暫存

坂本冬美 暫存歌詞
1.呼人駅

(よびとえき)
作詞:池田充男
作曲:船村徹

あれは二月 真冬で
流氷だけで 最果ては…
なんにも無かった
凍れてた 待っているのが
愛の証と 信じてよかった
呼人駅 やつれていないか
あのひとは 高まるこの胸に
三秒 一秒
近づく列車の 汽笛がしみる

鏡ばしを渡って 笑顔になって
あのひとが… わたしのところに
いま帰る 好きなすずらん
袖にかくして 迎えに佇む
呼人駅 線路のむこうは オホーツク
ご苦労さまでした お帰りなさいと
かもめよおまえも 迎えにきたのね
呼人はちいさな 無人駅
死んでもこの命 離しちゃ嫌だと
すがって泣きたい 涙のままに


2.万祝(まいわい)

作詞:星野哲郎
作曲:猪俣公章

十年一度の 大漁を
待ってこの道 三十年
きたぞきました 万祝舟が
神輿かついで 港へ入る
今日は万祝 浜祭り
ハァ マダイ クロダイ アコウダイ
コブダイ マツダイ キンメダイ
メデタイ ノミタイ イワイタイ

網元さんより 贈られた
大漁祝いの この晴れ着
藍の木綿に 鶴亀染めた
仕立ておろしの 万祝着れば
乙姫さまも ひと目惚れ
ハァ キタイ ミセタイ キカセタイ
アイタイ アゲタイ アマエタイ
メデタイ ヨイタイ オドリタイ

楽して笑えば あとで泣く
苦労して待つ 宝船
どんときました 笑顔の花が
三つ重ねた この盃に
映す男の 晴れ姿
ハァ チダイ アオダイ サクラダイ
ヒメダイ ハマダイ クルマダイ
メデタイ アゲタイ ウタイタイ


3.薄荷煙草

作詞:阿久悠
作曲:大野克夫

腰までのびた長い髪
両手でけだるくかき上げて
時に悲しい口笛を
吹いたあの娘はもういない

なんてこの世はさびしいと
季節はずれの波の音
なんてこの世はさびしいと
薄荷煙草のうそ寒さ

あんな無口なやせた娘が
酔って朝まで踊ってた
わけをきく間もないうちに
姿見せなくなっていた

※なんてこの世はさびしいと
背中たたいて風の音
なんてこの世はさびしいと
薄荷煙草のうそ寒さ※

(※くり返し)


4.夢ほたる

作詞:里村龍一
作曲:猪俣公章

青春のいのちを無駄にして
俺に埋れて 生きるやつ
路地裏二階の間借りの部屋で
遅い帰りの 俺を待つ
お前は俺の お前は俺の
こころの奥に
やすらぎ点す 夢ほたる

肩身せばめて ただ一人
寒い世間に 耐えている
おまえが命の半分だよと
抱けば涙で すがりつく
お前は俺の お前は俺の
こころの冬を
温めてくれる 夢ほたる

裏街の花屋にベゴニアの
色がこぼれて 春日和
返らぬ昔を振り向くよりも
ふたり飛ぼうかもう一度
お前は俺の お前は俺の
こころの空に
明日を運ぶ 夢ほたる


5.乱~らん~

作詞:阿久悠
作曲:宇崎竜童

(セリフ)恋なんて乱れてナンボのものでございます

花一輪 散らしたら
いのちを奪うと同じこと
そんな心も持たないで
恋を玩具にしている男

髪が逆立つ ルージュが溶ける
胸の嵐を吹き出すように
恋は一途と身をよじる

乱れ 乱れて あなたが欲しい
乱れ 乱れて あなたが欲しい

夢うつつの日々の果て
男と女の恋地獄
それが運命と知ったなら
ともに堕ちてもいいじゃない

外は夜桜 二十日の月が
蒼く照らして舞台を作り
恋の女を待ちわびる

乱れ 乱れて あなたが欲しい
乱れ 乱れて あなたが欲しい

乱れ 乱れて あなたが欲しい
乱れ 乱れて あなたが欲しい

乱れ 乱れて あなたが欲しい
乱れ 乱れて あなたが欲しい


6.想夫恋(そうふれん)

作詞:永井龍雲
作曲:永井龍雲

もしもお前が男だったら
天下取るよな 器量の男
そんな言葉の溜め息ついた
貴方の 辛さ弱さ解るけど
私が一生賭けて 惚れた人だから
愚痴る酒より 夢見る酒を
大きな男でいてほしい

強く見えても 女は女
口で言うのと 心は違う
些細な気持ちに躓く夜は
震える 身体ずっと抱いていて
親の反対押して惚れた人だから
責める酒より 許せる酒を
優しい男でいてほしい

男三十路は 小僧と同じ
女三十路に 咲く情け花
他人を踏むよな 出世なら要らぬ
言い切る 潔さが いとおしい
この人ならと信じ 惚れた人だから
食らう酒より 味わう酒を
粋な男でいてほしい

粋な男でいてほしい


7.日々是好日

作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童

心に響けば すべて景色は絵葉書
短い言葉を添え つい誰かに自慢したくなる
子猫の欠伸も 風と雲のマラソンも
見慣れてるはずなのに 今日は何故か輝いてる
お元気ですか 逢いたいですね
一押しの話題ならば 素敵でしょう
明け方にあなたの夢 見たことかしら
照る日 曇る日 あなた想う日 日々是好日

小さな優しさ それに偶然出逢うと
オレンジ色に胸がほんのりして得をした気分
誰かの親切 別に私にじゃなくても
有り難うと言いたい そんな気持ちにさせてくれて
お元気ですか 嬉しいですね
たった今信じ合える そのことが
あなたとは例え遠く 離れていても
照る日 曇る日 愛が芽吹く日 日々是好日

照る日 曇る日 心弾む日 日々是好日


8.待ったなしだよ人生は

作詞:多野亮
作曲:四方章人

弱音はいたら 勝ち目はないさ
ここは一番 ふんばりどころ
やると決めたら どこまでも
曲げてなるかよ この道を
待ったなしだよ 人生は
そうだその気で やってみろ

二度や三度の つまづきなどに
負けて泣いたら 世間が笑う
何をくよくよ してなさる
よそ見している 時じゃない
待ったなしだよ 人生は
いいさ苦労も おつなもの

向かい風でも 後ろは向くな
いつかお前の 時代が来るぞ
ぐっと唇 かみしめて
なげた笑顔が 華になる
待ったなしだよ 人生は
くぐる浮世の 九十九折り


9.白鷺物語(ニューヴォーカルヴァージョン)

作詞:松井由利夫
作曲:猪俣公章

あなたの影を 踏まないように
わざと遅れて 二足三足
ひと目を気にする 哀しいくせが
いつか いつしか 沁みついた
なさけ深川 流れ月
ゆれて くずれる 水鏡

逢うのもさだめ 別れもさだめ
粋がいのちの 江戸友禅に
おんなの一分を さらしてみても
花も咲かない つりしのぶ
なさけ深川 それも愚痴
好きで選んだ 人だもの

木の香が匂う あなたの背中
木遣くずしが こぼれる路地を
いいのよ こうして 歩けるだけで
こころ辰巳の 東下駄
なさけ深川 白鷺が
啼いて ひと声 飛んでゆく


10.一二三(ひふみ)小唄

作詞:松井由利夫
作曲:聖川湧

柳がくれの 大川に
紅い灯りが 一、二、三
水にこぼれて ゆらゆらと
ちょいと気になる 舟の中
くわえ煙管の チョイト 船頭さん
見張りはしっかり エー たのんだよ

三味線は二上り 三下り
粋な音〆が 一、二、三
唄にさそわれ 河岸づたい
窓に影絵の 恋千鳥
野暮はおよしよ チョイト おにいさん
なりゆきまかせで エー いいじゃないか

なさけ頬杖 酒しずく
もらすため息 一、二、三
もののはずみと 言うけれど
胸に飛び火の 川開き
なぜに逢わせた チョイト お月さん
こうなりゃ後へは エー 引くもんか


11.あばれ太鼓 ~無法一代入り~

作詞:たかたかし
作曲:猪俣公章

どうせ死ぬときゃ 裸じゃないか
あれも夢なら これも夢
愚痴はいうまい 玄界そだち
男命を 情にかけて
たたく太鼓の あばれ打ち

あれは玄海 黒潮が 風に逆巻く 波音か
それとも祇園の 夏祭り 響く太鼓の あばれ打ち
赤いほおずき 提灯に ゆれて絡んだ 恋の糸
花なら桜木 松五郎 ドンと断ちきる 勇み駒
右とおもえば また左 ばちとばちとが 火を吹けば
早瀬飛び散る 波しぶき 意地なら腕なら 度胸なら
無法一代 男伊達

櫓太鼓の 灯(あかし)がゆれて
揃い浴衣の 夏がゆく
ばちのさばきは 人には負けぬ
なんでさばけぬ 男のこころ
小倉名代は 無法松


12.さがの路だより

作詞:もず唱平
作曲:猪俣公章

その後お変わり ございませんか
お身を案じて おりますと
他人行儀な 言葉をつらね
涙で絵葉書 出す女
ここは さがの路 旅の宿
どこの お寺の 鐘なのか
人恋しさに 鳴りまする

あなた様には二年と三月
世話を焼かせる ことばかり
何のお礼も 出来ないままに
お暇乞(いとまご)いのみ 申します
秋のさがの路 なぜ悲し
恋にはぐれて 女郎化
はらはら風に 散りまする

所番地も差し出し人も
名さえ書かない 便りなら
きっとお宅じゃ 間抜けな人と
嘲(わら)ってすませて くれるでしょ
時雨さがの路 ひとり旅
明日(あした)発とうか やめようか
うつろな心 揺れまする


13.シバテン小唄

作詞:星野哲郎
作曲:猪俣公章

ひとりでするのが 片想い
さんにんするのが みつどもえ
よにんでするのが ババヌキで
ふたりでするのが おすもうさん

なんども なんども とりかえて
それでも コリずに またかえて
真実求める 旅なのに
ひとは浮気と 指をさす

力を力で 押さえても
かえって怨みが たまるだけ
押さえていいのは ただひとつ
愡れた女の 泣きどころ

ビールをのむ人 浮気もの
ウイスキーのむ人 尻軽で
日本酒のむ人 遊び人
こんな話は きいたことない

だめだめ だめだめ してはだめ
のみすぎ ためすぎ あそびすぎ
やりすぎ仕事に はげみすぎ
してもよいのは つくしすぎ


14.日本海ブルース

作詞:池田充男
作曲:猪俣公章

ざんざざんざと 浪が散る
ひゅるるひゅるると 風が泣く
岬越前 日本海
はぐれ鴎か 俺はひとり旅

灯りともした 花街で
赤い蛇の目の 女を見た
しのぶおまえの 面影よ
宵の金沢 細雪(さゝめゆき)が舞う

ホタテ肴(さかな)の 熱爛が
じんとしみたぜ 輪島では
酔ってうつろに 見る地図の
魚津 直江津 あとは夢ん中

おけさ踊りで 俺を待つ
佐渡は荒海 なさけ島
一と夜添寝の ぬくもりを
抱いて夜明けの わかれ船にのる

宿にころがり まくら酒
汽車にゆられて 憂(うれ)い酒
ながれ男が 目になみだ
男鹿の彼方に 赤い陽がしずむ

だれが願いを かけたやら
化粧地蔵(けしょうぢぞう)に 花一輪
歌もせつない 十三湖(じゅうさんこ)
旅の終りが 果てがもう近い

津軽海峡 竜飛崎
沖で夜どおし 呼ぶ霧笛
海も明日は 晴れるだろ
さらば乾杯 俺の日本海


15.忍

作詞:松井由利夫
作曲:猪俣公章

表(おもて)ばかりじゃ 世間は見えぬ
言葉だけでは 心は読めぬ
拗(す)ねる気持は さらさらないが
意地と情けの 合(あ)わせ貝(がい)
夢を鳴らすにゃ 重(おも)すぎる

握りこぶしを 血の出るほどに
噛んで見上げる 片割(かたわ)れ月に
消したつもりの 浅黄(あさぎ)の単衣(ひとえ)
揺れる小柳(こやなぎ) 袋小路(ふくろこじ)
せめて怨むな この俺を

浮世花道 汚れる役(やく)が
いなきゃ泣かせる 芝居にゃならぬ
「忍」(にん)の一(ひと)文字 背中に刻(きざ)み
時(とき)の流れに 棹さして
俺は男で 生きて行く


16.蛍草

作詞:坂口照幸
作曲:猪俣公章

俺でいいのか 悔やんでないか
つぶしのきかない 男でも
つらい時ほど 陽気に流す
いつもおまえにゃ 借りばかり
蛍草 蛍草
何を迷って ここで咲く

酔えば近くに 見えてた夢が
醒めたらどうして 遠去かる
長い足踏み 続いたけれど
それもおまえと 出逢うまで
蛍草 蛍草
花の素顔が 目に泌みる

渡しそびれた 指輪を見つめ
寝ているおまえの 手に飾る
何もないから いたわり合える
ほほにひとすじ 夜の露
蛍草 蛍草
俺と一生ここで咲け


17.港町愛歌

作詞:池田充男
作曲:猪俣公章

函館は 出船 入船わかれ町
りらという娘が 泣いている
船の汽笛を 聞かない素ぶり
すてられて酔いどれて うなだれて
なみだ酒

横浜は 霧が似合いのみれん町
ぬれてネオンの 灯も赤い
吐息ふきかけ おまえの胸は
かもめだと言いながら 抱いたひと
どこにいる

長崎は 石のたゝみとおんな町
きょうも下ります この坂を
船を待ってる つらさでしょうか
赤い傘ひとつさえ 手に重い
恋しぐれ


18.弁天小僧

作詞:佐伯孝夫
作曲:吉田正

牡丹の様な お嬢さん
シッポ出すぜと 浜松屋
二の腕かけた 彫物の
桜にからむ 緋縮緬
しらざァいって 聞かせやしょう
オット俺らァ
弁天小僧菊之助

以前をいやァ 江の島で
年期づとめの お稚児さん
くすねる銭も だんだんに
とうとう島を 追われ鳥
噂に高い 白波の
オット俺らァ
五人男のきれはしさ

着なれた花の 振袖で
髪も島田に 由比ヶ浜
だましてとった 百両も
男とばれちゃ 仕方がねえ
つき出しなせえ どこへなと
オットどっこい
サラシは一本切ってきた

素肌に燃える 長襦袢
縞の羽織を 南郷に
着せかけられて 帰りしな
にっこり被る 豆しぼり
鎌倉無宿 島育ち
オットどっこい
女にしたい菊之助


19.思秋期

作詞:阿久悠
作曲:三木たかし

足音もなく行き過ぎた
季節をひとり見送って
はらはら涙あふれる 私十八

無口だけれどあたたかい
心を持ったあのひとの
別れの言葉抱きしめ やがて十九に

心ゆれる秋になって 涙もろい私
青春はこわれもの 愛しても傷つき
青春は忘れもの 過ぎてから気がつく

ふとしたことではじめての
くちづけをしたあのひとは
ごめんといったそれっきり 声もかけない

卒業式の前の日に
心を告げに来たひとは
私の悩む顔見て 肩をすぼめた

誰も彼も通り過ぎて 二度とここへ来ない
青春はこわれもの 愛しても傷つき
青春は忘れもの 過ぎてから気がつく

ひとりで紅茶のみながら
絵葉書なんか書いている
お元気ですかみなさん
いつか逢いましょう

無邪気な春の語らいや
はなやぐ夏のいたずらや
笑いころげたあれこれ 思う秋の日


20.秘恋~松五郎の恋~

作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

小春日和の 愛縁坂を
今年もあなたに 逢いたくて
日傘をさしていそいそと 寺詣り
姓は富島 名は松五郎
実らぬ恋を 胸に秘め
黙ってわたしを あゝささえてくれた人

秘めた想いは わたしもおなじ
許されぬ夢と あきらめて
心に鍵をかけたまま あの夏の
ふたり眺めた 海峡花火
あなたの情(こころ) 知りながら
女になれない あゝこの身がつらかった

白い蝶々が お墓のまえに
どこから来たのか ひらひらと
手向けた花に愛しげに まといつく
きっとあなたね 松五郎さんね
わたしの胸に とまってよ
この世で叶わぬ あゝ想いをとげましょう
―とげましょう