ほんの二つで死んでゆく

小椋佳 ほんの二つで死んでゆく歌詞
1.西の空だけが

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

あぁ ある日見えてくる
とてつもなく高い高い
へいの中で走りまわる 僕ら

あぁ まるい輪をかいて
おしくらまんじゅう汗にかすむ
へいの色はあざわらいの 僕ら

まるで空だけが
西の空だけが
かすかにあこがれ色を
見せているようだ


2.オナカの大きな王子さま

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

オナカの大きな王子さま
白いお洋服がやぶれそうだよーォ
金のボタンもとれそうだよー

魔法使いが持ってきた
空とぶじゅうたんはとばないんかなーァ
今夜のごちそうやめとこうかな

今日はペルシャと中国の
とってもおいしいお料理だってさーァ
ちょっとだけなら食べようかな

オナカの大きな王子さま
いつまでたっても食べてるんだねーェ
お料理がぜんぶなくなりそうだよー

オナカの大きな王子さま
空とぶじゅうたんに乗りたいなーァ
お料理もぜんぶ食べたいなー


3.海辺の恋

作詞:佐藤春夫
作曲:小椋佳

こぼれ松葉をかきあつめ
をとめのごとき君なりき
こぼれ松葉に火をはなち
わらべごときわれなりき

わらべとをめよりそひね
ただたまゆら火をかこみ
うれしくふたり手をとりぬ
かなひきことをただ夢み

入り日の中に立つけぶり
ありやなしやとただほのか
海べのこひのはかなさは
こぼれ松葉の火なりけむ


4.ぼうやおねむり

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

静かな夜空に星が見守る
しじまのどこかに唄がきこえる
あたたかなママのかいなに抱かれて
いこいの夢路へぼうやおねむり
あなたを初めて見た時の
パパの瞳のかがやき
うれしくてうれしくてママは泣いたわ

故郷へ帰る鳥が渡る
もうすぐどこかで春が生まれる
あたたかなママのかいなに抱かれて
いこいの夢路へぼうやおねむり
あなたをじっとみていると
天使のような気がする
しあわせでしあわせでまぶたが熱いわ

いこいの夢路へぼうやおねむり
いこいの夢路へぼうや一緒に


5.公園に来て

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

わずかばかりの緑にも 日だまりと日かげがある
公園に来て俺達は ひとときのやすらぎをさがす
しばらくはこうして 止まった時間をみていよう

まねのできない笑顔して ヨチヨチと幼な児がいる
公園に来て君達は 公園をひとりじめしてる
遠くないところに いつだって母親が見ている

ふりかえることもなく にぎやかに娘達がゆく
公園に来て幸せが その先にまってるように
さむざむとその道を 戻った少女には気づかない

いってはならない真実をくわえ
見なれぬ小鳥が飛んでゆく

朝の雨にあぶれた 日雇いのおじさんがいる
公園に来て昼休み 背広着た勤め人五人
あわれみとけいべつ そして又うらやむ目でみてる

ぬるい日ざし受けてる べンチに老人がひとり
公園に来てまるいあめ 一日中なめつづけている
かみくだいてみたくは ないのかといたずら小僧め

いってはならない真実をくわえ
見なれぬ小鳥がとんでゆく

わずかばかりの緑にも 日だまりと日だまりと日かげがある
公園に来て俺達は ひとときのやすらぎをさがす
しばらくはこうして 止まった時間をみていよう


6.帰り道急ごう

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

たどり来た道のりを思いおこし
その胸の時計の逆まわし 急ごう
きずきあげた積木細工のもどかしさ

ポケットにかくしたカエルの子
泣く気持ちすぐ解るあの頃に 急ごう
確かにあった宝ものだった ふたつない

昼下がり始めたかくれんぼ
いつまでも見つけられない泣きべそ鬼よ 急ごう
夕焼け色がまだ残っているよ 帰り道


7.同情(あわれみ)

作詞:塚原将
作曲:小椋佳

花の散ることは淋しいことなのだが
花の散ることは誰でも知っていて
やがて実のなる頃には
すっかり忘れてしまうのに
ほんの短い時間が
余りにひっそりとする為に
情深い偽善者が
深刻な顔で腕をくむ

その実を口にする時
誰が花のことまで想い出すものか
ただ
甘ずっぱいと思うだけで
所詮 同情なんてそんなもの

可哀そうにと涙ぐんでる目に
花は満開の季節だ


8.風車まわれ

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

母のいない留守は つまらない
1人オモチャ箱を さがすとき
目についた 風車

そとは風がふいて さむそうな
羽根がひとつなくて 冬の日に
かじかんだ 風車

まわれ まわれ 風車
幼な子の瞳がかがやくよ

赤と青と黄色 きみどりも
きれいだよ 風車

羽根をとおりぬけて音がする
うれしいな風車

まわれ まわれ 風車
幼な子の瞳がかがやくよ

午后の日ざしに 風がやみそうな
音も色もなぜか さみしげに
止まりそう 風車

まわれ まわれ 風車
幼な子はいつかかけだすよ

かけないと止まりそう
かけないと止まりそう

まわれ まわれ
まわれ まわれ
幼な子がいききらしかけてゆく


9.ほんの二つで死んでゆく

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

池よりも湖よりも海よりも
深い涙を知るために
あなたのサヨナラ言うのです
人の世のおとぎ話をかき集め
ほんの二つで死んで行く
あなたのまわりをかざりたい

月よりも太陽よりも星よりも
遠くはるかな旅をして
あなたをさがして呼ぶでしょう
雨がふる僕はしずくをかき集め
ほんの二つで死んで行く
あなたの小舟を浮かべたい

はかない運命に死ぬ時も
ゆりかごにゆれているように


10.暇つぶし以上に

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

借りてきたばかりの上に
自分のしあわせのせてる
あなたが僕には悲しい

ポリエチレンの袋の中に
想い出をみんな捨ててる
あなたが僕には悲しい

暇つぶし以上に何をしていますか
暇つぶし以上に何をしていますか

風がすぎされば風の中に
気まぐれのうわさを探してる
あなたが僕には悲しい

知ったかぶりした顔のうらで
いつだって他人をせめている
あなたが僕には悲しい

暇つぶし以上に何をしていますか
暇つぶし以上に何をしていますか

たらいで生まれて おけの中まで
何もわからず生きてる
時の流れが悲しい

暇つぶし以上に何をしていますか
暇つぶし以上に何をしていますか
暇つぶし以上に何をしていますか
暇つぶし以上に何をしていますか


11.風は過ぎ人も過ぎ

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

風も過ぎ星も過ぎ
時は過ぎ人も過ぎ
かわいた心持ち
悔いもなくさすらう

海の色遠くはるかに
その果ては空に重なり
空の色はどこまでも青く
どこまでも青い世界に
諸人は夢の小鳥を
離した日々をいつか忘れ

風も過ぎ星も過ぎ
時は過ぎ人も過ぎ
かわいた心持ち
悔いもなくさすらう

いつの日か友とうたった
わらべ唄 故郷の山
素足ぬらした あの小川は
せせらぎにそっと浮かべた
笹舟の明日の生命の
知る由ないそのはかなさ

風も過ぎ星も過ぎ
時は過ぎ人も過ぎ
かわいた心持ち
悔いもなくさすらう

はかなきは人の言葉よ
恋人は愛の言葉を
せめての頼りに 限りつくし
限りなき旅を続けて
山彦の返す間もなく
今 又明日の 旅支度よ
ラ……… ラ……… ラ………


12.子供らの明日

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

言うことが多すぎて何も言えないとき
自分でうそをついて少しも気づかないとき
子供らの明日は 未来で
私達の明日が ただの別の日で
とじ込められた路地裏さえも
子供らの舞台はまわる

待つことが多すぎて何も見えないとき
夕暮れに寄りかかり心寒いとき
子供らの明日は 未来で
私達の明日が ただの別の日で
祭の音に太鼓 笛の音
子供らの心は踊る

知ることが多すぎて何も知らないとき
時間がまたすぎて自分は進まないとき
子供らの明日は 未来で
私達の明日が ただの別の日で
言葉も知らぬ幼な児さえも
数え唄 手を打ち唄う

子供らの明日は 未来で
私達の明日が ただの別の日で

子供らの明日は 未来で
私達の明日が ただの別の日で


13.僕達の進軍

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

ルルル……ルルルル
うすもやに包まれて
何もみえなくなる
そんな日が誰にでも一度はある
一度はある

ルルル……ルルルル
立ち止まり振りむいて
呼びかけてみても
想い出はちぎれ雲 さまよい飛ぶ
さまよい飛ぶ

ラララ……ララララ
気がつけば遠くから
足音が聞こえる
さわやかな轟は 子供らの歌だ
子供らの歌だ

ラララ……ララララ
ためらいも とまどいも
疑うこともなく
足並みも足どりも 思いのままに
思いのままに

ラララ……ララララ
時をうつ鐘の音を
はるか通りぬけて
透き通る歌声が 今僕をおおう
今僕をおおう

ラララ……ララララ
うすもやに包まれて
何もみえなくなる
そんな日になつかしい 子供らの歌が
子供らの歌が

ラララ……ララララ
ラララ……ララララ