蒼白シスフェリア

少女病 蒼白シスフェリア歌詞
1.瓦礫の終音

作詞:少女病
作曲:ピクセルビー

「どうして選ばれたのか?」
そんな問いに意味など ないと識っても
心痛は消えることなく 時計の針は廻る...

「この世界には、不死なる5人の魔女がいる。
それぞれが異なる神に見出され、人から成りし存在。
神を信仰する人々はその力に畏怖し、崇めた」

「蒼白の果てで紡がれる、心優しい少年と一人の魔女の物語」

褪せた日々は淀み 怠惰に溺れる
血塗られた月夜は穢れ 無垢な衝動、翳して

変わらぬ忠誠 誓いし下僕たる少女(Servant) シルエラ
すべてを委ねた偏愛は永遠に 虚構を壊す

「どうして選ばれたのか?」
そんな問いに意味など ないと識っても
心痛は消えることなく 残されたのはただ魔力だけ

遠い過去の約束 まだ人間だったあの日
未来を誓った 夕暮れ(Abend)
ah...幼い恋 叶うことなくて――――

「あたしがまだ人だった頃、小さな恋をしていた。
でも、あたしはもう――――!
手荒になってもいい。あいつをここから遠ざけて」

「お望みのままに」

昏い悦楽にも 精神を傾け
狂おしいほど愚かで 無慈悲な魔女、演じた
不老に近い 存在を(Sein) 愛し焦がれた シルエラ

近づく信奉者すべてを排し 独占し続ける

いつか選ばれたのが
必然であるような 錯角に酔う
消えゆく感情 確かに
あんなに傍にあったはずなのに......

姿だけは変わらずとも 変わり果て血に濡れた
「もう、あの頃のあたしなんかじゃない......!」

「お前が主を惑わせる。消えてなくなれ!」

「どうしてここまで来たの......?」
変わらぬその瞳が ただ眩しくて
哀れな自らを晒すのは 決して赦されない
ここにいるのは“魔女”だけだから

「魔女に偏愛を抱く少女は命令を自らに都合よく捻じ曲げ、
少年の命をも狙う」

「嫉妬... 狂気... 殺意...」

「負の感情の羅列は、死という結果のみを追い求めていた。
声の... 音の... 歌の連なりは、彼らを翻弄するように空へ
と溶けて......」

「音が聞こえる。 これは、世界が軋む音――――」


2.lunatic...

作詞:少女病
作曲:ピクセルビー

交錯する想い達 重なる死の刃
欺いては切り裂いた 過去への寂寥感

闇に沈んだ魔女に 光はいらない

lunatic... 歪んだ螺旋にいつしか囚われてる
シルエラは無力な 自らを呪う
罪深く染まる日々に すべてを委ね 想いを貫く

「戦う理由なんてどこにもないはずなのに。
命令されたって、何かの間違いじゃ……?」

「黙れ。間違いがあるとしたら、
それはお前がここにきたことだけ。
愚かで……汚らわしい男。追い払うだけなんて生温い。
私が――――殺してあげる」

ぶつかり合い狂い咲く 不可避の対話(deialogos)
傷つけずに 身を守る少年

体躯を伝う殺意 虚ろな衝撃

lunatic... 瞳の向こうに求めた存在は
等しいはずでも ah...鍵は合わず……

(繋ぎとめるため)そして(取り戻すため)二人は揺れる

果ての無い回廊 駈けるように
綻びかけた 現在を過去を未来を 求め続けて ah...

lunatic... 渇いた魂は不遜に寵愛求める
シルエラは幼稚な 自らを嘲笑う
紅蓮に飾った日々に すべてを委ね 想いを貫く

「少女の持つナイフが少年の首筋に突き立てられる刹那、
自らの身を呈して遮ったのは、蒼白の魔女」

「それは、初めて感じる痛みを伴って。
二度目にして最後の決別は、一瞬のことのはずなのに、
永い夢の中にいるようで……。
口元から鮮血が流れるままに口づけをし、
少年に小さな魔法をかける」


3.Celestial Blue

作詞:少女病
作曲:ピクセルビー

「目覚めたのは、白雨の降りしきる小高い丘。
辺りに人影はなく、ただ唇に暖かな温もりだけが残されていて。
僕はどうしてここにいるのだろう。
やっと会えたのに、一緒に帰ろうって伝えることもできず。
ここで何があったのだろう。
シスは、別れ際に耳元で何事か囁いていた。
けれどそれがどうしても、思いだせなくて――――」

初めて出会った その瞬間から
想いは決まっていたのかな?
幸せって言葉の象徴は
疑う余地なく、キミの存在だった

色んなことが変わってしまって
二人離れてしまったけれど
まだ変わらないモノも 確かにあるはずだから

出会わなければ なんて 後悔した夜もあった
蒼白の空は遠すぎて いつまでも 届かない気がして

忘れられたら なんて 思い悩む時もあった
けれど奥底に包まれた 想いに嘘はつけない...

濡れているのは瞳だけじゃなくて
小粒の白雨は全て洗い落とすように いつからだろう
降りつづけてた

「二人の思い出を消し去ろう。
あたしという存在に囚われることなどなく、
全て忘れて幸せに生きられるように。
二人はここで別れ、もう二度と出会うことはない」

「囁かれたのは、そんな悲しい魔法。
魔女と下僕は倒れ伏す少年を置き、静かにその場を後にした」

ぼやけた思考は 痛み残し

鮮明に切り開かれた
蒼ざめた魔女の優しい魔法は
かかることはなく、言葉だけが残された

たとえば、誰もが幸せになれる
結末なんて望めなくても
キミの心だけが ねぇ、泣いて終わるなんて...

昔みたいに なんて 簡単には言えないけれど
蒼白のキミに伝えたい いつまでも 忘れたりしないって

白雨に霞む 空が ただ切なく思えるのは
寂しい風景その下の どこかにキミがいるから...

「ありがとうなんて感情が、まだあたしにもあったんだ。
でも、これで本当のさよならにしよう……?ね」

傷つき 傷つけ 遠ざけて
なぜ... ? シスフェリア
誓った未来は今でも
褪せることはなく この胸にあるよ...

「少年にかけられた小さな魔法。
シスフェリアとの思い出が消えてしまうこと。
幸せに生きられるように、ということ。
その二つの魔法は相反し、
少年の中で両立することは不可能だった。
彼女との記憶を忘れてしまうことは、
少年にとって何一つ幸せなんかじゃなくて。
魔法はその想いの強さに掻き消され、無効化されていた。
少年は、再び旅路をゆく。
次会えたときは、今度は自分から再会の口づけをするのだと、
心に誓って……」

「蒼白の果て。
それがどんなに遠くても、いつかきっと――――」