春日八郎ベストセレクション2007

春日八郎 春日八郎ベストセレクション2007歌詞
1.赤いランプの終列車

作詞:大倉芳郎
作曲:江口夜詩

白い夜霧の あかりに濡れて
別れせつない プラットホーム
ベルが鳴る ベルが鳴る
さらばと告げて 手を振る君は
赤いランプの 終列車

涙かくして ほほえみ合(お)うて
窓に残した 心の温(ぬく)み
あの人は あの人は
何日(いつ)また逢える 旅路の人か
赤いランプの 終列車

遠い汽笛に うすれる影に
一人佇(たたず)む プラットホーム
さようなら さようなら
瞼の奥に 哀しく消える
赤いランプの 終列車


2.雨降る街角

作詞:東条寿三郎
作曲:吉田矢健治

つらいだろうが 野暮な事言うでない
これきり逢えぬ 二人じゃないさ
せめて震える 肩を引き寄せ
揺れて歩けば 雨が降る
ああ 別れ街角

あれもこれも ひとときの夢ならば
今さら俺が 泣けたりするか
洩れる吐息に うるむ青い灯
なぜか今宵も 雨が降る
ああ 馴れた街角

思い出して ただ一人待っていな
忘れずきっと 迎えにゃ来るぜ
未練きれずに 濡れてたたずむ
影に嘆きの 雨が降る
ああ さらば街角


3.瓢箪ブギ

作詞:髙橋掬太郎
作曲:江口夜詩

飲めや歌えや 世の中は 酒だ酒だよ 瓢箪ブギ
どうせ飲むなら 養老の滝を
飲んでみたいよ 腹一杯
滝がお酒に なったとさ アほんとかね
エほんとかね そりゃ ほんとかね
そんないいこと もうないか
ブラブラ ブラブラ 瓢箪ブギ

何をくよくよ 世の中は いつも愉快に 瓢箪ブギ
かわい女子の お酌でのめば 心うきうき 花かざり
なすも南瓜も 恋の味
アほんとかね エほんとかね そりゃ ほんとかね
そこで一杯 もう一杯 ブラブラ ブラブラ 瓢箪ブギ

酒は良いもの 世の中は 酔って踊ろよ 瓢箪ブギ
いくら飲んでも 養老の滝が 空になったる ためしない
飲めよあびろよ 滝の水
アほんとかね エほんとかね そりゃ ほんとかね
腰の瓢箪 親ゆずり ブラブラ ブラブラ 瓢箪ブギ


4.裏町夜曲

作詞:杉江晃
作曲:山口進

おまえがばかなら 俺もばか
ばかを承知で なぜほれた
落ちて流れた この裏町が
今じゃふたりの 仮の宿

泣かずにおくれと いいながら
いつかおいらも 泣いていた
どうせ日陰の ふたりの運命(さだめ)
風よなぶるな いまさらに

おまえが飲むなら 俺も飲む
飲んで悩みが 消えるなら
消えるものかよ この裏町の
暗いあかりが さすかぎり


5.別れの波止場

作詞:藤間哲郎
作曲:真木陽

そんなに泣きたきゃ 泣くだけお泣き
あとで笑顔に 変るなら 変るなら
俺とおまえにゃ
これが別れだ 最後の夜だ
ああ やがて霧笛の 鳴る夜だ

そんなに行きたきゃ 行こうじゃないか
いつも歩いた 波止場道 波止場道
俺とおまえにゃ
これが別れだ 愛(いと)しい道だ
ああ きょうは出船の 待つ道だ

そんなに飲みたきゃ たんまりお飲み
飲めばつらさも まぎれよう まぎれよう
俺とおまえにゃ
これが別れだ 淋しい酒だ
ああ あかの他人に なる酒だ


6.苦手なんだよ

作詞:矢野亮
作曲:林伊佐緒

お客さんに せがまれて 唄ったよ
生まれ故郷のあの唄(うた)を
唄っているうち 恋しくなって
じんとじんと じんと
じんと瞼が熱くなり
思わず泣けて しまったさ

縄(なわ)のれんが 揺れるのも 侘(わび)しいね
暗い小路(こうじ)の安酒場
しがない流しの この俺だって
こいつァこいつァ こいつァ
こいつァ苦手(にがて)な唄(うた)なんだ
返らぬ愚痴が 出るからさ

お客さんも 泣きながら 唄ったよ
遠い故郷の国なまり
同じ悩みを 抱いてる人か
いいよいいよ いいよ
いいよ何にも言わないで
商売ぬきで 唄おうよ


7.海猫の啼く波止場

作詞:矢野亮
作曲:林伊佐緒

崩(くず)れた岸壁 洗う波
さびれた波止場(はとば)にゃ 海猫ばかり
おまえを知った あの夜から
俺の恋人は 海じゃなくなった
それに気づいたは
出船の汽笛が
出船の汽笛が 鳴ったあと

夕陽(ゆうひ)にしょんぼり 浮ぶブイ
人待ち顔なは 海猫ばかり
南で遭(あ)った ハリケーンも
俺の思いほど 荒れはしなかった
ひとり眠られず
甲板(デッキ)で呼んだよ
甲板で呼んだよ 恋しさに

せつない痛手(いたで)に しみる風
いっしょに泣くのは 海猫ばかり
おまえはどこへ 行ったのか
俺のともしびは 消えてしまってた
胸に書きとめた
航海日記も
航海日記も 聞かないで


8.寒流

作詞:高橋掬太郎
作曲:吉田矢健治

海の暗さが 侘(わ)びしゅうてならぬ
風は冷たく ほほたたく
胸に浮かぶは あの娘(こ)の港
ほれて ほれて
ほれていりゃこそ 思い出す

波が牙(きば)立つ 寒流はるか
行かにゃならない かじ枕
凍りつくよな 星影見れば
なぜか なぜか
なぜか心が 痛くなる

待っていなよと いうては来たが
いつの日にまた 逢える身か
船が揺れれば 思いも揺れる
泣けて 泣けて
泣けてくるよな 海の果て


9.風林火山

作詞:沢登初義
作曲:山本丈晴

あれは疾風(はやて)か 東海の
砂塵(さじん)を巻(ま)いて 騎馬は行く
怒濤(どとう)と起こる 勝鬨(かちどき)に
きらめく旌旗(しょうき) ああ 風林火山

林徐(しず)けし 諏訪湖畔
剃髪(ていはつ)包む 緋(ひ)の衣(ころも)
武人の慕情 誰か知る
思い秘めたる ああ 風林火山

仇(あだ)に向かわば 火のごとく
情けに立たば 山のごとく
かざす軍配 日月(じつげつ)の
光燦(さん)たり ああ 風林火山


10.長崎の女(ひと)

作詞:たなかゆきを
作曲:林伊佐緒

恋の涙か 蘇鉄(そてつ)の花が
風にこぼれる 石畳
噂にすがり ただ一人
尋ねあぐんだ 港町
ああ 長崎の 長崎の女(ひと)

海を見下ろす 外人墓地で
君と別れた 霧の夜
サファイヤ色の まなざしが
燃える心に まだ残る
ああ 長崎の 長崎の女

夢をまさぐる オランダ坂に
しのび泣くよな 夜が来る
忘れることが 幸せと
遠く囁やく 鐘の音
ああ 長崎の 長崎の女


11.大阪の灯

作詞:下條ひでと
作曲:西脇功

そぞろ歩きの 心斎端(しんさいばし)で
いとしき君の 面影(かげ)慕う
男心に しみついた
たった一度の 思い出を
秘めて大阪 灯(ひ)がともる

好きというのも もどかしかった
千日前(せんにちまえ)の 喫茶店
あの日ソファーに 身を寄せて
そっと両手を 添えたとき
君の瞳(ひとみ)も 濡(ぬ)れていた

消えてまたつく ネオンの花が
行きかう人の 肩に散る
きっと逢えると 見上げれば
澄んだか細い 淀の月
夜の大阪 灯がともる


12.波止場で待ちな

作詞:下條ひでと
作曲:西脇功

「ほれてた」なんて 本当かい
お前の涙を 初めて見たぜ
強いようでも やっぱり女
行っちゃいやだと
胸にすがった 手が痛い

「死ぬ気だ」なんて 本当かい
お前の弱気が おいらにゃ苦手(にがて)
三日坊主の 気まぐれかもめ
それがどうやら
ちょいとあやしく なってきた

「待ってる」なんて 本当かい
お前の気持ちが うれしくしみる
俺(おれ)もほれたぜ 波止場で待ちな
かわい笑顔を
胸にしまって 出航だ


13.雪国の女(ひと)

作詞:遠藤実
作曲:遠藤実

雪深い北国の
ちいさな ちいさな宿だけど
別れたやつに そっくりな
着物のひとが 酒を注ぐ
外はしんしん 雪が降る
夢もしんしん 凍りつく
好きだけど 今は駄目よと……
雪国の女

幸せになりたいと
ふるえる ふるえる唇で
昔を語り 泣いた目の
目元に春よ 早く来い
外はしんしん 雪が降る
夢もしんしん 凍りつく
好きならば 春に来てよと……
雪国の女

外はしんしん 雪が降る
夢もしんしん 凍りつく
さようなら 名残り惜しんだ
雪国の女


14.お富さん

作詞:山崎正
作曲:渡久地政信

粋(いき)な黒塀(くろべい) 見越しの松に
仇(あだ)な姿の 洗い髪
死んだ筈だよ お富さん
生きていたとは お釈迦(しゃか)さまでも
知らぬ仏の お富さん
エッサオー 源冶店(げんやだな)

過ぎた昔を 恨むじゃないが
風もしみるよ 傷の痕(あと)
久しぶりだな お富さん
今じゃ異名(よびな)も 切られの与三(よさ)よ
これで一分(いちぶ)じゃ お富さん
エッサオー すまされめえ

かけちゃいけない 他人の花に
情けかけたが 身の運命(さだめ)
愚痴はよそうぜ お富さん
せめて今夜は さしつさされつ
飲んで明かそよ お富さん
エッサオー 茶わん酒

逢(あ)えばなつかし 語るも夢さ
誰が弾(ひ)くやら 明烏(あけがらす)
ついて来る気か お富さん
命短く 渡る浮世は
雨もつらいぜ お富さん
エッサオー 地獄雨


15.別れの一本杉

作詞:高野公男
作曲:船村徹

泣けた 泣けた
こらえ切れずに 泣けたっけ
あの娘(こ)と別れた 哀(かな)しさに
山の懸巣(かけす)も 啼(な)いていた
一本杉の
石の地蔵さんのヨー 村はずれ

遠い 遠い
思い出しても 遠い空
必ず東京へ 着いたなら
便りおくれと いった娘(ひと)
リンゴのような
赤いほっぺたのヨー あの涙

呼んで 呼んで
そっと月夜にゃ 呼んでみた
嫁にも行(ゆ)かずに この俺の
帰りひたすら 待っている
あの娘(こ)はいくつ
とうに二十(はたち)はヨー 過ぎたろに


16.ギター流し

作詞:矢野亮
作曲:吉田矢健治

春が来たとて 行ったとて
旅の流しにゃ 知らぬこと
ギター泣かせて 俺も泣く
どうせはかない 恋の歌

好いちゃいけない 好けぬ身は
いっそせつない 胸のうち
閉じた瞼(まぶた)の 裏側に
せめておまえを 抱いて行こ

故郷(くに)を出たときゃ この俺も
夢も希望(のぞみ)も あったもの
街(まち)のあかりが 消えるよに
今じゃやつれた 影ひとつ


17.ごめんヨかんべんナ

作詞:伊吹とおる
作曲:吉田矢健治

待っていたのか 今日まで一人
そんなかぼそい 体で胸で
そうかい そうだろう
せつなかったろネ
ほんとにごめんヨ かんべんナ

勝手気ままな 俺らの意地が
好きとひと言 いわせなかった
そうかい そうだろう
泣きたかったろネ
ほんとにごめんヨ かんべんナ

待っておいでよ 死ぬんじゃないぜ
きっと俺らが 治してみせる
そうかい そうだろう
淋しかったろネ
ほんとにごめんヨ かんべんナ


18.母の便り

作詞:矢野亮
作曲:真木陽

暗い夜業(よなべ)の 灯(ひ)の陰に
そなた案じて 筆とり候
秋の祭りの 太鼓の音も
一人わび住む 母なれば
なまじなまじ なまじ白髪(しらが)の
ますのみに候

結ぶ夜毎の 夢さえも
遥か都の 空にて候
よるべなき身に さぞやの苦労
離ればなれの 悲しさは
思い思い 思い届かず
もどかしく候

老いの繰り言 たどたどと
便り書く手も 凍えて候
飾る錦は 何ほしかろう
親子二人で 水いらず
暮す暮す 暮すのぞみに
すがり居り候


19.あん時ゃどしゃ降り

作詞:矢野亮
作曲:佐伯としを

あん時ゃどしゃ降り 雨ン中
胸をはずませ 濡れて待ってた 街の角(かど)
アーアー 初恋っていう奴(やつ)ァ
すばらしいもんさ
遠い日のこと みんな夢
ひとりしみじみ 思い出してる 雨ン中

あん時ゃどしゃ降り 雨ン中
離れられずに 濡れて歩いた どこまでも
アーアー 別れるっていう奴ァ
たまんないもんさ
つらい運命(さだめ)を 恨んだよ
ひとりしみじみ 思い出してる 雨ン中

あん時ゃどしゃ降り 雨ン中
やけのやん八 濡れて泣いたぜ 思いきり
アーアー 思い出っていう奴ァ
ほろ苦(にが)いもんさ
今じゃあの娘も どうしてか
ひとりしみじみ 思い出してる 雨ン中


20.居酒屋

作詞:横井弘
作曲:鎌多俊与

情をかけて はずされて
ひょろりよろけた 裏通り
どうした どうした 意気地(いくじ)なし
しかりながらも やりきれず
居酒屋の
あかりへすがりに きょうも来る

昔の俺と 同じだと
酒をつがれりゃ こみあげる
泣くなよ 泣くなよ 男だぞ
涙コップに 落したら
居酒屋の
古びたビラさえ 笑うだろう

浮世(うきよ)の底に 肩よせて
生きるにおいの あたたかさ
やるんだ やるんだ 俺もやる
調子はずれの 唄(うた)だけど
居酒屋の
あかりに歌おう しみじみと


21.別れの燈台

作詞:高橋掬太郎
作曲:吉田矢健治

別れ 別れ辛さに
唇かめば
啼いて渡るか 空とぶ鳥も
今宵かぎりの ふたりの影を
照らす岬の 燈台あかり

どこへ どこへ行こうが
逢わずにいよが
変らないのが 男のこころ
つきぬ思いの その思い出に
ともれ岬の 燈台あかり

ないて ないてはるばる
旅ゆく鳥も
いつか帰るよ 故郷の空へ
明日は他国で 夢見る海を
照らせ岬の 燈台あかり


22.あれから十年たったかなァ

作詞:矢野亮
作曲:渡部実

暗い下宿の 四畳半
友とふたりで 手をとりあって
きっといつかは 陽(ひ)が照ると
泣いて誓った あの夜から
ああ もう十年 たったかなァ

俺の帰りを 待ちきれず
嫁に行ったと たよりを前に
あの娘(こ)恨んで 寝もやらず
飲んで明かした あの夜から
ああ もう十年 たったかなァ

過ぎてしまえば 早いもの
若い心を 燃やしたほのお
今じゃかえって なつかしく
思い出してる しみじみと
ああ もう十年 たったかなァ


23.足摺岬

作詞:高橋掬太郎
作曲:吉田矢健治

つらい別れも 男であれば
涙見せずに 行く俺だ
土佐の高知の あの娘(こ)の声が
呼んで 呼んでいるよな 足摺岬(あしずりみさき)

思い残せば 港もかすむ
揺れるマストに 風が鳴る
胸に形見の かんざし抱いて
つきぬ つきぬなごりの 足摺岬

鯨潮吹く 潮路をはるか
涙こらえて 行く俺だ
恋も情(なさけ)も また逢う日まで
捨てにゃ 捨てにゃならない 足摺岬


24.山の吊橋

作詞:横井弘
作曲:吉田矢健治

山の吊橋(つりばし)ァ どなたが通る
せがれなくした 鉄砲うちが
話相手の 犬つれて
熊のおやじを みやげにすると
鉄砲ひとなで して通る
ホレ ユーラユラ

山の吊橋ァ どなたが通る
遠い都へ 離れた人を
そっとしのびに 村娘
谷の瀬音が 心にしむか
涙ひとふき して通る
ホレ ユーラユラ

山の吊橋ァ どなたが通る
酒がきれたか 背中をまるめ
のんべェ炭焼き 急ぎ足
月をたよりに 枯れ葉のように
くしゃみ続けて して通る
ホレ ユーラユラ


25.ロザリオの島

作詞:たなかゆきを
作曲:林伊佐緒

静かにひびく 鐘の音(ね)に
君をいとしむ 夜の海
二度と逢えない 微笑みは
銀のマリアに しのぶだけ
さよなら天草よ ロザリオの島

涙でつづる 思い出は
好きとはじめて 告げた夜
何も云わずに 教会の
坂を上(のぼ)って 行った女(ひと)
さよなら天草よ ロザリオの島

まことの愛が ある限り
君は心の 中に住む
いのちはかない 不知火(しらぬい)は
たとえこのまま 消えるとも
さよなら天草よ ロザリオの島


26.夜行列車

作詞:中山大三郎
作曲:船村徹

夜行列車よ
俺を乗せた 青い夜汽車よ
今 故里を 過ぎてゆく
あそこだよ あの山のふもとだよ
おふくろが妹が 住んでいる
夜行列車よ 汽笛ならせよ
ゆれて ゆれて ゆれて走るよ

夜行列車よ
俺を乗せた 青い夜汽車よ
線路のきしみ なつかしい
灯(あか)りだよ 二つ三つ五つ六つ
みつめればあふれくる この涙
夜行列車よ 汽笛ならせよ
泣いて 泣いて 泣いて走れよ

夜行列車よ
俺を乗せた 青い夜汽車よ
もう故里は 闇の中
もう一度 はじめからやりなおす
待ってなよおふくろよ その日まで
夜行列車よ 汽笛ならせよ
ゆれて ゆれて ゆれて走れよ