森進一ベスト<演歌の心を唄う>

森進一 森進一ベスト<演歌の心を唄う>歌詞
1.北の螢

作詞:阿久悠
作曲:三木たかし

山が泣く 風が泣く
少し遅れて 雪が泣く
女 いつ泣く 灯影(ほかげ)が揺れて
白い躰(からだ)がとける頃

もしも 私が死んだなら
胸の乳房をつき破り
赤い螢が翔(と)ぶでしょう

ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨(うら)みを忘れて 燃えて行け

雪が舞う 鳥が舞う
一つはぐれて 夢が舞う
女 いつ舞う 思いをとげて
赤いいのちがつきる時

たとえ 遠くにはなれても
肌の匂いを追いながら
恋の螢が翔ぶでしょう

ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨みを忘れて 燃えて行け

ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨みを忘れて 燃えて行け


2.冬のリヴィエラ

作詞:松本隆
作曲:大瀧詠一

彼女(あいつ)によろしく伝えてくれよ
今ならホテルで寝ているはずさ
泣いたら窓辺のラジオをつけて
陽気な唄でも聞かせてやれよ

アメリカの貨物船が
桟橋で待ってるよ

冬のリヴィエラ 男って奴は
港を出てゆく船のようだね
哀しければ 哀しいほど
黙りこむもんだね

彼女(あいつ)は俺には過ぎた女さ
別れの気配をちゃんと読んでて
上手にかくした旅行鞄に
外した指輪と酒の小壜さ

やさしさが霧のように
シュロの樹を濡らしてる

冬のリヴィエラ 人生って奴は
思い通りにならないものさ
愛しければ 愛しいほど
背中合わせになる

皮のコートのボタンひとつ
とれかけて サマにならない

冬のリヴィエラ 男って奴は
港を出てゆく船のようだね
哀しければ 哀しいほど
黙りこむもんだね


3.襟裳岬

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

北の街ではもう 悲しみを暖炉で
燃やしはじめてるらしい
理由(わけ)のわからないことで 悩んでいるうち
老いぼれてしまうから
黙りとおした 歳月(としつき)を
ひろい集めて 暖めあおう
襟裳の春は 何もない春です

君は二杯めだよね コーヒーカップに
角砂糖をひとつだったね
捨てて来てしまった わずらわしさだけを
くるくるかきまわして
通りすぎた 夏の匂い
想い出して 懐かしいね
襟裳の春は 何もない春です

日々の暮らしはいやでも やってくるけど
静かに笑ってしまおう
いじけることだけが 生きることだと
飼い馴らしすぎたので
身構えながら 話すなんて
ああ おくびょう なんだよね
襟裳の春は 何もない春です

寒い友だちが 訪ねてきたよ
遠慮はいらないから 暖まってゆきなよ


4.新宿・みなと町

作詞:麻生香太郎
作曲:西谷翔

新宿はみなと町
はぐれ者たちが 生きる辛さ
忘れて酒をくみかわす町
人を押しのけて生きてゆくより
安い酒に酔いたいね
新宿… 新宿… 新宿みなと町

新宿はみなと町
心焼き尽(つく)し 背中まるめ
見果てぬ夢を語りつぐ町
誰もさみしさが苦いのだろう
俺に似てるやつばかり
新宿… 新宿… 新宿みなと町

新宿はみなと町
旅に出たやつも 流れ者も
いつかはふらり舞いもどる町
生きて行くことは上手(うま)くなくても
どこか優しい仲間たち
新宿… 新宿… 新宿みなと町


5.八甲田(ニューボーカルバージョン)

作詞:坂口照幸
作曲:大谷明裕

恥じないだけの 生き方したつもり
黙(もく)して語らぬ この旅を
吹雪く火の雪 八甲田
抱いてくれるか あの日のように
雄々(おお)しくて また遠く
凛々(りり)しくて また近く
雪よ おまえと 話しがしたい

つまずくたびに どうして来るのだろう
この雪どこまで あたたかい
ここにまた立つ 八甲田
生きる力を 誰よりくれる
男なら 強くあれ
労(いたわ)れる 人であれ
雪よ 帰ると 伝えておくれ

北の大地よ 八甲田
俺もも一度 出直せそうさ
雄々(おお)しくて また遠く
凛々(りり)しくて また近く
雪よ おまえと 話しがしたい


6.港町ブルース

作詞:深津武・なかにし礼
作曲:猪俣公章

背のびして見る海峡を 今日も汽笛が遠ざかる
あなたにあげた 夜をかえして
港、港 函館 通り雨

流す涙で割る酒は だました男の味がする
あなたの影を ひきずりながら
港、宮古 釜石 気仙沼

出船 入船 別れ船 あなた乗せない帰り船
うしろ姿も 他人のそら似
港、三崎 焼津に 御前崎

別れりゃ三月 待ちわびる 女心のやるせなさ
明日はいらない 今夜が欲しい
港、高知 高松 八幡浜

呼んでとどかぬ人の名を こぼれた酒と指で書く
海に涙の ああ愚痴ばかり
港、別府 長崎 枕崎

女心の残り火は 燃えて身をやく桜島
ここは鹿児島 旅路の果てか
港、港町ブルースよ


7.花と蝶

作詞:川内康範
作曲:彩木雅夫

花が女か 男が蝶か
蝶のくちづけ うけながら
花が散るとき 蝶が死ぬ
そんな恋する 女になりたい

花が咲くとき 蝶が飛ぶ
蝶が死ぬとき 花が散る
春を競って あでやかに
どちらも どちらも 命を賭ける

花のいのちは 短いけれど
蝶のいのちも はかなくて
花が散るとき 蝶が死ぬ
そんな恋する 二人になりたい


8.命かれても

作詞:鳥井実
作曲:彩木雅夫

惚れて振られた 女の心
あんたなんかにゃ わかるまい
押え切れない 淋しさは
死ぬことよりも つらいけど
なぐさめなんかは 欲しくない

みんなあんたが おしえてくれた
酒もタバコも うそまでも
泣かぬつもりで いたけれど
裏町ギターの あの唄に
今夜はしみじみ 泣かされる

こんどこそはと 命をかけて
惚れてみたけど 駄目だった
女の青春(はる)を唇を
返してくれとは 言わないが
死ぬまで愛して 欲しかった


9.女のためいき

作詞:吉川静夫
作曲:猪俣公章

死んでもお前を離しはしない
そんな男の約束を
嘘と知らずに信じてた
夜が夜が夜が泣いてる
ああ 女のためいき

どうでもなるよになったらいいと
思いなやんだ時もある
なににすがって生きるのか
暗い暗い暗い灯影の
ああ 女のためいき

男と女の悲しいさだめ
なんで涙がつきまとう
ほれているから憎いのよ
未練未練未練一つが
ああ 女のためいき


10.ひとり酒場で

作詞:吉川静夫
作曲:猪俣公章

ひろい東京に ただ一人
泣いているよな 夜が来る
両手でつつむ グラスにも
浮かぶいとしい 面影よ
夜の銀座で飲む酒は
なぜか身にしむ 胸にしむ

嘘で終わった 恋なんか
捨てて忘れて しまいたい
男の意地も おもいでも
流せ無情の ネオン川
夜の銀座で飲む酒は
なぜか身にしむ 胸にしむ

暗い東京の 酒場でも
夢があるから 酔いにくる
今夜はとても 淋しいと
そっとあの娘が 言っていた
夜の銀座で飲む酒は
なぜか身にしむ 胸にしむ


11.おふくろさん

作詞:川内康範
作曲:猪俣公章

おふくろさんよ おふくろさん
空を見上げりゃ 空にある
雨の降る日は 傘になり
お前もいつかは 世の中の
傘になれよと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない

おふくろさんよ おふくろさん
花を見つめりゃ 花にある
花のいのちは 短いが
花のこころの 潔ぎよさ
強く生きよと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない

おふくろさんよ おふくろさん
山を見上げりゃ 山にある
雪が降る日は ぬくもりを
お前もいつかは 世の中に
愛をともせと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない


12.冬の旅

作詞:阿久悠
作曲:猪俣公章

ある日何かで これを読んだら
恋人あなたは わかってくれ
泣いて一生 無駄に暮らすな
すぐにも幸せ さがしてくれ
もうあなたのところへは 帰らないだろう
ひとりひとり旅に発つ 雪の降る町へ

もしも誰かに たずねられたら
あいつは駄目だと 話してくれ
女心も 知らぬ奴だと
話を合わせて けなしてくれ
もうあなたのところへは 帰らないだろう
ひとりひとり旅に発つ 雪の降る町へ

だからあなたも 部屋を片づけ
二年のくらしを 忘れてくれ
俺の匂いの 残るものなど
一つも持たずに 歩いてくれ
もうあなたのところへは 帰らないだろう
ひとりひとり旅に発つ 雪の降る町へ


13.それは恋

作詞:秋元松代
作曲:猪俣公章

朝露の 深い道から
訪れて 私をとらえ
夕もやの 遠い果てから
呼びかけて 私をとらえ
ひたすらの 愛の願い
あふれさせたもの
それは恋 私の恋

逢う時は 姿も見せず
うつつなく けれど確かに
言葉なく 名前も告げず
ひそやかに けれど確かに
よみがえる 愛の誠を
あふれさせたもの
それは恋 私の恋

ある時は 心もとなく
疑いに 思い乱れて
ある時は おそれにゆらぎ
悲しみに 我を忘れて
その故に 愛の祈りを
あふれさせたもの
それは恋 私の恋


14.さらば友よ

作詞:阿久悠
作曲:猪俣公章

このつぎの汽車に乗り遠くへ行くと
あの人の肩を抱きあいつはいった
お前にはこの恋を わかってほしいと
くり返しそういって あいつは泣いた
さらば友よ もう何もいわない
ここでここで見送ろう うしろ姿を

打ち明けてくれたのがせめての救い
裏切りといえるけど許してもいい
なにかしらいいたげな あの人の瞳に
キラキラと光ってる 涙を見た
さらば友よ もうあうこともない
胸で胸で音たてて 何かが消えた

ベルの音ききながらしみじみ思う
ふたりともそれなりに悩んだだろう
しあわせを祈るよと いいたいけれど
なぜかしら素直には いえなかったよ
さらば友よ もうふり向くじゃない
俺の俺のこの涙 知られたくない


15.女坂

作詞:有馬三恵子
作曲:猪俣公章

身丈の着物の私をつれて
母は黙って背負子(しょいこ)で歩く
山道いつも聞かされたのは
一つ覚えの夕焼け小焼け

何が生きてて しあわせか
母の顔では 知りかねた
あの日けわしく思えた道を
今あなたとなら たどってみたい

行く坂 はるかな女坂
私も母に似てきそう

湯上り子供ら寝かせる声で
やっとその日が終ったような
祭りも盆も変らぬ色の
絣(かすり)の柄まで覚えています

耐えることしかない母も
夢を見た日は あるのやら
強くかよわく やさしい背なは
みな忘れたよと 答えるけれど

行く坂 はるかな女坂
私も母に似てきそう

何が生きてて しあわせか
母の顔では 知りかねた
あの日けわしく思えた道を
今あなたとなら たどってみたい

行く坂 はるかな女坂
私も母に似てきそう


16.冬桜

作詞:たかたかし
作曲:三木たかし

咲いて淋しい 一輪ざしを
おまえのようだと 肩を抱く
むすべない恋なら 生きる甲斐もない
いっそあなた あなたに散りましょう
どうせこの世は 短かいゆめ芝居

もえて悔いない 一夜(ひとよ)の夢を
かんでも噛んでも 漏れる息
運命(さだめ)ゆえきれない 恋の糸ならば
いっそ死んで 死んでどこまでも
堕ちてゆきたい あなたと身をからめ

こすに越せない 浮世の川を
流れてゆくしか ないのです
恋ゆえにせつない ゆれる命火よ
もっとつよく つよく抱きしめて
ふたり春には 咲けない冬桜


17.ゆうすげの恋

作詞:中山大三郎
作曲:中山大三郎

ゆうすげは 淡い黄色よ
夜に咲き 朝に散る花
あなたは夜更けに来て朝帰る
その度(たび)別れの匂いをおいてゆく
さよならは 言わないで

初めての 恋じゃないけど
あなたには 命がけなの
やさしさだけ欲しいと言わないわ
あなたと一緒に歩いてゆきたいの
この思い わかってよ

山陰(やまかげ)に 咲いて散りゆく
ゆうすげも 命ある花
あなたがただひとつの夢なのよ
すべてを投げ出しつくしてみたいのよ
いつまでも どこまでも


18.京都去りがたし

作詞:売野雅勇
作曲:森進一

比叡(ひえい)おろしの吹く夕暮れは
仕方ないほど あゝ淋しくて
ヒュルル ヒュルルと背中で泣いて
哀しい人のささやきになる

貧(まず)しい女やから
あなた待つしかよう知らん
京都 京都 あゝゝ去りがたし

祇園祭の宵山(よいやま)の夜
切ない鉦(かね)を素肌で聞いた
涙集めた時の川面(かわも)を
浴衣(ゆかた)の帯が流されてゆく

淋しい女やから
憎むことなどようできん
京都 京都 あゝゝ去りがたし

心変りがないでもないと
さんねん坂の部屋で待ちます
ヒュルル ヒュルルと凍(こご)えた風が
春の遠さを告げて哀しい

貧しい女やから
思い出だけで温かい
京都 京都 あゝゝ去りがたし


19.泣かせ雨

作詞:石本美由起
作曲:市川昭介

あなたに夢で 逢えたらいいと
今夜も想う 雨の宿
いつか添えると 信じて待って
愛の季節の 花も散り
独(ひと)り淋しさ
抱きしめる 抱きしめる

男の恋は ひと夜の情け
女の恋は 死ぬ日まで
冬でなくても 心は寒い
見捨てないでと すがっても
揺れておもかげ
遠ざかる 遠ざかる

運命(さだめ)のままに ただ生きるのは
馬鹿よと泣いて 叱る雨
いまも好きです あなたの許(もと)へ
漕いで行きたい 夢小舟
熱い命火(いのちび)
届けたい 届けたい


20.雨のくちびる

作詞:久仁京介
作曲:森進一

雨に濡れてる くちびるに
ふれたら別れが また延びる
夢にはぐれた 紅の傘
投げて走って ついてくる
死ぬまで女で いたいとすがる
おまえのおまえの
情けに敗けてきた

眠るおまえを 見るたびに
しあわせやろうと 思ったさ
夢をまさぐる 迷い鳥
飛べば果てない 闇の中
見せてはやれない いい夢ひとつ
惚れても惚れても
泣かせてしまうだけ

雨に濡れてる くちびるが
愛しているわと 泣き叫ぶ
夢をもとめる 可憐花(かれんばな)
汚せないのさ 俺の手で
無邪気なこころを どうすればいい
おまえのおまえの
あしたが気にかかる


21.えにし

作詞:新美正雄
作曲:森進一

風に散る散る 桜の花が
通う情けの 夢峠
かざした扇も 艶やかに
越えて行きます 運命なら
春の名残の 一人旅

花の絵姿 仄かに薫る
母の形見の 旅衣
愛しい恋しい 故郷へ
抱いて行きます 黒髪も
募る思いの 夢枕

肌に愛しと 心が揺れる
熱い思いの 胸の内
はかなき縁と 諦めて
秘めて行きます 面影を
見せぬ涙に 春の虹


22.運河

作詞:たかたかし
作曲:森進一

あなたほんとに いいのねこれで
別れはしかたが ないことですか
つたえきれない 想いを浮かべ
運河(かわ)は流れる 橋の下
恋も流れる さだめのように

好きになっては いけない人を
愛してしまった わたしがわるい
にごり水でも ネオンをうつす
あなた信じて まよわずに
ついてきました 心のままに

明日のしあわせ 祈っていると
言ったあなたの 言葉に泣ける
ヘッド・ライトの 光の波に
消えるあなたの うしろ影
夢をみました 短い夢を…


23.哀の河

作詞:かず翼
作曲:四方章人

女が死ぬほど つらいのは
愛しながらも 別れる恋よ
一緒に居たい それだけの
願いを世間が 許さない
逢いたい触れたい 抱かれたい
あなたへ流れる 哀の河

気強く生きてた はずなのに
恋が寂しさ 教えていった
あなたの名前 呼ぶ鳥を
窓から逃がした夜明け前
逢いたい触れたい 抱かれたい
心にあふれる 哀の河

この世の何処かで 呼び合って
愛し続ける さだめの恋よ
忘れられない その胸で
むせんだ涙を ささやきを…
逢いたい触れたい 抱かれたい
ひとりで溺れる 哀の河


24.時代の河よ

作詞:田久保真見
作曲:弦哲也

人の涙の ひとつぶが
やがて集まり 河となる
過去の痛みは 流しても
流しちゃいけない 夢がある
時代の河よ どこへ行く
押し流されて どこへ行く
熱い涙の激流で 流れを変えろ

沈む木の葉も あるだろう
浮かぶ小石も あるだろう
かたい頭を 捨てたなら
自由な明日が 見えるはず
時代の河よ どこへ行く
押し流されて どこへ行く
人の想いの一途さで 流れを変えろ

時代の河よ どこへ行く
押し流されて どこへ行く
遥か未来の海原を 目指して進め


25.新地のおんな

作詞:のまたくま・補作詞:麻こよみ
作曲:森進一

あなたおとこで わたしはおんな
理屈なんかは いらないわ
獣(けもの)みたいな 激しさで
強く愛して ほしいのよ
いのちいのちを 愛してほしい
ああ ああ 新地のおんな

恋に何度も 泣かされ泣いて
胸に隠した 傷の跡
なにが大事か ほんとかを
少し知ってる つもりです
おんなおんなの まごころあげる
ああ ああ 新地のおんな

うそはいらない まことがほしい
熱いくちづけ 信じたい
おとこ心の 裏表
肌で知ってる わたしです
ひとりひとりじゃ 生きられないの
ああ ああ 新地のおんな