なる恋心

春の猫は庭を駆けて
恋の相手 探しています
胸がチクリ疼いたなら
ときめくこと してみましょうよ
とんと御無沙汰 こちらの方は
運動不足 もともと生来 横着者
外は月 外は風 外は花 外は春
とんと御無沙汰 ぼくの内なる夢見人
ぼくの内なる恋心


33.永遠の嘘をついてくれ

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

ニューヨークは粉雪の中らしい
成田からの便は まだまにあうだろうか
片っぱしから友達に借りまくれば
けっして行けない場所でもないだろう ニューヨークぐらい

なのに 永遠の嘘を聞きたくて 今日もまだこの街で酔っている
永遠の嘘を聞きたくて 今はまだ二人とも旅の途中だと
君よ 永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ なにもかも愛ゆえのことだったと言ってくれ

この国を見限ってやるのは俺のほうだと
追われながらほざいた友からの手紙には
上海の裏街で病んでいると
見知らぬ誰かの 下手な代筆文字

なのに 永遠の嘘をつきたくて 探しには来るなと結んでいる
永遠の嘘をつきたくて 今はまだ僕たちは旅の途中だと
君よ 永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 一度は夢を見せてくれた君じゃないか

傷ついた獣たちは最後の力で牙をむく
放っておいてくれと最後の力で嘘をつく
嘘をつけ永遠のさよならのかわりに
やりきれない事実のかわりに

たとえ くり返し何故と尋ねても 振り払え風のようにあざやかに
人はみな望む答えだけを 聞けるまで尋ね続けてしまうものだから
君よ 永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 出会わなければよかった人などないと笑ってくれ

君よ 永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 出会わなければよかった人などないと笑ってくれ