全曲集/望郷江差

金田たつえ 全曲集/望郷江差歌詞
1.望郷江差


2.おまえさん

作詞:吉田旺
作曲:松原謙

紺の暖簾に 染めぬいた
゛夫婦゛二文字が 目に沁みる
やっとだせたね ふたりのお店
好きなお酒も 好きなお酒も 我慢した
甲斐があったね おまえさん
ネエ おまえさん

両親の許しも ないままに
乗った夜汽車が 振り出しで
貧乏 貧乏の 駆落ち生活
それもいまでは それもいまでは なつかしい
夢のようだね おまえさん
ネエ おまえさん

派手な花輪は ないけれど
むかし仲間の 顔と顔
今日の開店を 飾ってくれる
唄もうれしい 唄もうれしい 祝い節
泣けてきちゃった おまえさん
ネエ おまえさん


3.人妻

作詞:一ツ橋雪
作曲:保田幸司郎

しあわせあげると言われた人に
すがれぬ運命の それは人妻
愛することも答えることも
眠むることも 目覚めることも許されぬ
あゝ私は悪い女です
すべてをすてて 行けない女です

夢か誠か しのび逢う夜は
あやしく燃える それは人妻
尽くすことも 堪えることも
励ますことも 支えることも 届かない
あゝ私は罪な女です
あなたのために死ねない女です

死ぬも生きるもあなたのままと
心は捧げた それは人妻
寄りそうことも 見つめることも
甘えることも 安らぐことも かりそめか
あゝ私はずるい女です
おぼれて泣いても 所詮は人の妻


4.あかね雲

作詞:一ツ橋雪
作曲:保田幸司郎

出稼ぎばかりの 明け暮れに
泣いてたお前はヨー もうはや二十才
明日は文金花嫁御寮
見せてやりたや 見せてやりたや恋女房
うすい縁のヨー あかね雲

手塩にかけた 娘なら
幸せになれヨー 涙がほろり
女房ゆずりの 器量よし
空を仰いだ 空を仰いだ横顔に
幼いままのヨー 泣きぼくろ

たまにはおやじの ひげ面が
恋しくなったらヨー 一緒に帰れ
愛し殿御と ヤヤ連れて
抱いてやろうぞ 抱いてやろうぞふところに
明日は晴れるかヨー あかね雲


5.夜の蝉

作詞:萩原たかし
作曲:花笠薫

あられなく胸をふるわせ 夜鳴く蝉は
誰に焦がれて 泣くのでしょうか
好きで別れた あなたに逢えた
この橋を渡れたら
棄てて悔いない ああ迷い川

好きだよと 拒むすべなく さしだす傘に
耳を染めても 不埒でしょうか
まわり舞台の 道行きならば
赦される 恋路でも
他人は指さす ああ罪の川

狂おしく 命しぼって 夜鳴く蝉は
何処で未練を 消すのでしょうか
息を殺して くるめく闇に
うたかたの 肌を焦がす
生きる縁の ああ幻想の川


6.花街の母

作詞:もず唱平
作曲:三山敏

他人にきかれりゃ お前のことを
年のはなれた妹と 作り笑顔で 答える私
こんな苦労に ケリつけて たとえひと間の部屋でよい
母と娘の 暮しが欲しい

いくらなじんだ水でも 年頃の娘のいる
左褄(ひだりづま)
住みにくうございます
浮名を流した昔もありましたが…
ああ あのひと
私を残して死んだ あの人を恨みます

厚い化粧に 憂いをかくし
酒で涙をごまかして 三味にせかれて つとめる座敷
あれが子持ちの芸者だと バカにされても夢がある
それはお前の 花嫁姿

女の盛りはアッという間です 若い妓の時代
もう私はうば桜 出る幕ないわ
でも もう少し この花街に 私を置いて下さい
せめてあの娘に いい花聟が 見つかりますまで

何度死のうと 思ったことか
だけど背で泣く 乳呑児の 声に責められ十年過ぎた
宵に褄とる女にも きっといつかは幸福が来ると
今日まで 信じて生きた


7.しのび恋

作詞:三浦康照
作曲:石中仁人

一つの傘を 二人で持って
人目をさける 雨の町
今夜はあなたを 帰さない
わがまま云って 甘えたら
きっとあなたは 困るでしょうね
炎えて悲しい あゝしのび恋

あなたの愛を ただひとすじに
たよって生きる 私です
いけないことと 知りながら
別れてくれと 云うまでは
たとえ地獄へ 落ちてもいいの
ついてゆきます あゝどこまでも

あなたの妻に なる日は夢ね
夢でもいいの 信じたい
夜明けの部屋に 残されて
涙を拭いて いたことを
きっとあなたは 知らないでしょう
辛さこらえる あゝしのび恋


8.風の追分みなと町

作詞:仁井谷俊也
作曲:蘭一二三

風の江差に 来てみれば
はぐれ 鴎が 波に舞う
あなたお願い帰ってきてよ
日暮れの海に名を呼べば
老いたヤン衆の 老いたヤン衆の 追分が
おんな泣かせる 港町(みなとまち)

あなた偲べば 鴎の島にヤンサノ-エ-
沈む夕陽も なみだ色

浜に埋もれた 捨て小舟
どこか私に 似た運命
ほろり落とした涙のなかに
やさしい笑顔浮かぶ夜は
海の匂いの 海の匂いのする 酒場で
吐息まじりの こぼれ酒

窓の向こうの 漁火は
女ごころの 命火よ
いつか逢えるわ あなたに逢える
浴衣につつむ 湯あがりの
燃える素肌が 燃える素肌が あの夜を
思いださせる 港宿(みなとやど)


9.湯の町椿

作詞:仁井谷俊也
作曲:南郷孝

かくれ咲きした 椿の花に
どこか似たよな 身のさだめ
いくら好きでも この世では
一緒になれない ひとだもの
炎えて悲しい… 湯の町椿

宿の浴衣に 羞じらいながら
酔ってあなたに 躰をまかす
離れられない ふたりなら
このまま愛しい 胸の中
いっそ散りたい… 湯の町椿

帰り支度の 貴方の背中に
次の逢瀬を またせがむ
悪いおんなと 云われても
誰にも渡せぬ 恋だもの
夢に生きたい… 湯の町椿


10.夢螢

作詞:菅麻貴子
作曲:深谷昭

季節はずれの 螢がひとつ
そっとあなたに すがって生きる
「春をください」 この手のひらに
闇にはらはら 舞い散る雪は
女ごころの 夢追い螢

少し遅れて うしろを歩く
そんな癖さえ ぬけない私
「明日をください」この手のひらに
あなたのために 尽くせるならば
遅れた春を 悔やみはしない

窓に積もった運命の雪も
やがて溶ければ 明日が見える
「夢をください」 この手のひらに
涙ひとすじ 夜霧に変えて
命を灯す しあわせ螢


11.無法松の一生(度胸千両入り)


12.金沢情話


13.夕照(せきしょう)の女(ひと)

作詞:平田まつみ
作曲:花笠薫

あなたがくれた真心に
捧げて悔いないこの命
どうせ散るなら誠の夢に
散らせてあげたい男花
京の都にそぼふる雨は
偲ぶ女の祈り雨

(セリフ)「総司さま 死ぬなんてそんな
気の弱いこといわんと…
あんたはんの志を 果たしておくれやす
それまでその命 私が 守り通してみせます」

この身で代われるものならば
あなたの病を背負わせて
願いひとすじとく黒髪が
未練の涙に絡みつく
夕陽悲しい病葉ひとつ
照らす女の高瀬川

(セリフ)「私はほんまに倖せどした
生まれかわってまた二人が巡りおうたなら
そのときはあんたはんの女にしておくれやす」

男の青春を駆けてゆく
背中の細さに泣けてくる
一目みせたい 夜明けの空に
移ろう明日の 曙を
燃えてせつなく心を焦がす
夏の終りの大文字


14.飛車角太鼓

作詞:松井由利夫
作曲:聖川湧

義理の二文字 袂に入れて
人情着流し 男の命
時に流れに 背きはせぬが
三州三河(さんしゅうみかわ)の 水鏡(みずかがみ)
昔恋しい なつかしい

三河大皷(みかわだいこ)は 男の意気地
浜の松風 ふところに
空の満月 道連れに
ぬいだ片肌 花が散る

切れた糸なら つなげもするが
無理に結べば しこりが残る
女なみだと 男のこころ
しょせん泥絵の 違い棚
背中合わせじゃ 夢はない

勝つも負けるも 虚しいものよ
どうせ人生 縁台将棋
仁吉ゆずりの
飛車角大皷(ひしゃかくだいこ)
音〆め区切は きっちりと
つけて男は 咲いて散る


15.情無(つれな)川


16.みちのく炎歌

作詞:石本美由起
作曲:聖川湧

今夜だけでも 愛されたいと
想う心が わかるやら
湯上がりのあなたに 羽織 着せかけて
夫婦きどりの 夢に酔う
女 女 みちのく いで湯妻

明日のことなら わかっているの
駅の別れが 待つばかり
粉雪の寒さを 避ける 夜の部屋
命朝まで あずけたい
お酒 お酒 みちのく いで湯妻

嘘になっても 怨みはしない
いつか 逢えると 誓ってね
その腕に抱かれて燃えて 知りました
恋のみれんを 切なさを
涙 涙 みちのく いで湯妻