黎明ロ一レライ

少女病 黎明ロ一レライ歌詞
1.古の殘骸

「淡い霧が立ちこめる、小さな湖の畔。
無數の墓標が佇む、朽ちた村。
死者に會えるとまことしやかに囁かれる場所。
死は語る。幾つもの物語を。
魂は謠う。辿ってきた生涯を。
私はここで確かめよう。
死の、先にあるモノを----」


凍える色彩に 思考搖らして
時間に置き去りにされる 不安が消えない
生きてる意味が見えなくて 痛みばかりが
飛びこんでくる息苦しくて
ただ日々は空虛に----
古の殘骸 凍りついた物語を
終わりまで ah... 紡いでゆく
溶けることないのを知っても

最期の瞬間は 孤獨でもいい
淋しい時ほど一人で いたいと願った
失うことが怖いほど 大切だった
關係こそを自らの手で
壞したくなるんだ----
古の殘骸 途方もない數の旋律
どこまででも 詩は續き
霧よりも色濃くなって……
殺したはずだった感傷の搖れを
ah... この場所にきて感じてる

この弱さも何もかもをすべて受け入れて
差し出される手を探してたんだ
その先に死があっても
古の殘骸 凍りついた物語を
終わりまで ah... 紡いでゆく
溶けることないのを知っても

「私は此處に住まう、唯一の生者。
見つけたいのは、答えか。戒めの鎖か。
死者達は遠い歌を奏でるだろう。
それは、黎明の旋律---- 」

「殘酷で優しい----死の殘骸」
「この痛みがやわらげばいい。
その手段が、生と死のどちらになっても……」


2.meaning of death

あれれ貴方ここで何をしてるの?
迷子なのかな? 泣きそうな顏して
キミの瞳はまだ生を宿して
ここに來るのは まだ先じゃないかな?

おいでなさい遊んであへるわ
ちょうど退屈してたし
教えてあげる
小さな玩具の箱をひっくり返せば ほら見てみて!
こんなたくさん語る價值のない ガラクタみたい。
そんなお話たち溢れてる
でもたまに煌々と光る物語があるの……

ボクの好みは滅びの物語
そこへと至る 過程が美しい
わたしが好きなのは 甘く散る戀
二人の戀物語と 重ねてみてしまう

ここには全てがあるのだろう
それは幻想を孕む
禁斷の果實
小さな玩具の箱をひっくり返せば ほらこんなに
哀れむほどの價值さえ持たない ガラクタだらけ。
そんなお話たち
掘り熾すことさえもされずに眠る物語もあった……

「ねぇ、遊んだらお家へかえる?
それとももう死んじゃう……?」

あの時迷い迂んだ 幼い兄妹 二人のように
死へと逃げだすことは 簡單なことさ
けれどそれは 明日でもほらできることなんだ
僕らには本當の意味の明日はもうこない
こうやって過去辿り 今も生きてるフリをして----

「誘う彼らは、この場所に飲み迂まれた存在。
弱く。弱く。愚かに。
認められぬ戀に醉い、未來を閉ざして。
けれど、退廢の向こう側にあったものは----」


3.黑雪姬

「光を通さぬ漆黑の髮。感情を閉じ迂めた昏い瞳。
國の唯一の後繼ぎとして寵愛を受けた彼女は、
心まで暗闇に染められているかのようで……
黑雪姬【Noire Neige】と呼ばれる少女は
誰にともなく問いかける。
'この國で一番美しいのは、だあれ?----'
答えを誤ることは、赦されない。從うことだ」

「生きて、いたいのなら」


誰もが囁くの あなたこそが
この國で一番美しいわ、と

だからねぇ----私よりも綺麗な存在なんて
あってはならない いらいなの
積み上げられた犧牲者達 罪深き 亡骸
夢見がちな黑雪姬【Noire Neige】
漆黑に赤い死の口紅を引く……
壞して…… 壞して ねぇ どんな悲しそうな
死に顏だって 燃やしてしまえば
明日にも忘れてしまうわ

咒われし忌み子と持て余され
黑雪姬は兩親に決斷させる

「あの娘は、咒われてる。
私たちのこの國を委ねることはできない」と
最後の刻は深い森で 淒慘な事故を
裝われて黑雪姬 その命若くして閉ざされる
「どうして…… どうして、 ねぇ? 一番美しい
私こそ誰より幸せになれる
權利を持ってるでしょう----?」

「もう一度 新しい子を つくりなおせばいいさ」と
失敗作は殺された
上邊だけでも愛注がれ 花のように育ち
碎け散った黑雪姬 死してなおどこまでも美しく……
ずっとずっと 永久の笑き誇ろう
少女の墓標 その周りには黑き花どこまでも廣がり
存在を誇示し續けるだろう

「新しく生まれた赤子は真っ白な髮に、
雪のような白い肌をしていた。
優しく朗らかな子に育ち、
いつしか白雪姬【Blanche Neige】と呼ばれるようになる。
よく晴れた日。少女は家族で森へ散策にと出かけた。
奇しくも黑雪姬が命を落とした墓標の近く。
白雪姬は、普段と變わらぬ優しい笑顏で兩親に問いかける」

「この場所で、また私を殺すの?
何度やっても無馱なのに----」

「時が經ち、少女はいつしか'魔女'と呼ばれる存在となる。
やがて國は滅び、その後には黑い花の笑き亂れる、
深く仄暗い森だけが廣がったという……」


4.魔法仕掛けのリゼッタ

人裡離れた地に安寧を求め
隱れるように生きていた二人

ah... 忙しげに 研究を續ける隱者
ひたすら苦しげに 眠ることも惜しむほどに
ah... その主人に 仕えるは魔法掛けの
少女の形した 精巧なる人形
魂持たぬツクリモノ
けれどそんな扱いを受けることなく
娘のように愛され 少女人形は主を支えていた

ふたりともに向かい合って過ごす
瞬間は多くないけど
食事の時間だけはたくさん話せた
一日の中特別なMemory
繪本を讀み意味がわからず開く
「愛とはなんですか?」
どんな疑問にさえも
丁寧に答えくれた主がはじめて戶惑う----
その言葉の意味はそれぞれ
人により異なるという
「リズにとって愛は?」 答えはわからずに……

「次の休日には、街に買い物にいこうね」
「主にそう告げられたリズ。
隱者が以前に休日をとったのはいつだっただろう。
それは遠い昔のことのようにさえ思えて。
それでも健氣に、
その日が訪れるのを待ち續けた----」

ah... 「僕にとっての愛とは、その人のために
何かを見返りなく 與えることなのだろう」
主は深い戶惑いを隱しきれず 懸命にそっと囁く
「たとえば、それは君の命吹き迂んだように」と

大きな手で撫でてもらうことは、とても嬉しいけど
その手に力はなく疲勞を感じて
支えきれない無力を咒った
なんのための研究かも知らない
無知で莫迦ば私
どこかへ連れていっれ、なんてこと言わない。
ただもう少し休んでくれたら----
考え迂む背中----そこに
寄りかかるだけではなくて
少しでも賴ってもらえる存在になろう……

ずっと根を詰めて休むこともせずに
沒頭した報いか
力盡きて倒れる隱者の寢顏は、
解き放たれたように安らかに……

「隱者の研究は、このままでは長くは持たず、
動きを止めてしまうかもしれない少女のためのもので----。
彼女に眠りと死の違いはわからず、
ただ主が起きるのを待ち續けていた……」

「こんなにゆっくりと眠ってくださるのは久しぶり。
お仕事が一段落ついたのかしら?
次の休日には、一緒に買い物にという約束。
その日も遠くないのかもしれない。
どんな服をきていこう。
わかった氣がした。
私にとっての愛とは、その日を待ち續けること。
ふたりで過ごす休日。きっと、素敵な一日になる----」


5.絕對零度

寒さに凍える 季節を問わず今も
男は孤獨に 一人膝抱えた

暖かさというものを 感じたことはなく
小さな震えは 眠るときでさえ止まらず

全て灰色でも 仕方ないと戒めていた
捨てられた僕には與えられぬ
ah... 何より遠いものだ...

ほんの行き遠い 些細な軋みから
他人の命を 奪い殺ってしまう

支え抱く體から 伝わり觸れる血は
はじめて感じる とても暖かな溫度で

「これが暖かさか」 恍惚から震えが止まる
暖かさと共にあると聞いた
'感情'とはこの想いか----?

數えきれないほど 多くの血を奪って生きる
自らの溫度と存在をも確かめてた いつしか
狂っていく感覺さえ麻痺して
緋の熱量 もうそれだけ唯求めて
ah... 彷徨いゆく

「その感情は、絕望の聲と共にあった。
壞れているのは、自分か、それとも世界か?
そんなことに興味はなかった。
欲しいのは、
震えをとめてくれる優しさだけ----」


6.I

華は散り續けた 紅い雫墮とし
拒絕の聲遠く 虛ろに消えて
いっそ壞してくれたなら樂なのに----

ah... 離さない...離れない...
穢れてく飽きるほど望まぬまま
戾りたい...戾れない...
そんな場所最初から失なって...
搖らされた...三日月の...
淡いその瞬きに照らされて ah...
眠りたい...眠れない...
早く濟ませて、眠らせてほしい

夜は塗り替えられ やがて色を消した
痛みは增すばかり 癒える餘地なく
私に飽きてくれたなら終わるのに----

ah... 淚さえ...流れない...
感情はいつの日か殺したから
終わりたい...終われない...
律動は激しさを失わず...
搖らされて...搖らされて...
何もかも、今はただどうでもいい
囚われた...この身體
洗い落とせぬ、刻まれた痛み

いつかここを拔け出せるのなら
行ってみたい場所が唯ひとつあるから……

憂いは傷口に飲みこまれて----

ah... 離さない...離れない...
穢れてく飽きるほど望まぬまま
戾りたい...戾れない...
そんな場所最初から失なって...
搖らされた...三日月の...
淡いその瞬きに照らされて ah...
眠りたい...眠れない...
瞳を閉じて祈っても屆かずに
淚さえ...流れない...
感情はいつの日か殺したから
終わりたい...終われない...
律動は激しさを失わず...
搖らされて...搖らされて...
何もかも、今はただどうでもいい
囚われた...この身體 誰も助けてなどくれない
樂になれる日はくるの……?

「慾望で著飾った終わりなき夜。
捧ぐことを強要された日々。
逃れられぬ極彩色の宴。
これが現實。變えようのない殘酷なREAL」


7.rectitude

「過去にあった事故の後遺症から、
余命幾許もない女性。
目の見えない彼女が
唯一自由に出步ける廣い庭園。
いつものように木々の聲に耳を傾けていると、
輕やかな青年の歌聲が耳に飛び越んできた。
彼は幾つもの國を旅する旅人で、
森から繫がるこの庭園に
迷い迂んでしまったのだという」

「ごきげんよう、美しいお孃さん。
よろしければ、このまま續けても構いませんか?」

靜かな庭園 その中だけが彼女の
想像の及ぶ とても小さな鳥籠のよう
目の見えぬイヴ 夢見るのは 遠い外の世界
たった一步が踏み出せない
恐怖が消せずに……

「もし君が心晴れるというなら、
いくらでも求むままに
旅でみた幾つもの物語 君へと歌うよ」
目的なく旅をしてきたけれど
あどけなく微笑むイヴ
ah... 世界巡り君を見つけた。
この出會い運命だと思えるから----

「君に世界を見せよう。時には歌で、時には言葉で。
見えないなんてことはないさ……。
いくらでも描けるだろう?
今、君の頭の中に廣がったもの。それが、世界だ」

彼女の屋敷で、新たな季節迎えて
いつしか二人は 心確かに惹かれあった
「私のために旅をやめてここにいてくれるの?」
不安隱せず問う彼女に 笑って答える

「もし君が一緒に行くというなら、
もう一度旅するだろう」
でもねほら思うんだ。
ここにきてイヴに出會うため
僕に旅をしてたのかもしれない
だからずっと傍にいて
君のための歌、歌い續けよう。
季節が何度變わっても----
二人に殘されてる時間は多くないと知っても……
閉ざされた庭園で、婚約を誓い支え合った

「けれど、イヴに最期が訪れるのは
あまりにも唐突だった」
「あなたの優しい聲が好き。
柔らかな笑顏で歌ってくれていたのでしょう」

「イヴはそういって、視力をなくしたまま
青年の顏をみることも葉わずに
この世を去ることを嘆いた。
青年はただ落ち迂んだ。
やがて、旅の途中で聞いた物語を思い出す」

「どこかにあるという'死者に會える場所'
そこにいけば、きっともう一度イヴに會える」

「まだ、聞かせたい物語は無數にある。
ずっとずっと、
鄰で寄り添っていても足りないくらいに----」


8.もしも世界に答えがあるなら

「どれだけ探し步いたのだろうか。
その場所に辿り著くまでに巡らせた想いは、
きっと彼女と過ごした時間を何倍にも
增幅させていて。
でも、ようやく見つけだした。
刻を止めたこの場所。
あの頃と變わらぬ美しい姿----」

セピアの霧は神聖な 再會に相應しく思えて
濁って見えてた視界が光を探しあてた
この時を信じて何度命を斷つことやめたのだろう
何も變わらず美しい 後ろ姿抱いた
聽かせてあげたい物語 あれから隨分增えて
あの頃と同じようには、歌ってあげられないけど……

聲が枯れても、想いは枯れずに
屈さぬ鋼の決意を 消さずに燃やし續け
二人の距離を ah... 取り戾して……

長い時を經て變わった
僕の聲に彼女は戶惑い
病氣でもしたのですか、と優しく氣遣う
語ったあげたい物語 それより大切なこと
二人のこれからの長い 人生創っていくんだ

もしも世界に答えがあるなら
この愛こそが穢れなき 微かな曇りもない
死さえ踏み越え ah... 搖るがぬモノ……

「彼女は肉體を失った影響か、
僅かながらも瞼に光を感じることがあるという。
'この包帶をとって世界を見るときは、
あなたとともに----'
そう語る彼女の表情はまるで少女のように輝いていて。
その言葉は旅してきた茨の道を。時間を。
全ての苦勞を忘れてしまうほどに何よりも嬉しくて……。
'やっとあなたの顏をみることができる'
振り返り僕の顏をみたイヴは、訝しげに問いかける」
「あなたは……誰?
私の知っているあの人じゃ、ない----」

「理想化され、彼女の中では
まだ若い姿でいるはずの青年はそこにはなく。
いるのはただ衰え、くたびれた老人だけ。
數十年という途方もない年月は、
生きた側にだけ殘酷に流れていた」
「私の前からいなくなって。あなたなんて、知らない」

もしも世界に答えがあるなら
最期にはどうか救いを 刻んで殘してほしい
それが噓でも ah... 偽りでも
もしも世界に答えがあるなら
優しいものだと信じて 步んできた旅路は
脆く碎かれ、意味をなくした

「老人は嘆き絕望し、
何も語ることなく自らの命を斷った」

「さようなら。僕の愛したイヴ」

「本當の彼はいつきてくださるのでしょう。
ずっと、いつまでも待ち續けますわ……」
「イヴはそう玄き、冷たい瞳で
老人の屍を見下ろしていた----」


9.蒼穹に向けた透明な彈丸

「蒼穹の聲。夜は遠ざかる----」
脆く崩れる 手向けの聲は夜に飲まれ
終わりが視える前 消え失せてた
心囚われ 立ち上がれなくなりそうでも
新たな過去に埋沒を 繰り返して
時の果て夜の底 綺麗な場所ばかりではなくて
けれど瞳はずっと逸らさずに 刻みつけてた

引き金を引け 無音のまま鎖を壞せ
ベクトルの向かう先に何かがある?
悴む心 傷に沁みて弱さに泣いたって
突き刺さるEpisodeにしがみついた

哀れな死者の 最期を覗きこんだことで
自分が少しでも 救われたか?
そんな氣持ちで すべてを俯瞰してみたけど
ただ情けなくなるばかり 聲にならず
自らと向き合った 枯れない悲しみは消えぬまま
けれど瞳はずっと逸らさずに 扉を開けた

引き金を引け 無機質なScenario破り
ベクトルの向こう側に光がある
燻んだ過去は なくなることないからいつまでも
それさえも刻みこんで進んでゆく

生きてるなら、誰しも痛みがある
ah... けれどそればかりはないから----
時の果て夜の底 綺麗な場所ばかりではなくて
けれど瞳はずっと逸らさずに 刻みつけてた

引き金を引け 無音のまま鎖を壞せ
ベクトルの向かう先に何かがある?
悴む心 傷に沁みて弱さに泣いたって
突き刺さるEpisodeにしがみついて----

「虛無の中にある光。その先に生まれる可能性。
透明な言葉。 奈落の歌。
誰もが痛みを抱えている。
誰もが不安を抱えている。
黎明の旋律は、少女を優しく包みこんで----」


10.Lorelei

「死者に會えると言われている場所。Lorelei。
幾多の魂の歌が生を羨み慈しむ。
先に進むか、踏み留まるか。
決めるのは自分で、正解なんてなかった」

言葉ではどんなに 語られたとしても
浸透しない幻想があった
覗きこんだ闇には確かなる聲が
虛無を包んで 夜に歌いかけてた
行き場なき彼らの 求めてたすべては
手に入らずに 同じ場所でただ
響きあって留まり續けるのでしょう
氣付かないまま ずっと迴り續けて----
罪も愛も花も穢れも、'生きて'いるから
重く深く感じられてた
聲も歌も日々の祈りも、'生きて'いたから
その息吹蒼く淡く屆いてた
----ねぇ、聽いてLorelei

世界の果ては ah... もっと私に近いモノだと
思っていたよ ねぇ
痛みから解放されたいと望んでいたのに 苦しくて
ah... もっと自らの物語を輝かせたくなる
凍りつかせるならもう少し生きて ah...
みたいって思えたの

「どこへ逃げたって、この痛みは……消えない」
響く歌優しく この終わりの場所で
見てきたすべて刻み迂むように
深くみえた闇はもうすぐ傍にあって
ひとつひとつが 鈍く輝いていた
自分でいつか縛っていた
見えない鎖はもういらない、だって
私はまだ'生きて'る。物語は續くから----

世界の果ては ah... もっと私に近いモノだと
思っていたよ ねぇ
痛みから解放されたいと望んでいたのに 苦しくて
ah... もっと自らの物語を輝かせたくなる
凍りつかせるならもう少し生きて ah...
みたいって思えたの……

「死の先にあるモノ。それは、きっと繰り返し再生される生。
望まずとも卷かれ鳴り響く自鳴琴のように。
魂は喪われることなく渦卷いていた。
痛みも喜びもそのままに。確かな物語となって……」

「----君が出した答えは?」