銀の記憶

谷山浩子 銀の記憶歌詞
1.ひとりでお帰り

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

明りの消えた真夜中の街
舗道に軽い音をたて
ひとりできみは まだ踊ってる
夢の終わりを信じない

いつまでそこにいるの
つま先立ち 跳ねておどけて
いつまでそこにいるの
まわりにはもう誰もいない

ひとりになったきみの隣に
寄り添うやせた影法師
右手をふれば左手をふる
うずくまればうずくまる

きみの今のその淋しさが
遠い街の見知らぬ人の
孤独な夜を照らす
ささやかな灯に変わるだろう

店じまいした空の上から
満月 きみに声かける
暗くけわしい道をわたしが
照らしていてあげるから

どんなに淋しくても
きみはひとりでお帰り
どんなに淋しくても
きみはひとりでお帰り

たとえば夜が深く
暗がりに足が怯えても
まっすぐに顔を上げて
心の闇に沈まないで

どんなに淋しくても
きみはひとりでお帰り
どんなに淋しくても
きみはひとりでお帰り


2.銀の記憶

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

真っ白な冬の曇り空 黙ってみつめてた
放課後の 淡く光る窓 ガラスごしに
その時ふいに 廊下を歩いてきた ひとつの影
それはまるで 少年の姿をした音楽のように

瞬間にわたしをとらえた あなたのまなざしが
永遠を 銀色の爪で 刻みつけた
あなただけが 見えない翼を背中に持ち
高く高く 灰色の人の群れをすり抜けて飛んだ

世界が遠のき 薄れて消えたそのあとに
あなただけがそこにいた 確かな記憶

真っ白な冬の曇り空 あなたはもういない
日暮れ前 降り出した雪に 凍えながら
こんなに広く淋しい宇宙の ふたつの船
離れて行く 時に隔てられ もう声も届かない


3.ガラスのラビリンス

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

好きだとささやく声が 少しだけ
冷たいね 感じている
だけど信じていようと 何度も心に
言い聞かせていた

あなたをのせてる ガラスのメリーゴーラウンド
近づいて また遠ざかる
近づくたびに笑って あなたは手をふる
そしてはなれていく

わたしは とても淋しいと
あなたに 言えない

あなたのいつもの やさしさがすべて
かくしてしまうから

恋のはじまりは 息もとまるほど
抱きしめて ふるえてたね
どうして人の心は かわってしまうの
時はとめられない

チャイムが 閉園の合図
扉がしまるよ

ひとつまたひとつ 消えていくイルミネーション
音楽も途切れた

わたしは とても淋しいと
あなたに 言えない

あなたのいつもの やさしさがすべて
かくしてしまうから

名前を呼んでも 誰も応えない
ガラスの迷宮で

あなたのいつもの やさしさがすべて
かくしてしまうから


4.かくれんぼするエコー

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

怖いほどに輝く真昼の空
陽射しは金の魔女
襲いかかるまぶしさ 目が眩んで
立ちつくす 僕は

ぼんやりしていないで
早くきみを 探し出さなくちゃ
だけどきみの姿はどこにもなく
ただきこえてくる KAKKOH!

長い長い時が流れた
いくつめかの歴史が幕を閉じて
人は生まれ 人は消え去り
石の上に 足跡だけを残す

僕がきみの名前を忘れてから
長い時がたち
あれからきみはずっと隠れたまま
これがきみの罰

僕は昔犯した罪のために
言葉を奪われ
金色のライオンに姿を変え
きみを探してる KAKKOH!

(そして彼はたぶん永遠に気づかない
自分の探す相手が一体誰なのか
彼はたぶん永遠に気づかない
なぜその人はどこにもいないのか)

長い長い時が流れた
胸焦がして 面影追い求めて
顔も声も思い出せない
いとしい人 きみはどこに隠れている?


5.月見て跳ねる

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

月が投げかける 木立の影を
あなたの歩く影と 見誤り
わたしは跳ねる うさぎのように
あなたに会えた 会えた嬉しさ

だけどよく見れば また見間違い
何もかもあなたに 見えるから
わたしは跳ねる うさぎのように
あなたにきょうも ただ会いたくて

きらめく水しぶき 夜の宝石
街中飾るから きっとみつけにきて

見知らぬ人たちの 眠りの糸が
からまり紡ぎ出す 迷路を抜けて

月は青ざめた 水晶の火を
燃やしてみつめている 恋心
わたしは跳ねる 月見て跳ねる
あなたが好きで こんなに好きで

あなたがいるだけで わたしは幸せ
他には望まない 何もいらない

世界に凍るような 冬が訪れて
全てをなくしても あなたがいれば


6.鏡

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

眠りの中いつまでも 暮れない黄昏
昏い西日の焼けつく ひび割れたガラス窓
あなたを殺しつづける 夢から醒めない
叫びつづけるナイフが この手から離れない

ねえ 鏡はどこ? 鏡はどこ?
なぜどこにも 鏡がないの?
鏡はどこ? 鏡はどこ?
わたしの顔 わたしの声

飽きもせずにくりかえす 同じ夢の中
死骸だけがふえてゆく わたしの部屋の中に
遠い昔 一度だけ みつめたあなたが
私の夢をうずめる 惨い過ちのように

ねえ 鏡はどこ? 鏡はどこ?
なぜどこにも 鏡がないの?
わたしはどこ? わたしはどこ?
記憶の底 横切る影

ねえ 愛してると 愛してると
ささやいてよ ただ繰り返し
波のように 歌のように
ささやいてよ ただ繰り返し

愛してると 愛してると
ささやいてよ ただ繰り返し
波のように 歌のように
ささやいてよ ただ繰り返し…


7.月と恋人

作詞:谷山浩子
作曲:上野洋子

きみの小指の先から 邪悪な冷気が出てる
狂い始めたら 誰も きみを止められない
一晩 しゃべりつづける なんにも意味のない嘘
クルクルと回るだけの きみと影のダンス

気をつけて (満月に)
つかまるよ (あばかれた)
隠しても (心を) もう隠せない

月の子供の ランラララ…
笑う夜 ランラララ…
恋する者たちは ランラララ…
眠れない いつまでも

見えないグラスの中に 見えないワインを注ぐ
国中のアクマたちと そして恋のために
きみはただ恋のために 何もない恋のために
踊り続ける 疲れて 倒れて眠るまで

闇の中 (くちづけに)
恋人は (とかされて)
金色の (金色の) Ah 汗をかく

夢が心の ランラララ…
戸をたたく ランラララ…
誰もが胸(むな)さわぎ ランラララ…
眠れない いつまでも

月の子供の ランラララ…
笑う夜 ランラララ…
恋する者たちは ランラララ…
眠れない いつまでも

夢が心の ランラララ…
戸をたたく ランラララ…
誰もが胸(むな)さわぎ ランラララ…
眠れない いつまでも


8.夜のブランコ

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

初めて逢った時に ひと目で恋をした
誰にも言わないで 逢いに来て 夜のブランコで待ってる
やさしい人たちを 裏切り 嘘をついて
ぬけ出して 走って来たの 逢いに来て 夜のブランコで待ってる

わたしは夜咲く ガラスの花よ あなたの手で こわして
かけらになって 粉になっても あなたが好きよ 好きよ

指輪ははずして来て まぶしくて胸がいたい
あなたの黒い指が からみつく 夜のブランコで待ってる

あなたの机の上 ほほえむ写真を伏せて
愛なんて言葉忘れて 逢いに来て 夜のブランコで待ってる

わたしの中で赤く燃えてる 星が熱いの 熱いの
ゆれるブランコ ゆれて死ぬほど あなたが好きよ 好きよ

初めて逢った時に ひと目で恋をした
帰れないもう二度と 逢いに来て 夜のブランコで待ってる

逢いに来て 夜のブランコで待ってる


9.Miracle

作詞:谷山浩子
作曲:上杉洋史

この世に生まれおちた その瞬間から
きょうまで歩いてきた あなたの人生が
たまらなくいとおしく 抱きしめたくなる
あなたを育てた町 愛した風景を

あなたが生まれてきたこと
あなたが生きていることを
世界中に感謝したい かなえられた奇跡のよう

こんなにも愛してる あなたのすべてを
淋しさもあやまちも そのまま愛してる

わたしと出会う前の いくつもの恋が
あなたをきっとこんな きらめく人にした

あなたを照らした星たち
めぐりあい別れた人たち
せつない記憶は今も あなたの中で生きてる

そのままで愛してる あなたのすべてを
どんな過去も未来も そのまま愛してる

あなたが生まれてきたこと
あなたが生きていることを
世界中に感謝したい かなえられた奇跡のよう

こんなにも愛してる あなたのすべてを
淋しさもあやまちも そのまま愛してる

そのままで愛してる あなたのすべてを
どんな過去も未来も そのまま愛してる

どんな過去も未来も そのまま愛してる


10.二人目の人類

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

真夜中に目が覚めて となりを見ると
わたししかいないはずの この部屋の中
誰かが寝ていた

この人は誰? わたしではないし
この人は誰? 影ではないし

静かな部屋に寝息の音が はっきりきこえる
さわってみると温かい 腕も胸も肩も
確かに生きてる

この人は誰? わたしではないし
この人は誰? 夢ではないし

この部屋の中に わたしだけの世界に
23年目にして訪れた 二人目の人類

眠るあなたのうしろの闇に 何十億の
見知らぬ母が 見知らぬ兄が 見知らぬ友が
ふと見えた気がした

この人は誰? わたしでない誰か
この人は誰? どうしてここにいるの?

この部屋の中に わたしだけの世界に
23年目にして訪れた 二人目の人類

世界にとってみれば ちっぽけなひとり
だけどわたしにとっては 初めての
いとおしい魂