紺碧の雙刃

陰陽座 紺碧の雙刃歌詞
1.紺碧の双刃

作詞:瞬火
作曲:瞬火

不破野の 空を 東より浪速へと 飛ぶ 鳥の影
糜爛の 雲を 迅雷と貫く 戦端の矢か

太閤 存命 三郎 起つ 合切 断滅 昇平ぞ来ん

其は 皆 無常人の群 繰り返す 諍乱も 果てぬ瑕も
和世の 礎業と 称える

紫紺に 混ざる 色褪せた碧の 月映えは黒
弥栄 然れど 穢土を成す丈 不惑の罰

風雲 急告 独眼 並む 噬臍 慚悔 焉んぞ 薨らぬ

其は 今 落人の夢 揺り返す 大乱も 病める雉も
無き世に 戻りて 手返る

天下人とて 手負いの猿 斬るも 墜すも 思いの儘よ
戦乱の後に 残った屑は 巧く拾えば お主のものぞ

其は 皆 迷い子の群 口遊む 大望も 志も
裄丈 千代への 供物と

嗚呼 無常人の群 繰り返す 諍乱も 果てぬ瑕も
和世の 礎業と 称える


2.蒼き独眼

作詞:瞬火
作曲:瞬火

戯(ざ)れに 縺(もつ)れし 糸(いと)に 箍(たが) 抄(すく)い取(と)られ
疾(と)うに 無(な)くした 神(かみ)の綱(つな)
只(ただ) 己(おのれ)を 懸(か)けて

抗(あらが)うは 穢(けが)れ無(な)き 守(かみ)の
真名(まな) 遺(のこ)す為(ため)
誓(ちか)いの 縁(えにし)で 遂(と)ぐ

降(くだ)るを 悔(く)ゆる 惑(まど)い
其(そ)は 武人(ぶじん)の 性(さが)
理(ことわり)も無(な)き 為置(しおき)なら
もう 情(こころ)は 要(い)らぬ

抗(あらが)うは 細(さざれ)なる 波(なみ)の
未(ま)だ 果(は)てぬ為(ため)
終焉(おわり)を 背(せ)にして 立(た)つ

差(さ)し零(あや)す 蹤血(はかり)の 鮮(あざ)やぐ
紅(くれない) 哉(かな)
運命(さだめ)の 証(あかし)

何(なに)も彼(か)もが 呑(の)まれゆく
望(のぞ)まざる 紮(から)げりに 只(ただ) 術(すべ)も無(な)く
覆(おお)うは 大牙(たいが)の 闇(やみ) 叫(さけ)びも 掠(かす)れど

曇(くも)り無(な)き 此(こ)の 蒼(あお)き 眼差(まなざ)しを
今(いま) 月(つき)に代(か)え
崎嶇(きく)など 斬(き)り捨(す)て 憚(はばか)る


3.醒

作詞:瞬火
作曲:瞬火

※醒めた蒼い月も直ぐに
後ろに在る故(から)
抱き締めた儘 銀(しろ)に染めて
霽(は)れた貌(かお) 斎槻(いつき)の直路(すぐじ)
一路に歩かば
唯 此の瞳(め)に映る
風に踊る田菜(たな)※

詞(ことば)を弄(ろう)しても 愛を騙(かた)っても
滲(し)み出す汚泥は 隠し切れない
無頼(ぶらい)を気取っても 悪を誇っても
捨てきれぬ 真心(こころ)

(※くり返し)

左様(そう) 己と向き合うことを
恐れ謀(たばか)る
何かを求むなら 瞳を見開いて

胸の臆(おく)で 睡(ねむ)る光
誰でもなく我を羽包(はぐく)んで

醒めた蒼い月も直ぐに
後ろに在る故(から)
抱き締めた儘 銀(しろ)に染めて
霽(は)れた貌(かお)で槻(つき)を潜(くぐ)り
一路に歩かば
未だ 此の瞳(め)に宿る
醒(めざ)め創(はじ)めた光を
止められない故(から)


4.塗り壁 (Live)

作詞:瞬火
作曲:瞬火

旅路を行くは一方の
畏れを知らぬ剛の者
七分過ぎたるその剎那
見る目敵わぬ巨大な壁が

上を下へと取り亂し
途方に暮れて立ち盡くす
明日の宵には山越えて
邑君の許著かねばならぬ

嗚呼 繫ぎ止めた明日が
音もなく遠ざかり
繰り返す遺響の囁き
想いは潰えたと泣くより
この身が朽ちる際まで 弛みなかれ
忌々しくもとぼとぼと
兵どもが夢の跡
諦むことも口惜しく
持ちたる杖で裾野を掃う

信じ難きやおとろしや
何時しか壁は消え入らむ
八方の手を盡くさねば
答えは出せぬ此の世はをかし

嗚呼咎認めたはずが
聲もなく立ち竦み
蒸し返す回向の玄き
想いは潰えたと泣くより
この身が朽ちる際まで 弛みなく
想いは潰えたと泣くより
この身が朽ちる際まで 弛みなかれ


5.月に叢雲花に風

作詞:瞬火
作曲:瞬火

謦(こえ)が囁いている
翳(かげ)りの淵は身悶える
時が轟(とどろ)いている
路傍の人は行き過ぎる

啓示の月が夢に舞う
一瞬の刻(とき)を
花に生まれて甘(うま)に咲いて
慶事の月が雨に啼(な)く
一瞬の刻(とき)を
雲に焦がれて風は凪(な)いで

末那(まな)が揺らめいている
滾(たぎ)りの韃(むち)は翻(ひるがえ)る
澱(おり)が蠢(うごめ)いている
返しの前に短(みぞ)くなる

啓示の月が夢に舞う
一瞬の刻(とき)を
花に生まれて甘(うま)に咲いて
慶事の月が雨に啼(な)く
一瞬の刻(とき)を
雲に焦がれて風は凪(な)いで

華やいだ虚飾の風の宿りから
雲の切れ間仰ぎ謳(うた)う

啓示の月が夢に舞う
一瞬の刻(とき)を
花に生まれて甘(うま)に咲いて
慶事の月が雨に啼(な)く
一瞬の刻(とき)を
雲に焦がれて風は凪(な)いで
啓示の月が夢に舞う
一瞬の刻(とき)を
花に生まれて甘(うま)に咲いて
慶事の月が雨に啼(な)く
一瞬の刻(とき)を
雲に焦がれて風は凪(な)いで


6.甲賀忍法帖

作詞:瞬火
作曲:瞬火

下弦の月が 朧に揺れる
夜を 包む叢雲
磔(はりつけ)られた 番(つが)う雛(ひいな)
絡める 非情の罠

嗚呼 今も燻ぶ
想い胸に 聢(しか)と宿らば (殲(せん))

水の様に優しく 花の様に劇(はげ)しく
震える 刃で 貫いて
宿命(さだめ)られた 涙を
瞳の奥 閉じても
貴方を 瞼が 憶えているの

無明の淵で 終焉(おわり)を待つ
私は 噎(むせ)ぶ身無し児
蹂み躙られた 尽(すが)る恋を
両手に 包んだ儘

もう 諍(あらが)えない 共に辿る
釁(ちぬ)りの黄泉路を (殲)

水の様に優しく 花の様に劇しく
震える 刃で 貫いて
宿命られた 涙を 瞳の奥 閉じても
貴方を 瞼が 憶えているの

水の様に優しく 花の様に劇しく
震える 刃で 貫いて
宿命られた 涙を 瞳の奥 閉じても
流れる 血潮 止められない

蜜の様に零れて 徒(あだ)の様に散りゆく
儚い 祈りを 掻き消して
宿命られた 二人を
葵闇が 裂いても
貴方と 揺蕩(たゆた)う 隠り世まで