勝訴ストリップ

椎名林檎 勝訴ストリップ歌詞
1.虚言症

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

しかし何故にこんなにも 眼が乾く気がするのかしらね
黄色の手一杯に広げられた地図には 何も無い

そして何故に 雨や人波にも傷付くのかしらね
魚の目をしているクラスメイトが敵では 決して無い

線路上に寝転んでみたりしないで大丈夫
いま君の為に歌うことだって出来る
あたしは何時も何時もボロボロで生きる

例えば少女があたしを憎む様な事があっても
摩れた瞳(め)の行く先を探り当てる気など丸で無い

※徒(いたずら)に疑ってみたりしないで大丈夫
いま君が独りで生きているなんて云えるの
君は常に常にギリギリで生きる
あたしは何時も君を想っているのに※

髪の毛を誘う風を何ともすんなりと受け入れる
眩しい日に身を委せることこそ悪いこととは云わない

無理矢理に繕ってみたりしないで大丈夫
いま君の為に歌うことだって出来る
あたしは何時も何時もボロボロで生きる

(※くり返し)


2.浴室

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

新宿のカメラ屋さんの階段を降りた茶店は
ジッポの油とクリーム あんたの台詞が香った
云ったでしょ?「俺を殺して」

今日は特別に笑ってばかりのあたしは丁度
さっき一度夢で死んだあんたを仕方無く愛す
どうか見捨てたりしないで

洗って切って水の中
呼吸器官は冒される
あたしが完全に乾くの いまきちんと見届けて
磨いて裂いて水の中
無重力に委される
あたしが完全に溶けたら すぐきちんと召し上れ

あんたが目の前で絶えて 嗚咽を止められなかった
何だか浮世の全て恋しくて堪らなかった
あんな夢を見させないで

甘い匂いに汚された
御留守になっていた守備部隊
あたしが完全に乾くのいまきちんと見届けて
赤い嘘に汚された
自分で吐いて傷を見た
あたしが完全に溶けたら すぐきちんと召し上がれ

云ったでしょ?「俺を殺して」

洗って切って水の中
呼吸器官は冒される
あたしが完全に乾くの いまきちんと見届けて
磨いて裂いて水の中
無重力に委される
あたしが完全に溶けたら すぐきちんと召し上れ

退屈なんか怖れていない
どうして二人は出会った?

退屈なんか怖れていない
どうして二人は出会った?


3.弁解ドビュッシー

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

言いたいことを探し疲れて 結果無駄口吐いてばかり
どうせあたしの人生語呂合わせなんだもん
どうして価値に理由を付けて ポーズを執らされているのかな
だって淀んだ水が薫るピアノなんだもん

あんたは仕様が無いと云うし 現実にあたしも判らぬ
泣いて惑う位なら もう 全部無かったことにしよう

甲斐性が無く向かい風のみ専門に出来る雄じゃなくちゃ
どうせあたしの人生語呂合わせなんだもん
チョーキングだけに支配されて変化する莫迦な女で宜(よろ)し
云々で誤魔化して好い加減に飛んで居たい

何でも買ってあげるから 帰るだなんて巳(や)めなさい
真の慈愛等恐らく 最初から欲しくなかった

本当は全部大事である
本当は全部ラピッシュであろう
本当は全部真理である
本当は全部トリックであろう


4.ギブス

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

あなたはすぐに写真を撮りたがる
あたしは何時も其れを厭がるの
だって写真になっちゃえば
あたしが古くなるじゃない

あなたはすぐに絶対などと云う
あたしは何時も其れを厭がるの
だって冷めてしまっちゃえば
其れすら嘘になるじゃない

don't U θink?
i 罠 B wiθ U 此処に居て
ずっとずっとずっと
明日のことは判らない
だからぎゅっとしていてね

ぎゅっとしていてねダーリン

あなたはすぐにいじけて見せたがる
あたしは何時も其れを喜ぶの
だってカートみたいだから
あたしがコートニーじゃない

don't U θink?

i 罠 B wiθ U 傍に来て
もっともっともっと
昨日のことは忘れちゃおう
そしてぎゅっとしていてね
ぎゅっとしていてねダーリン

また四月が来たよ
同じ日のことを思い出して

don't U θink?
i 罠 B wiθ U 此処に居て
ずっとずっとずっと
明日のことは判らない
だからぎゅっとしていてね

i 罠 B wiθ U 傍に来て
もっともっともっと
昨日のことは忘れちゃおう
そしてぎゅっとしていてね
ぎゅっとしていてねダーリン


5.闇に降る雨

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

余りの暑さに目を醒まし
さっき迄見ていた夢の中
東西線はあたしを乗せても
新宿に降ろしてくれなくて

辿り着けない 此処に欲しい腕や髪や首筋
貴方の嫌う生温い雨に濡らされてゆく

貴方に降り注ぐものが
譬え雨だろうが運命だろうが
許すことなど出来る訳ない
此の手で必ず守る
側に置いていて

天気予報が外れてばかりの
毎日が見させた嘘の闇
高揚も時めきも溜め息も消耗し
やがて失くなりそうで

招きたくない
空々しい土の香や向日葵の
すぐにも迎う馨(かぐわ)しい 絵画と化する日など

貴方を知り尽くすことが譬え
可能だろうが不可能だろうが
満たされる日が来る筈もない
身体が生きている限り
側に置いていて

貴方に身を委(まか)すことが譬え
危険だろうが安全だろうが
留め金などが在る筈もない
全て惜しみなく挙げる
貴方に降り注ぐものが譬え
雨だろうが運命だろうが
許すことなど出来る訳ない
此の手で必ず守る
側に側に置いていて


6.アイデンティティ

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

是程多くの眼がバラバラに
何かを探すとなりゃあ其れなり
様々な言葉で各々の全てを
見極めなくちゃあならない
正しいとか 間違いとか
黒だとか 白だとか

何処に行けば良いのですか
君を信じて良いのですか
愛してくれるのですか
あたしは誰なのですか
怖くて仕方が無いだけなのに…

是迄多くの眼がちやほやと
ひたすらあたしを肯定した
様々な合図でてきぱきと
姿を見破られなくちゃあならない
優れていて 劣っていて
数だとか レヴェルとか

此処に居れば良いのですか
誰が真実なのですか
お金が欲しいのですか
あたしは誰なのですか
何処に行けば良いのですか
君を信じて良いのですか
愛してくれるのですか
あたしは誰なのですか
此の先も現在(いま)も無いだけなのに…


7.罪と罰

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

※頬を刺す朝の山手通り
煙草の空き箱を捨てる
今日もまた足の踏み場は無い
小部屋が孤独を甘やかす※

△「不穏な悲鳴を愛さないで
未来等 見ないで
確信出来る現在だけ重ねて
あたしの名前をちゃんと呼んで
身体を触って必要なのは是だけ認めて」

愛してる独り泣き喚いて
夜道を弄れど虚しい
改札の安蛍光燈は
貴方の影すら落さない

歪んだ無常の遠き日も
セヴンスターの香り
味わう如く 季節を呼び起こす
あたしが望んだこと自体
矛盾を優に超えて
一番愛しいあなたの声迄
掠れさせて居たのだろう

静寂を破るドイツ車とパトカー
サイレン 爆音 現実界
或る浮遊

(△くり返し)

「不穏な悲鳴を愛さないで
確信出来る 現在だけ 重ねて
あたしの名前をちゃんと呼んで
身体を触って必要なのは是だけ認めて」

(※くり返し)


8.ストイシズム

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎
編曲:亀田誠治、椎名林檎

あっあー

あーああーああ ああーあ あーあー
あーああーああ ああーあ あーあー
あーああーああ ああーあ あーあー
あーああーああ ああーあ あーあー

でんよとんゃちを
えまなのしたあ

ララララ あなた あなた ルルルル きれい きれい ドシーラーソファ
ララララ すてき すてき ルルルル きらい きらい ドシーラーソファソー

アクセル アクセル ブレーキ ブレーキ
ブレーキ アクセル ブレーキ ブレーキ
アクセル ブレーキ ブレーキ アクセル
パーキング

あーああーああ ああーあ あーあー
あーああーああ ああーあ あーあー
あーああーああ ああーあ あーあー
あーああーああ ああーあ あーあー

でいなさいあを
いめひなんおふ

ララララ つよい つよい ルルルル きれい きれい ドシーラーソファ
ララララ よわい よわい ルルルル きらい きらい ドシーラーソファ
ララララ あなた あなた ルルルル きれい きれい ドシーラーソファ
ララララ すてき すてき ルルルル きらい きらい ドシーラーレシレ


9.月に負け犬

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

好きな人や物が多過ぎて 見放されてしまいそうだ
虚勢を張る気は無いのだけれど 取分け怖いこと等ない

此の河は絶えず流れゆき
一つでも浮かべてはならない花などが在るだろうか
無い筈だ
僕を認めてよ

明日 くたばるかも知れない
だから今すぐ振り絞る
只 伝わるものならば 僕に後悔はない

何時も身体を冷やし続けて 無言の季節に立ち竦む
浴びせる罵倒に耳を澄まし 数字ばかりの世に埋まる

上手いこと橋を渡れども
行く先の似た様な途(みち)を 未だ走り続けている
其れだけの
僕を許してよ

逢いたい人に逢うこともない
だから手の中の全てを
選べない 日の出よりも先に 僕が空に投げよう

吐く息が 熱くなってゆく
明日くたばるかも 知れない だから今すぐ 振り絞る
只 伝わるものならば 僕に後悔はない

逢いたい人に 逢うこともない だから 手の中の全てを
選べない 日の出よりも先に 僕が空に投げよう


10.サカナ

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

ちっぽけで汚らしい動物 雌
一体生まれてから二十年弱
生きて来たのだろうか 其の上
只 易々と 泳いで行くのかしら

たった今頂戴した言葉 其れ
一体どういう意味を持つのですか
「愛している」と云う腕の中で
只 易々と 泳いで行くのかしら

※あたしが足の指五本 踵一個
不思議も無く此処にへばりつける
此のことを詳しく説明して下さいな
唇ばかりをそう見つめる前に

はっきりしないあたしの生態 雌
一体 生まれる迄歴史などが
少しでも動いたと 云えるの
只 安々と 泳ぐだけなら

あたしが届かない雲の彼方に
不思議も無く厳かに構える
日のことを詳しく説明して下さいな
手を取り優しくそう捕える前に


11.病床パブリック

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

ドイツ色のタクシーなら
新橋目指す 外苑東
レスポールは 絶対 黒
対向車線 快感ジャガー

巧妙 自制 白血球
片や妄想に生命を揺らし
消化した筈の汚物まで
戻して失う

噛んだ爪を吐いて捨てた
四丁目は呑気過ぎる
感情共 燃焼さす
Y染色 減少気味

頽廃 裸体 安全圏
既にもう女として生まれた才能は
発揮しているのだけど
脱がせて欲しい

巧妙 自制 白血球
片や妄想に生命を揺らし
消化した筈の汚物まで
戻して失う

倦怠 虚勢 優等生
もしも愛なんて呼んでいなくて
信号と言う回答であなたを 誘い出しても
変わらないかな


12.本能

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

約束は 要らないわ
果たされないことなど 大嫌いなの
ずっと繋がれて 居たいわ
朝が来ない窓辺を 求めているの

どうして 歴史の上に言葉が生まれたのか
太陽 酸素 海 風
もう充分だった筈でしょう

淋しいのはお互い様で
正しく舐め合う傷は誰も何も 咎められない
紐 解いて 生命に 擬う

気紛れを 許して
今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って
あたしの衝動を 突き動かしてよ

全部どうでもいいと云っていたい様な月の灯
劣等感 カテゴライズ
そういうの 忘れてみましょう

終わりにはどうせ独りだし
此の際虚の真実を押し通して絶えてゆくのが良い
鋭い其の目線が 好き

約束は 要らないわ
果たされないことなど 大嫌いなの
ずっと繋がれて 居たいわ
朝が来ない窓辺を 求めているの

気紛れを 許して
今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って
あたしの衝動を 突き動かしてよ


13.依存症

作詞:椎名林檎
作曲:椎名林檎

急に只 寝息が欲しくなって 冷凍庫にキーを隠したのです
夢の隙に現を殺し 戦う不条理なレッグカフ
…今朝の二時

シヤーベッツのロゴが溶けている 黄色い車の名は「 」
明け立ての夜を強請(ねだ)る 品川埠頭に似合うのです
…今朝の五時

あたしが此のまヽ海に沈んでも 何一つ汚されることはありませぬ
其れすら知りながらあなたの相鎚だけ
望んでいるあたしは病気なのでしょう

甲州街道からの渋滞が激化して 日本の朝を見ました
覚醒を要する今日と云う 厳しい矛盾に惑うのです
…つい先(さっき)も

どれ程 若さの上に丸で雲切れの笑顔を並べど変わりませぬ
孤独を知る毎に あなたの相鎚だけ望んでいるあたしはあたしは
あなたの其の瞳が頷く瞬間に初めて生命の音を聴くのです
天鵞絨(ビロード)の海にも 仕方のないことしか無かったら
あたしはどう致しましょう

翻弄されているということは 状態として美しいでしょうか
いいえ 綺麗な花は枯れ 醜い過程が嘲笑(わら)うのです
…何時の日も