加爾基精液栗子花

椎名林檎 加爾基精液栗子花歌詞
1.宗教

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

誰か僕に巧いお菓子を
毒で本望 噓で元〃さ
可成なら甘いものが善い
湯吞勘定 蟲歯も厭はない

「立て」「擊て」「切り裂いても敬ひ去れ」「歇(や)むな」「惡(にく)むな」
「吐け」「出せ」「引き摺つても步き行け」「振り向くべからず」

色彩

丁度好い洋杯(コップ)が何處に行つても見付からないのだ 如何して
こんなにビルも道路も?揩て居るのに
飲むでも飲み切れぬ壜(ポットル)で不條理を凝視せよ

季節は迴つて急ぎ足
花はさいた 蜂を呼寄せた
幾度も繰り還しをする
寬る樣で 枯れるのが常と

「待て」「伏せ」「不可解でも崇め逝け」「病むな」「憎むな」
「視ろ」「嗅げ」「不愉快でも味わひ識(し)れ」「覚悟を極めろ」

芳醇

長嘉の勝訴が何時になつても見當(みあ)たらないのだ 如何して
品位が麗しいのは事實なのに
泣いて負けを認むる獣の條理を諷刺せよ

あ、通り雨 憂ひ菩薩 雲 行きて また 晴れて
配置されし 僕の記号 期待すれば氣付いてしまふ
模範だらけ 模倣だらけ 續いて 往く 此の 営み


2.ドツペルゲンガー

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

今日は 然樣なら
愛してる 大嫌ひ
夕暮 目雨
懇(ねんごろ) 赤の他人

見えてしまつたよ 慾を掌つた過去形
まう罷めるよ ほらすぐ此處に示して
樂にしてあげる

今日は 御休み
前のめり 淑(しとやか)
夕暮 波久扎雲
苗床 赤の他人

消えてしまつたよ 己を能(よ)く模した騷靈
まう決めたよ ほら災ひを起こして
取り憑いてあげる

見えてしまつたよ 美意識を孕むだ愛憎
まう辭めたよ ほら須く示して
其處は天國


3.迷彩

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

「ねえ一層遠く知らない街に隱居して
沈默しませねこと?
きおんな日ひには厭きたのさ
ねえだうぞ攫つて行つて」

逃げ延びて水密桃(すいみつとう)に未練
砂みたいな意識と云ふ次元で
逃げ延びた暑さよ何邊(いずこ)へ
搖れて生じ
其の儘 怠惰に委ねた
最後の青さ

※もう還らないと知つた溫度も
超へられぬ夜の恐怖色
境界に澱むでるた決心の甘さ
たうに喪(うしな)つた岸壁打つは
引いてくれぬ後悔と濤(なみ)色※

待ち侘びて凍る馨(か)は混凝土(コンクリイト)
砂みたいな意識と云ふ器官で
待ち侘びた寒さよ何邊へ
搖れに動じ
此の儘 愛情に模した
修正ペンの白さ
現狀を必死で繕つては
剝いだ素肌に恐怖色
傍觀に徹してるた感慨の淡さ
たうに喪つた雷雨仰ぐは
泣いてくれぬ忍な雲の色
最後の青さ

(※くり返し)


4.おだいじに

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

氣持ちは晴れ 身体も未だ自由が利く
眼に映る良さ 映らぬ善さ
鄰の芝 青く見えたら出來るだけ睡(ねむ)るのさ
肌を包むガーゼは白い噓 甘いわな
自ら裏切るなら樂をするに限るさ
大人だから小さく唄ふ位 笑ふ位許してね
息が出來る頃迄

氣の果てまで同じ風が馨つたら善い
手にする貴さ 出來ぬ尊さ
覺えた儘 內緒の地圖で雨の中を出掛けやう
背中を濕らすのは赤い疑念 辛い罰
憂き世に居た堪れない悲劇が溢れたとしやう
大人だから今日はまう唄ふ位 笑ふ位許してね
守るものは護るさ


5.やつつけ仕事

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

毎日襲来する強敵電話のベル
迫っては平穏なる感度を欲するのさ

高速 渋滞とは云っても低速だろう
真理と相反する条理に従服姿勢

何も良いと思えない
余り憤慨もしない
今日は何曜日だった
然して問題じゃないか
------嗚呼 痛い思いをしたいのに

興味や関心を奪う程合う辻褄
或いは目合(まぐわ)いを以って営んでなんて目論んで居ないか

操作(コントロール)して頂戴
退屈が忌ま忌ましい
銀座線 終電何時?
然して問題じゃないか
------嗚呼 機械になっちゃいたいのに

ねぇ「好き」って何だっけ?
思い出せないよ…


6.莖

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

此の扉(ドア)なら破れない
其の塔なら崩れない
彼(あ)の天なら潰れない
何(ど)れも嘘らしく馨つてゐます

喩へ蒔いても育つても仙人草(クレマチス)
咲いても強く色付かうとも
瞬時に黙つて堕ちて逝きます

如何して? 何故 哀しくなつたの
現実の夢

此の肺なら破れない
其の顔なら崩れない
彼の天なら限りない
何れも赤色に匂つてゐます

斯くて哭(な)いては惑つては生(な)りませぬ
立つたら強く進まなくては
やつとで呼吸に成つて来ました

如何して? 何故 魘(うな)されてゐるの
現実が夢

今日からは生えても芽吹いても仙人草
咲いても悦び過ぎないから
大事な生命 壱ツだけ だうか持つて行かれませぬ様に
哭いたり惑つたり致しませぬ 立つたら弐度と倒れないから
何も要らない 壱ツだけ だうか 誰か 嗚呼

エントリー番号壱(ナンバーワン)


There's a door here, but it will not break
There's a stone there, but it won't remain
Up there a heaven now, but it will not wait
And the lies there, the scent of it , just too much
So should you,
Sow it once and make it grow,the sweet clematis
Let it flower, and paint it all of the colors bold
Instantly things fall and fade,return to silence
Why oh why, why does it all feel so sorrowful?
Dreams of what is real

There's breath here, but it will not break
There's a face there, but it won't remain
Up there a heaven now, but it knows no name
And the stain is the color of red through red
And thus,
You cannot cry, confuse the lies,try to remember
When you rise, you take you stepswith a strong desire
Time goes by, a breath it comes,like something given
Why oh why, why have there nightmares not long expired
The real is but a dream

From now on,
Should it grow and open full,the sweet clematis
Flower bold, but there's no need for rejoicing more
Precious life, this life just once,it comes just one time
Keep it close, keep it from ever just leaving you
Crying tears confusing fears they are no longer
When I stand I know I'll never be down again
Nothing that I need now,once it comes just one time
Somehow, somehow, someone, ah
Entry Number One


7.とりこし苦勞

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

え、い儘よ 恥ぢも棄て去らむ
あんた程の 男等居らぬ
燃盛る樣 爪 熔けにけり
あんただけは 奪はれたくない

お願ひ 何處にも行かないでよ
ねぇ 後生だから傍に置いてよ

え、い儘よ 髮 伸びにけり
あんた故の 乙女心さ
如何でも宜し 詰まる處は
あんたの眼で 夺はれたのさ

お願ひ 誰にも云はないでよ
ねぇ 後生だから秘密にしてよ

どんな科白の效力に參ったつもりも無いわ
女の私を信じたきや默って「ついて」來い

え、い儘よ 迴り諄(くど)いぞなもし
こんなことにまう 口は使わぬ


8.おこのみで

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

指と謂う指を貴方に委ね束通
夢?見てる金色エナミルが伍本揃ふ
其處で 鳥渡(ちょっと)だけ 休憩を お口に合ひますか
さあだうぞ 唯濃密な接吻を お口に合ひますか

生命さへ怪しき瞬きに過呼吸
貴方に塗つて戴いた金色エナメルが拾本揃ふ
此處で やっとこさ 完成品 お眼鏡は如何
さあだうぞ 唯服徙の快感を お眼鏡は如何

「愛したひとは貴方だけ」善くも平氣で濡れし此の色目よ
似合ふのは さう 興味本位な 金色の爪(ネイル)
そして燃ゆる頰令今宵は果實色に 無言(しじま)の意圖か熟れゆく鎖骨のお皿
注いで 銘酒の內の取って置きなら

だって明日は如何生る身露知れず 果てはたった一時先の未來
其れすら確かぢゃ無いもの 端かぢゃないでせう

「愛するひとは貴方だけ」是がたった一時の真事(まこと)で痛くもない
剝いではまた塗って戴く爪(ネイル)
「愛と謂う言葉は不要です」いとも容易に濡れし此の色目よ
新しく演出して さあ何方でも
‧‧‧好きな樣に


9.意識

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

頭が有れば要は簡單に片付いて
子供と呼べば污されないで濟むのさ
僕に少しの光合成 君に似合ふ遺伝子を
ヒトは仕樣の無いことが好きなのだらう
「噓ヲ吐クナヨ」
泣いたら何だって
此の白い手に入りさうで
答へなら純粹だ
惹かれ合ってろる
こんな風に君を愛する 多分

幾つに成れば淋しさや恐怖は消へ得る
子供を持てばやがて苦痛も失せるのか
君が慕ふ思春期と 僕が用ろる反抗期
最早語呂を合はすことが
好きなのだらう
「噓ヲ吐クナヨ」
泣いたらどんな法も覆して願望通り
答へなら殘忍だ 騙し合ってろる
こんな風に君は愛する 多分

「噓ヲ吐クナヨ」
もう是以上知って
眠らない夜と心中未遂
思ひ出に酸化した此の含嗽藥(うがいやく)
迷彩(カムフラーヂュ)
無い物 頂戴なんて
憤(むずか)ってろる幼兒同樣
お母樣 混紡の僕を
恥ぢてろらっしゃいますか
君が愛した 僕


10.ポルターガイスト

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

もっと澤山(たくさん)逢いにろらして下さい‧‧‧さう口走った君。
僕は愛ほしく思ひ、大層動じたので、前髮の成す造形に神經を奪はれて、
鍵(キイ)も持たず家を出たのです。
斯くして、麗しき君の許へ超へてい想ひ、抑へました。
「今日は電車で!」の度乘り換へた頃、高まっていく時めきに
負けさうになってろることに氣付き始めました。
真實は最初で最後なのです‧‧‧さう口走った君。
僕は思ひ出しつつ、聰明な生き方を鳥渡(ちょっと)真似たいと感じ颯爽と步いては、
キッと嚴しい表情(かほ)をしたのです。
君を笑はす為に、微笑むでろやうと思ひ、鍛へました。
「扉(ドーア)の前にて!」若しも、此の部屋も無く、連なってろる輝きが
まやかしであらうとも僕に恐れなどはないです。
君はひと足先に微笑むで、幻視を與(あた)へました。
「こんな僕に!」徐(やを)ら、見境も無く慾しくなるまぼろしは孰(いづ)れ衰へても
僕には美しく見えます。君だけに是を唄ひます。


11.葬列

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

今朝は妙なメイルを拜受しました。
其處に「出生の意志」が載ッて居り、現在(いま)は、酸素を押しさうと必死です。
まう亡骸は消去完了‧‧‧何處にも桃源鄉は無いと云ひます。

僕は、兩(りやう)の肢から認知しました。
此處に「半分の意味」を見出して、現在は、酸素を吸ひ切ってしまふ準備中です。
亡骸に弁護は不要‧‧‧何處にも桃源鄉が無いのなら、お造り致しませう。

‧生むで廢棄する勇氣
‧空を斬ってゆく庖丁(ナイフ)
‧今日、胎盤、明日

僕を食しても植わらない理由は「渾(すべ)て獨りぼっちだから」。

さては、こんな輪迴と交際をする業が、お嫌ひなのでせう、當然です。
未だ何の「建設もき工」してるない、白紙に還す予定です。

お顏を。
さあ、拜見させて下さい。