西方裕之全曲集2010

西方裕之 西方裕之全曲集2010歌詞
1.津軽の春

作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

流れる雲に 故郷(こきょう)が見える
リンゴの花咲く 津軽の春よ
みんな元気か 変わりはないか
あの町 あの顔 なつかしい
あーふるさとは 心の駅だ

白樺林(しらかばばやし) みどりの丘に
二人で眺(なが)めた お岩木山(いわきやま)よ
夜行列車に 思いを残し
別れた あの子の あの涙
あーあの日から 幾年(いくとせ)過ぎた

厳(きび)しい冬の 寒さに耐えて
大地(だいち)が芽をふく 津軽の春よ
いつも勇気と やさしさくれる
あの山 あの川 あかね空
あーふるさとは 心の駅だ


2.大糸線

作詞:喜多條忠
作曲:徳久広司

松本を過ぎると 空気が冷たい
二十四を過ぎた お前には
世間が 冷たいだろう
お前がむいた みかんの匂い
列車の中に たちこめて
大糸線は 河ぞいに
深くよどんだ 悲しみ流す
糸魚川(いといがわ)には 夜につく
せめてそれまで 肩だきあおう

引越のたびに 荷物がへるねと
笑ったお前の 横顔に
心がなごんだものさ
お隣りにあげた 朝顔の苗は
今年の夏に 咲くだろうか
大糸線は 胸の中
細く流れる 雪どけ水か
糸魚川(いといがわ)には 夜につく
せめてそれまで 肩だきあおう

大糸線は 胸の中
細く流れる 雪どけ水か
糸魚川(いといがわ)には 夜につく
せめてそれまで 肩だきあおう


3.雨情話

作詞:岡みゆき
作曲:徳久広司

誰の残り香 あなたの枕
知らぬふりして すがる胸
そんな人では なかったはずと
燃える身体の 裏側で
雨 雨 雨が降る
別れの音も しのび足

のぼりつめれば 男のこころ
冷めるものよと 聞く噂
あなたお願い 違うと云って…
指をからめば 窓の外
雨 雨 雨が泣く
夢みた夢も とぎれがち

愛し方さえ いつもと違う
怖いくらいに やさしくて
泣いて叫んで 泣きたい訳を
云えばどうなる この恋に
雨 雨 雨が降る
悲しみ色に 染まる夜


4.雪夜酒

作詞:水木れいじ
作曲:市川昭介

宿の蛇の目傘(じゃのめ)に 身をよせあって
渡るこの世の 罪の橋
逢うが別れの いで湯の郷(さと)で
人目しのんで 燃える恋…
あなた酔わせて…酔わせて…雪夜酒(ゆきよざけ)

まわり道でも 倖せ探す
肩にひとひら 冬紅葉(ふゆもみじ)
寒くないかと 両手で包む
そんな情(なさけ)が ただ欲しい…
あなた泣かせて…泣かせて…雪夜酒

あれは始発の 汽笛の音か
こころ乱れる 虎落笛(もがりぶえ)
雪見障子を 背中で閉めて
すがる女の 夢ひとつ…
あなた抱いてて…抱いてて…雪夜酒


5.未練の風が吹く

作詞:木下龍太郎
作曲:松原正明

路地のこぼれ灯 拾っても
男ごころは 晴れはせぬ
屋台で今夜も しのび酒
いまもお前は ひとりと聴(き)けば
胸のすき間に 未練の風が吹く

すがるお前の やせた手を
無理に解(ほど)いて うしろ向き
若さがさせたか まよい酒
遠いあの日に 戻(もど)れるならば
逢って詫(わ)びたい 男のわがままを

月に恋しい 面影が
浮かぶ屋台の 暖簾(のれん)越し
苦さが沁(し)みるよ ひとり酒
呑(の)んできっぱり 忘れるはずが
酔えば心に 未練の風が吹く


6.玄海そだち

作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

俺は唐津の 荒磯(あらいそ)育ち
海が俺らの おふくろさ
男玄海(げんかい) 命をかけて
今日も漁場で 網(あみ)を曳(ひ)く
それ行けドッコイドッコイドッコイショ
(オッサー)暴れ船

あれは宵曳山(よいやま) 太鼓の音よ
家じゃ女房が 酒支度
祭り玄海 男の華(はな)だ
三ヶ月(みつき)だおれの 見栄をはる
それ行けドッコイドッコイドッコイショ
(オッサー)男伊達(おとこだて)

風が身を切る 骨切る海は
柔(やわ)じゃもたない 地獄だぜ
男玄海 度胸と意地で
夢を咲かせる がまん船
それ行けドッコイドッコイドッコイショ
(オッサー)日が昇る


7.湯けむりの宿

作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

送る背中が つらいから
わたし始発で 帰ります
湯けむりの
湯けむりの なさけ宿
昨夜あなたに 愛されて
今朝はわかれる いで湯駅

明日が見えない ふたりでも
契(ちぎ)る情けに うそはない
湯けむりの
湯けむりの しのび宿
光る線路の その先は
狭霧(さぎり)流れる いで湯駅

倫(みち)にはずれた 恋だけど
罪はわたしが せおいます
湯けむりの
湯けむりの かくれ宿
胸にあなたの ぬくもりを
抱いて汽車待つ いで湯駅


8.赤とんぼ

作詞:たきのえいじ
作曲:弦哲也

夕焼けが やけに目に沁みる
ビルの谷間の 赤とんぼ
なつかしい ふるさとが
まぶた閉じれば 浮かんでくるよ
帰りたいよ あの町へ
流れゆくあの雲に 乗って行きたいよ

夢だけは 今もこの胸に
抱いているのさ 人知れず
気にかかる 今もなお
幼馴染(おさななじみ)のあの娘(こ)の事が
しあわせなら それでいい
流れゆくあの雲を 何処で見てるやら

かんべんな 便り出しもせず
いつになるやら 帰る日は
達者かな おふくろは
親父カラオケ唄ってるかな
変わりないか 風邪ひくな
流れゆくあの雲に 祈るこの俺さ


9.冬・七夕

作詞:木下龍太郎
作曲:聖川湧

貴方(あなた)を迎える 蛇の目の傘を
雪が白地に 染め変える
一年は 長過ぎますわ
一人待つ身の 女には……
冬・七夕と 名を付けた
年に一度の しのび逢い

女の口から お酒をねだる
早く酔いたい 置炬燵(おきごたつ)
この指を 憶えています
憎い恋しい 指だから……
乱され燃えた あの夜が
肌を通して 蘇(よみがえ)る

一日 日付(ひづけ)が 変わっただけで
駅へ貴方(あなた)を また送る
わがままを 言っては駄目(だめ)ね
夢があるだけ まだいいの……
冬・七夕の 恋ならば
次の逢瀬も 雪見月


10.薄羽かげろう

作詞:吉岡治
作曲:徳久広司

宿の浴衣(ゆかた)の 藍染(あいぞめ)に
触れればたちまち 罪になる
脱いでも脱いでも あゝ わたし女です
枕灯(まくらあか)りに 焦(こ)がれて痩(や)せた
薄羽(うすば)かげろう おんな宿

紙のこよりの 指輪でも
あなたに貰(もら)えば 嬉しくて
一夜の一夜の あゝ 赤い契り糸
夢でふたりが 飛べたらいいわ
薄羽(うすば)かげろう 恋地獄

忍ぶ恋でも 恋は恋
口惜(くや)しい縁(えにし)の 闇路(やみじ)です
抱いても 抱いても あゝ 別れつれてくる
命まるごと 預けてみても
薄羽(うすば)かげろう おんな宿


11.夢追い川

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

川の瀬音か 降る雨か
山の湯宿(ゆやど)は こころがしぐれる
夢をみさせて もう一度
浴衣の肩を抱きよせた
あの日のあなたが盃(さかずき)に
こぼれてすがる 夢追い川よ

誰を呼ぶのか 水鳥よ
声がわびしく 夜雨(よさめ)にあとひく
夢をみさせて ねぇ あなた
拭いても残るくち紅の
色さえさみしく身をせめる
あなたが欲しい 夢追い川よ

酔いにうたたね 手枕の
耳に流れる せせらぎ悲しい
夢をみさせて もう一度
湯の香に匂う黒髪が
今夜もあなたに濡れながら
乱れてからむ 夢追い川よ


12.恋文流し

作詞:星野哲郎
作曲:徳久広司

みどりの川の 紅い橋
渡れば揺れる 藤の花
忘れるはずが 忘られなくて
私はいまも 独(ひと)りです
ひらひらひらと 散る花は
あなたに送る 恋文流し

見つめる人の 悩みまで
洗ってくれる 人でした
あなたの化身(けしん) 紫花(むらさきばな)の
花びら拾い くちづけて
ひらひらひらと 天国へ
届けと送る 恋文流し

あなたを偲ぶ 山の端(は)の
花残月(はなざんげつ)の 懐かしさ
女の春を 粗末にするな
叱ってくれた あの声を
ひらひらひらと いまいちど
返して欲しい 恋文流し


13.恋路川

作詞:早川詩朗・鳥居実
作曲:板谷隆

バカな女と云われてもいい
すがりつきたいもう一度
いやよいやです次の世なんて
死んでいいのね この恋抱いて
どこまで迷う 恋路川

逢えぬつらさに涙もかれて
ひとり女の頼りなさ
あなた以外に愛するなんて
とてもできない 出来ない女
どこまで迷う 恋路川

一生一度のこの恋だから
思いきれない忘れない
あるき疲れた心の中に
いつかぼんやり夕陽も落ちて
どこまで迷う 恋路川


14.紀ノ川

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

春まだ浅い 吉野路(よしのじ)を
追われてゆくのも 恋のため
降る雨のつめたさ 肩をぬらして
人目(ひとめ)しのんで 舟を漕(こ)ぐ
あなただけ おまえだけ 情けの紀ノ川

行方(ゆくえ)もしれぬ さざ波の
うわさがつらい 木(こ)の葉舟(かぶね)
身をよせて手と手を かさねあわせて
にじむ灯りに 目をぬらす
あなただけ おまえだけ 涙の紀ノ川

漂うだけの 水草(みずくさ)も
春には芽を吹く いのち草
この川の果てには きっとふたりの
愛を結べる 岸がある
あなただけ おまえだけ 情けの紀ノ川


15.遠花火

作詞:竜はじめ
作曲:徳久広司

下駄がからころ 後追うように
浴衣の裾に 絡みつく
夜空にひとつ またひとつ
肩を寄せ合う 橋の上
瞬間(とき)を彩る 遠花火

燃えて広がる 菊一輪も
音と光の すれ違い
川面(かわも)にひとつ またひとつ
添えぬ二人に 似た運命(さだめ)
消えて儚(はかな)い 遠花火

縋(すが)りつきたい 思いの丈(たけ)を
秘めて髪梳(す)く いで湯宿
鏡にひとつ またひとつ
今宵かぎりの 花化粧
咲いて散りゆく 遠花火


16.北海酔虎伝

作詞:星野哲郎
作曲:徳久広司

親にもらったヨ 名前もあるに
虎と呼ばれる 無法者
人のいやがる 船に乗り
人にゃ呑めない 酒をのむ
夢も北海 酔虎伝

酒で寒さはヨ しのげるけれど
浴びる吹雪に 血も凍る
男 いっぴき さいはての
海を墓場と 決めて咲く
花は北海 酔虎伝

酒と女をヨ はかりにかけて
酒を選んだ 男だぜ
呼ぶな ウトロの恋灯り
どうせ一生 この海で
唄う北海 酔虎伝