岡晴夫ベストセレクション2007

岡晴夫 岡晴夫ベストセレクション2007歌詞
1.国境の春

作詞:松村又一
作曲:上原げんと

遠い故郷は はや春なれど
ここはソ満の 国境(くにざかい)
春と云うても 名のみの春よ
今日も吹雪に 日が暮れて
流れ果なき アムールよ

ペチカ燃やして ウォッカ汲(く)めば
窓に流れる バラライカ
祖国離れて 旅する身には
なぜか心に しみじみと
響くやさしの セレナーデ

たとえ荒野(あれの)に 粉雪降れど
やがて花咲く 春じゃもの
咲けよオゴニカ 真赤に咲けよ
燃ゆる血潮の この胸に
明日の希望の 花よ咲け


2.上海の花売り娘

作詞:川俣栄一
作曲:上原げんと

紅いランタン 仄かにゆれる
宵の上海 花売り娘
誰のかたみか 可愛いい耳輪
じっと見つめりゃ 優しい瞳
ああ上海の 花売り娘

霧の夕べも 小雨の宵も
港上海 花売り娘
白い花篭 ピンクのリボン
襦子も懐かし 黄色の小靴
ああ上海の 花売り娘

星も胡弓も 琥珀の酒も
夢の上海 花売り娘
パイプくわえた マドロス達の
ふかす煙りの 消えゆく影に
ああ上海の 花売り娘


3.港シャンソン

作詞:内田つとむ
作曲:上原げんと

赤いランタン 夜霧に濡れて
ジャズがむせぶよ 阜頭の風に
明日は出船だ 七つの海だ
別れ煙草は ほろにがい

泣いてくれるな 可愛い瞳よ
どうせ船乗り 波風まかせ
明日はどこやら 鴎の仲間
青い海みて くらすのさ

暗い波止場に 今鳴るドラは
どこの船やら 三本マスト
せめて今宵は しみじみ酔おうか
海は涯ない 旅ぢゃもの


4.広東の花売娘

作詞:佐藤惣之助
作曲:上原げんと

紅の雲 黄金(きん)にかゞやく 港広東
埠頭(バンド)をゆくよ 花売り娘
可愛い前髪 ひすいの耳環
花を召しませ 南国の甘い花よ

水の面(も)に 燈火かゞやく夢の広東
流れて燃ゆる フラワーボート
漕げよ舳舟反(サンパン) 胡弓の調べ
花を召しませ 月の夜に薫る花よ

七色に ネオン輝く夜の広東
ホテルの窓に ギターのひびき
霧にぬれてる フランス・ブリッジ
花を召しませ 青春の紅い花よ


5.南京の花売娘

作詞:佐藤惣之助
作曲:上原げんと

みどりの光よ たそがれよ
呼べば来る 花篭さげて
純な瞳よ 南京娘
花はいかが 嬉しい花 楽しい花
ゆれてほのかに
涙ぐむよな 花のいのちよ

流れの画舫(がぼう)よ 夕月よ
水に散る うたげの夢に
濡れるまつ毛よ 南京娘
花はいかが 優しい花 悲しい花
白いジャスミン
すすり泣くよな 花のこころよ

乙女の匂いよ 茉莉花(まつりか)よ
空に照る こがねの星に
何をささやく 南京娘
花はいかが 愛(いと)しい花 あなたの華
雨も降らぬに
ほろり散るよな 花のすがたよ


6.パラオ恋しや

作詞:森地一夫
作曲:上原げんと

海で生活(くら)すなら パラオ島におじゃれ
北はマリアナ 南はポナペ
島の夜風に 椰子の葉揺れて
若いダイバーの 船唄もれる

島へ来たなら ダイバー船へお乗り
男冥利に 生命をかけて
珊瑚林に 真珠採りするよ
ダイバー愛(いと)しの 鼻唄歌うて

高波(なぐら)うねりに 度胸がすわりゃ
海は故郷(ふるさと) パラオの王者
錨(アンカー) 降ろして ランタン振って
帰るダイバーは 人気者


7.花の広東航路

作詞:佐藤惣之助
作曲:上原げんと

南国の 青い空
赤い夕陽の 珠江(シュコウ)の流れ
進む汽船の デッキの上で
語るクーニャン まりほの匂い
ドラも鳴ります 花の広東航路

花塔(ホワトウ)も たそがれて
霞むみどりの 沙面(シャーメン)波止場
並ぶジャンクに 灯りがともりゃ
風もささやく 歌さえ響く
月が出ました 花の広東航路

船おりて そのままに
プロムナードは 埠頭(バンド)のほとり
蛇の料理は うれしかないが
街の花火の 楽しい光り
夢の旅行よ 花の広東航路


8.東京の花売娘

作詞:佐々詩生
作曲:上原げんと

青い芽を吹く 柳の辻に
花を召しませ 召しませ花を
どこか寂しい 愁いを含む
瞳いじらし あの笑くぼ
ああ 東京の花売娘

夢を見るよに 花籠抱いて
花を召しませ 召しませ花を
小首かしげりゃ 広重描く
月も新たな 春の宵
ああ 東京の花売娘

ジャズが流れる ホールの灯影
花を召しませ 召しませ花を
粋なジャンバーの アメリカ兵の
影を追うよな 甘い風
ああ 東京の花売娘


9.青春のパラダイス

作詞:吉川静夫
作曲:福島正二

晴れやかな 君の笑顔 やさしく われを呼びて
青春の花に憧れ 丘を越えてゆく
空は青く みどりの燃ゆる大地
若き生命 輝くパラダイス
二人を招くよ

囁くは 愛の小鳥 そよ吹く 風も甘く
思い出の夢に憧れ 丘を越えてゆく
バラは赤く 牧場の道に咲く
若き生命 あふるるパラダイス
二人を抱くよ

花摘みて 胸にかざり 歌声 高く合わせ
美しの恋に憧れ 丘を越えてゆく
ゆらぐ青葉 白き雲は湧きて
若き生命 うれしきパラダイス
二人を結ぶよ


10.啼くな小鳩よ

作詞:高橋掬太郎
作曲:飯田三郎

啼くな小鳩よ 心の妻よ
なまじ啼かれりゃ 未練がからむ
たとえ別りょと 互いの胸に
抱いていようよ 面影を

旅ははるばる 果てないとても
呼べば届くよ 夜ごとの夢に
思い出したら 祈ろじゃないか
つきぬ縁(えにし)を 身の幸(さち)を

さらば小鳩よ 心の妻よ
瞳曇るな また逢う日まで
帽子ふりふり 後(あと)ふり向けば
暁(あけ)の野風が ただ寒い


11.港に赤い灯がともる

作詞:矢野亮
作曲:八洲秀章

暗い空だよ きらりと光る
切れたテープか 鴎の鳥か
あゝ 港に赤い灯がともりゃ
残る未練の すすり泣き

今日の出船は 東か西か
ドラがしみこむ 俺らの胸に
あゝ 港に赤い灯がともりゃ
海が恋しい 船乗りさ

(セリフ)
「今度こそこの町へ落ち着こうと、何度
考えたかしれねえが、あの海の呼ぶ声
を聞くと、なぜかじっとしちゃいられね
ぇんだよ。そりゃ俺だってたまには岸
壁にへばりつくこともあるんだが、いつ
かまたあの広い海へ出ていってしまう
んだ。あばよ、港よ陸よ、あすはまた
海へ行く」

歩みつかれて 錨をおろす
なれた酒場の あの娘のえくぼ
あゝ 港に赤い灯りがともりゃ
せめて一夜の 陸(おか)の夢


12.東京シャンソン

作詞:吉川静夫
作曲:上原げんと

あの娘(こ)スターか ニュー・フェイスか
初恋の 淡き夢 面影の
浮びくる 柳影
月も泣く 若き日よ
あゝ ロマンスの 花咲く都東京

あの夜別れた ネオンまたたく
胸に散る 紅(くれない)の 花の束
抱(いだ)きしめ 思い出す
忘られぬ 人の名よ
あゝ ロマンスの 花咲く都東京

あの日歌いし 歌も流れる
人の波 寄せる街 希望(のぞみ)わく
ともる灯も ほのぼのと
明日(あす)を呼ぶ 鐘の音よ
あゝ ロマンスの 花咲く都東京


13.男の涙

作詞:高橋掬太郎
作曲:上原げんと

夜の裏町 流して更けて
男泣かねど 散る涙
せめて唄おか
あゝ せめて唄おか 切ない胸を
柳落葉の あの角で

旅の楽屋は 只さえ淋し
抱いたギターよ 何を泣く
云えぬ思いを
あゝ 云えぬ思いを 心に秘めて
夢にあの日を 見るばかり

男なりゃこそ 笑って捨てた
恋よ情けよ 思い出よ
人にゃ見せない
あゝ 人にゃ見せない 涙のしみを
知っておくれか お月さん


14.男一匹の唄

作詞:夢虹二
作曲:佐藤長助

赤い夕陽は 砂漠の果てに
旅を行く身は 駱駝(らくだ)の背中(せな)に
男一匹 未練心はさらさらないが
なぜか淋しい 日暮れの道よ

昨日ラマ塔の 花咲くかげで
ちらと見た娘(こ)の 似ている瞳
男一匹 何も云うまい昔の夢だ
空にゃほのかに 七つの星よ

月の出潮は 心が濡れる
吹くなモンゴーの 砂漠の風よ
男一匹 明日(あす)の希望を心に秘めて
行けば鳴る鳴る 駱駝の鈴よ


15.憧れのハワイ航路

作詞:石本美由起
作曲:江口夜詩

晴れた空 そよぐ風
港出船の ドラの音愉(たの)し
別れテープを 笑顔で切れば
希望(のぞみ)はてない 遥かな潮路
あゝ 憧れの ハワイ航路

波の背を バラ色に
染めて真赤な 夕陽が沈む
一人デッキで ウクレレ弾けば
歌もなつかし あのアロハオエ
あゝ 憧れの ハワイ航路

常夏の 黄金月
夜のキャビンの 小窓を照す
夢も通うよ あのホノルルの
椰子の並木路 ホワイトホテル
あゝ 憧れの ハワイ航路


16.港ヨコハマ花売娘

作詞:矢野亮
作曲:上原げんと

赤いテールが にじんでとけて
消えてバンドへ ゆく石だたみ
海のかおりを 夜風が運ぶ
花を召しませ 召しませ花を
いとしあの娘は
ああ 港ヨコハマ 花売娘

今宵一夜を なごりに踊る
影がゆれてる 酒場の小窓
なぜか気になる マドロスさんか
花を召しませ 召しませ花を
ちらりのぞいた
ああ 港ヨコハマ 花売娘

ミルク色した 波止場の霧に
むせび泣いてる 出船の汽笛
馴れた別れも 切ないものよ
花を召しませ 召しませ花を
声もとぎれる
ああ 港ヨコハマ 花売娘


17.東京の空青い空

作詞:石本美由起
作曲:江口夜詩

鳩が飛び立つ 可愛い可愛い鳩が
東京の空 青い空
喜びの 鐘が鳴る
若い口笛 吹きながら
柳さらさら 銀座の街を
君と歩けば 明るい心

風がそよ吹く 緑の緑の風が
東京の空 青い空
憧れの 夢が呼ぶ
胸もときめく 恋の午後
お茶をのんだり シネマを見たり
寄せる笑顔に あふれる若さ

月が輝く バラ色バラ色月が
東京の空 青い空
麗(うるわ)しの 灯(ひ)が招く
なごりつきない 街角で
あすのプランの 指切りすれば
さようならよの 別れも愉し


18.涙の小花

作詞:高橋掬太郎
作曲:上原げんと

雨の降る夜の 紅花黄花
何を嘆くか 肩よせて
儚い恋に 身をやつす
女かなしや 涙の小花

むりに笑えば なおなお辛い
別れ小径の 曲り角
諦めながら 泣きながら
女かなしや 又呼ぶその名

逢えぬ君故 しあわせ祈る
雨の夜ふけの 涙花
おしろい彫りの 夢一つ
女かなしや 心に秘めて


19.あんこ可愛いや

作詞:松村又一
作曲:上原げんと

赤く咲いても 椿の花は
ほろり落ちそで 落ちぬとさ
あんこ可愛いや 紅椿
どこのどなたに
どこのどなたに 落ちる気か

島の御神火 燃えたつ夜は
胸に思いを こがすとさ
あんこ可愛いや 紅椿
きょうも岬で
きょうも岬で たれを待つ

沖の瀬の瀬で 潮鳴る宵は
夢で千鳥も 嘆くとさ
あんこ可愛いや 紅椿
といた黒髪
といた黒髪 胸に抱く


20.男のエレジー

作詞:石本美由起
作曲:岡晴夫

街の灯影に 背中を向けて
一人ふかした 煙草のにがさ
渡る世間を せばめてすねて
生きる男の 身のつらさ
こんなやくざに 誰がした

義理と人情の 渡世に生きて
酒と喧嘩に やつれた命
頬の傷跡 淋しく撫ぜて
月に語ろか 身の上を
こんなやくざに 誰がした

「夜空に輝く星か きれいだな
人間は自分で自分の運命が
解らねぇところがいいんだろう
あゝ故郷(くに)のおふくろに
逢いてえなあ」

泣ける思いも 笑って隠す
青いソフトの 横顔淋し
今の姿じゃ 帰れもすまい
恋し母住む 故郷へ
こんなやくざに 誰がした


21.船は港にいつ帰る

作詞:高橋掬太郎
作曲:細川潤一

風の便りも 二月三月
絶えて聞かねば 尚恋し
想い出すほど 逢いたさ見たさ
船は港に いつ帰る

啼くは千鳥か 夜更けの頃は
夢も涙に 濡れて散る
独り明かせば 瀬音もかなし
船は港に いつ帰る

どうせマドロス 浮寝の島に
かけた情の たよりなさ
呼んでみたとて とどかぬ人よ
船は港に いつ帰る


22.二人のパラダイス

作詞:東條寿三郎
作曲:上原げんと

プラチナの 陽をうけて
高鳴る胸よ はずむ若さよ
足取りも 軽やかに
丘を越えて行こう 行きましょう
あゝ 君の空 僕の空
晴れて嬉しい 二人のパラダイス

あこがれに バラはもえ
ほほえみ交す 愛の瞳よ
さっそうと 腕を組み
丘を越えて行こう 行きましょう
あゝ 君の空 僕の空
小鳥さえずる 二人のパラダイス

ロマンスの 虹かけて
雲湧く彼方 夢は招くよ
歌声を 合わせつつ
丘を越えて行こう 行きましょう
あゝ 君の空 僕の空
のぞみ湧きたつ 二人のパラダイス


23.港のエトランゼ

作詞:矢野亮
作曲:渡久地政信

流れ流れて たどりつく
知らぬ港は 青い霧
もっとお寄りよ 淋しじゃないか
どうせ故郷にゃ 帰れぬ二人
俺もお前も エトランゼ

抱いたギターを 爪弾けば
すすり泣きする いじらしさ
そっと唄およ 切ない胸を
待てど来るやら 花咲く春が
俺もお前も エトランゼ

残る未練に ひかされて
風にまかせた 旅の空
ほって置いてよ 流しの唄は
届くあてない 儚い夢さ
俺もお前も エトランゼ


24.おもいで酒

作詞:高田直和
作曲:梅谷忠洋

無理して飲んじゃ いけないと
肩をやさしく 抱きよせた
あの人 どうしているかしら
噂をきけば あいたくて
おもいで酒に 酔うばかり

ボトルに別れた 日を書いて
そっと涙の 小指かむ
あの人 どうしているかしら
出船の汽笛 ききながら
おもいで酒に 酔うばかり

いつかは忘れる 人なのに
飲めば未練が またつのる
あの人 どうしているかしら
くらしも荒れた このごろは
おもいで酒に 酔うばかり


25.途中下車

作詞:松村又一
作曲:島田逸平

更けて淋しい 夜汽車の窓を
雨よ叩くか 切ない胸に
何で忘れよ
何で忘れよ あの日の夢を
君はやさしの 湯の町つばき

ままよ今宵は 港の町に
途中下車して 人目をしのび
語り合いたい
語り合いたい しみじみひと夜
君はいとしの 湯の町つばき

小雨ふるふる 別れの駅に
情(なさけ)忘れぬ 涙の笑顔
さらばさよなら
さらばさよなら また逢う日まで
君は心の 湯の町つばき


26.逢いたかったぜ

作詞:石本美由起
作曲:上原げんと

逢いたかったぜ 三年ぶりに
逢えて嬉しや 呑もうじゃないか
昔なじみの 昔なじみの お前と俺さ
男同志で 酒くみ交す
街の場末の おゝ縄のれん

生れ故郷の 想い出ばなし
今宵しみじみ 語ろじゃないか
昔なじみの 昔なじみの お前と俺さ
こんどあの娘(こ)に 出逢ったならば
無事(まめ)で居るよと おゝ言ってくれ

誰が流すか ギターの唄に
遠い思い出 偲ぼじゃないか
昔なじみの 昔なじみの お前と俺さ
夢が欲しさに 小雨の路地で
泣いたあの日が あゝ懐しい