はぐれコキリコ

成世昌平 はぐれコキリコ歌詞
1.はぐれコキリコ

作詞:もず唱平
作曲:聖川湧

立山に両の掌合わせ
せめて便りが 噂が欲しい
まだ未練たち切れないとなぜじれる
越中 雪の湯の町で
おんなが歌う あゝ はぐれコキリコ

筑子竹二人で鳴らし
想い焦がした十九と二十歳
あの春を忘れた人のにくらしさ
情けの峠越しかねて
おんなが歌う あゝ はぐれコキリコ

盆が過ぎ笛の音太鼓
それに鍬金きくたび想う
ふるさとを見捨てた人の身の上を
茜に染る空見上げ
おんなが歌う あゝ はぐれコキリコ


2.貝殻節考

作詞:もず唱平
作曲:聖川湧

波の彼方に 隠岐の島
飛魚が跳ねとぶ 日本海 日本海

あぁ 恋しさに 涙が落ちる
幾年の 悔いを重ねて昨日今日
想い出すんだ
おまえと歌った 貝殻節を…

何の因果で 貝殻漕ぎなろた
カワイヤノ カワイヤノ…

境港に 戻る船 つれて帰れよ
このオレを このオレを

あぁ 心妻 どうして待てぬ
この春に 親に先立ち逝ったとか
聴いておくれよ
手向けにひと節 貝殻節を…

あぁ ふるさとは 青葉の頃か
おふくろの 顔に似ている白い雲
詫びのつもりだ
唸ってみようか 貝殻節を…


3.寿

作詞:高安弘
作曲:福田正

咲いた「寿」永遠の文字
めでためでたの 宴華
今日の佳き日を ことほぎて
満願成就と なる鼓
祝う門出の 春の舞

ふたつ命の 晴れ姿
めでためでたの 夫婦松
かたい契りを 永久に
むすぶ縁の 鶴と亀
ならぶ大輪 春の宴

舳先大黒 艫恵比須
めでためでたの 宝船
金波銀波の「夢」重ね
のぼる朝日に 愛と幸福
明日へ漕ぎ出す 春の海


4.磯節キリキリ

作詞:もず唱平
作曲:聖川湧

氷雨が窓打つ そのたびごとに
やっとハイハイ 出来る児が
親の手求めて 怯(おび)えちゃせぬか
それが気になり キリキリ胸が痛みます
帰ろうか 帰ろうか
磯節の聞こえる湊町

ふだんは頑固で 無口な父が
孫は立派に このワシが
育ててやるから 我が家の敷居
二度とまたぐな 覚えておけと言ってきた
帰ろうか 帰ろうか
磯節の聞こえる港町

この春坊やを 預けた時に
母がいったわ 泣きながら
おんなを捨てとは いわないけれど
情におぼれず どこかでけじめつけなさい
帰ろうか 帰ろうか
磯節のきこえる湊町


5.風の盆流し唄

作詞:佐藤清
作曲:安藤実親

紅蓮炎(ぐれんほのお)に 落ちてもいいと
泣いてすがった 坂の町 坂の町
―恋の八尾(やつお)は―
運命(さだめ)はかない 別れの路地を
おわら流しが よぎって悲し

八尾坂道 涙でのぼりゃ
富山あたりの灯火(ひ)がゆらぐ 灯火がゆらぐ
―飛んでゆきたや―
募(つの)る想いを 夜風にのせて
おわら流しの 胡弓がむせぶ

忘れたはずの あなたの顔が
鎧格子(よろいごうし)に また浮かぶ また浮かぶ
―露か時雨(しぐれ)か―
唄の節さえ 心を濡らし
おわら流しが 遠くに消える


6.一子

作詞:もず唱平
作曲:三山敏

ふるさと捨てて この街で
女ひとりの居場所 みつけた一子
まだまだお国訛りがぬけないと
なれぬ手付きで酒をつぐ
どこか似ていた妹に

誰れ彼なしに気を赦し
ママが心配してた 酒場の一子
男にゃ ワルがいっぱい いるなんて
いってやれたらよかったが
悔いが残るよ しみじみと

兄さんみたい なんていい
いつか身の上話 きかせた一子
しくじり 涙つきもの人生にゃ
便り寄こせよ このオレに
顔をみせろよ もう一度


7.浪花なごり月

作詞:南沢純三
作曲:中村典正

老舗の味は 若旦那さんの
包丁さばきに まかせます
気ままな男が 背中を向ける
空に浪花の なごり月
うけたお情け 返せぬままに
旅をえらんだ 罰あたり

アホやなぁ俺は……おかみさん、お達者で……

船乗りこみの ざわめきよそに
包丁研いでた 野暮なやつ
板場はいくさ場 そう言い聞かす
白い前掛 堅結び
おかみさんだけ わかってくれた
男一途の 胸の底

道頓堀から眺めるお月さんも、これが見納めや
俺にとっては、ほんまのなごり月やなぁ……

一からひとり 出直し修行
包丁一本 抱いた旅
涙にうるんで あと追うような
月が誰かの 目に見えた
太左衛門橋 着流し雪駄
おもいふりきり 消える影


8.逢えてよかった

作詞:もず唱平
作曲:三山敏

欠けた徳利に 五分咲きの
白い辛夷(こぶし)を 差したヤツ
荒んだ暮らしに 心映え
うれしかったよ あの時は
惚れて別れて 涙で五年
逢えてよかった おまえに逢えて

こんなつもりじゃ なかったと
酒の苦さに 泣いたヤツ
背負わせた不幸の そのツケを
数え上げたら 切りがない
こんどこの世に 生まれて来ても
おれはやっぱり おまえと生きる

脛に傷もつ 負け犬の
おれを支えて くれたヤツ
夜空を見上げて 探すのは
永久に連れ添う 夫婦星
惚れて別れて 涙で五年
逢えてよかった おまえに逢えて


9.しのび唄

作詞:原文彦
作曲:福田正

女の夢と あなたの未来(あした)
秤にかけて 泣いてます
身を引くことは 倖せでしょか
三味の乱れを 十六夜の
月に聴かせる しのび唄

あなたにいつか 解かれた帯が
泣いて身をやく 薄化粧
強がる術(すべ)も 知らない女
雪見障子を そっと引きゃ
縁に舞い散る 恋落葉

姉さん女房の 柄ではないと
指輪を包む 紅袱紗(べにふくさ)
包みきれない 未練は燃える
つのる思いが 手鏡に
影を浮かべる しのび唄


10.雪大文字

作詞:関沢新一
作曲:伊藤雪彦

この幸せが いつまでも
続くといいねと 大文字の
紅い炎に 言ったひと
冬になったら また燃え上がる
白いかげろう 雪大文字
京都ああ
京都あのひと 恋おんな

さよならなしで なぜ逝(い)った
ふたりで歩いた この町は
独りぼっちじゃ つらすぎる
比叡の淡雪 舞う東山
白い未練の雪大文字
京都ああ
京都底冷え なみだ冷え

炎は消えて 冬枯れて
あと振り向いても なにもない
上がる下がるの 京の町
あの瞳あの声 あのしぐささえ
白く浮かべる 雪大文字
京都ああ
京都まだまだ つらい町


11.はぐれ川

作詞:亜蘭忍
作曲:安藤実親

なみだ酌むよな わかれ酒
酔うて切れない 未練の糸が
すすり泣くよに ほろほろと
であいと別れ 繰り返し
行きも帰りも おんな坂
恋の大阪(北新地) 女坂

おくれ髪哀し わかれ雨
酔うて焦がれて 情念が燃える
赤い命灯 めらめらと
であいと別れ 重ねても
通り過ぎれば わすれ橋
かすむ長堀 忘れ橋

背中さみしい わかれ影
酔うてすがれば 袂が揺れる
夢も運命も ゆらゆらと
であいと別れ 数えては
明日に流れる はぐれ川
くれる堂島 離暮川


12.雪しぐれ恋しぐれ

作詞:もず唱平
作曲:聖川湧

みちのく湯の町 育ちには
しあわせ灯り どうして遠い
誰が夜更けて 歌うのだろう
さとの追分 高調子
しぐれが怯えて 雪になる
恋に怯えて 雪になる

七夕祭りを 惜しむうち
おんなを泣かせ 紅葉が散った
百舌の速贄 あんなに高い
きっと来そうだ ドカ雪が
しぐれが怯えて 雪になる
恋に怯えて 雪になる

迎えに来るから 待っていろ
あなたの言葉 信じていいの
遅れがちでも この冬越せば
春は来ますか ありますか
しぐれが怯えて 雪になる
恋に怯えて 雪になる