新謠

新垣勉 新謠歌詞
1.紅蜻蜓

夕焼小焼の、赤とんぼ
負われて見たのは、いつの日か

山の畑の、桑の実を
小籠に摘んだは、まぼろしか

十五で姐やは、嫁に行き
お里のたよりも、絶えはてた

夕焼小焼の、赤とんぼ
とまっているよ、竿の先


2.竹田搖籃曲

守もいやがる 盆から先にゃ
ゆきもちらつくし 子も泣くし
盆が来たとて なにうれしかろ
かたびらはなし おびはなし
この子よう泣く 守をばいじる
守も一日 やせるやら
はよも行きたや この在所こえて
向こうに見えるは 親のうち
向こうに見えるは 親のうち


3.金絲雀


4.小船之歌

いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 あせぬ間に
熱き血潮の冷えぬ間に
明日の月日はないものを

いのち短し 恋せよ乙女
黒髪の色 あせぬ間に
心のほのお 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを


5.泡泡

しゃぼんだま とんだ
やねまで とんだ
やねまで とんで
こわれて きえた

しゃぼんだま きえた
とばずに きえた
うまれて すぐに
こわれて きえた

かぜかぜ ふくな
しゃぼんだま とばそ

かぜかぜ ふくな
しゃぼんだま とばそ


6.朧月夜

菜の花畠に 入日薄れ
見わたす山の端(は) 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて におい淡し

里わの火影(ほかげ)も 森の色も
田中の小路を たどる人も
蛙(かわず)のなくねも かねの音も
さながら霞める 朧月夜


7.城島之雨

雨はふるふる 城ヶ島の磯に
利久鼠の 雨がふる

雨は真珠か 夜明けの霧か
それともわたしの 忍び泣き

舟はゆくゆく 通り矢のはなを
濡れて帆上げた ぬしの舟

ええ 舟は櫓でやる
櫓は歌でやる
歌は船頭さんの 心意気

雨はふるふる 日はうす曇る
舟はゆくゆく 帆がかすむ


8.手毬與殿下


9.守株待兔

待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日せっせと 野良かせぎ
そこへ兎が とんで出て
ころり転げた 木の根っこ

待ちぼうけ 待ちぼうけ
しめたこれから 寝て待とか
待てばえものは かけてくる
兎ぶつかれ 木の根っこ

待ちぼうけ 待ちぼうけ
きのう鍬とり 畑仕事
きょうは頬づえ ひなたぼこ
うまい切り株 木の根っこ

待ちぼうけ 待ちぼうけ
きょうはきょうはで 待ちぼうけ
あすはあすはで 森の外
兎待ち待ち 木の根っこ

待ちぼうけ 待ちぼうけ
もとはすずしい 黎畑
今は荒野の ほうき草
寒い北風 木の根っこ


10.砂山

海は荒海 向こうは佐渡よ
すずめなけなけ もう日は暮れた
みんな呼べ呼べ お星さま出たぞ

暮れりゃ砂山 汐鳴ばかり
すずめちりぢり また風荒れる
みんなちりぢり もう誰も見えぬ

I pick up a seashell here in my home
And listen to the sound
that calls me up to the ocean
these are the memories that never fade
I'll be always holding in my heart

かえろかえろよ 茱萸原わけて
すずめさよなら さよならあした
海よさよなら さよならあした


11.波浮之港

磯の鵜の鳥ゃ 日暮れにゃかえる
波浮く港にゃ 夕やけ小やけ
あすのひよりは
ヤレホンニサ なぎるやら

船もせかせりゃ 出船のしたく
島の娘たちゃ 御神火ぐらし
なじょな心で
ヤレホンニサ いるのやら

島で暮らすにゃ とぼしゅうてならぬ
伊豆の伊東とは 郵便だより
下田港とは
ヤレホンニサ 風だより

風は潮風 御神火おろし
島の娘たちゃ 出船のときにゃ
船のともづな

ヤレホンニサ 泣いて解く


12.故鄉

兎追いしかの山
小鮒釣りしかの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき故郷

如何にいます父母
恙なしや友がき
雨に風につけても
思いいずる故郷

こころざしをはたして
いつの日にか帰らん
山はあおき故郷
水は清き故郷


13.江濱之歌

あした浜辺を さまよえば
昔のことぞ 忍ばるる
風の音よ 雲のさまよ
寄する波も 貝の色も

ゆうべ浜辺を もとおれば
昔の人ぞ 忍ばるる
寄する波よ 返す波よ
月の色も 星のかげも

はやちたちまち 波を吹き
赤裳のすそぞ ぬれもせじ
やみし我は すべていえて
浜辺の真砂 まなごいまは


14.我、小鳥和鈴

私が両手をひろげても(ひろげても)
お空はちっとも飛べないが(飛べないが)
飛べる小鳥は私のように
地面(じべた)を速くは走れない
地面(じべた)を速くは走れない

鈴と 小鳥と それから私
みんなちがって みんないい

私がからだをゆすっても(ゆすっても)
きれいな音は出ないけど(出ないけど)
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ
たくさんな唄は知らないよ

鈴と 小鳥と それから私
みんなちがって みんないい
みんなちがって みんないい