臥龍點睛

陰陽座 臥龍點睛歌詞
1.靂

作詞:瞬火
作曲:瞬火

此の霆が 翼を毟り
燃える大地の
知方と代える
言葉を無くした醜い奴も
痛みを知らない穢れた我も
生命の在處を違わぬ限り
無形の力が其處に現れる
(破れる)
璞の霙の中
光る稻魂よ 搖り起こせ
軀を 魂を

其の嚴つ靈は渾てに滾る
萌える大地を
確と照らした儘
行き場を無くした
小さき者も
妒みを知らない哀れな彼も
生命の在處 疑わぬ限り
無稽の力が其處に現れる
(破れる)
璞の霙の中
光る稻魂よ 有理を超せ

稻魂よ 搖り起こせ 軀を
魂を 此の世を 渾てを


2.龍の雲を得る如し

作詞:瞬火
作曲:瞬火

冥雲(くらくも)を 切り裂いて 霹靂(かみとき)が 山池(さんら)を撃ち抜く
穿(うが)たれた 其(そ)の廬(いおり) 軈(やが)て來る 上天(じょうてん)の刻(とき)が

冴え渡る心(うら)に 生命(いのち)よりも 確かな響き
此(こ)の手にそっと 握り締めて放つ 蒼(あお)き瞬(またた)き

叢雨(むらさめ)が 闇を剝(す)く 濡らすのは 熟(いき)れし 萬骨(ばんこつ)
點(とも)された 其(そ)の睛(ひとみ) 時は満つ いざ駆けよ大駕(たいが)

澄み渡る天(そら)に 維(い)の血よりも 遙かな兆(きざ)し
此(こ)の手でぐっと 手繰(たぐ)り寄せて放つ 蒼(あお)き赫(かがや)き

剎那(せつな)に昇る 皇(すめ)の魂を 今渾(すべ)ての 輩(はい)に分かて
幾度(いくど) 倒れても 甦(よみがえ)る為(ため)に

澄み渡る天(そら)に 生命(いのち)よりも 幽(かす)かな願い
此(こ)の手にずっと 繋ぎ止めて離す あまき羽撃(はばた)き

剎那(せつな)に昇る 皇(すめ)の魂を 今渾(すべ)ての 輩(はい)に分かて
幾度(いくど) 倒れても 甦(よみがえ)る為(ため)に

剎那(せつな)に染める 神鳴(かみな)る光よ 今渾(すべ)てを 包み籠(こ)んで
折(おり)しも雨が 其(そ)の淚(なみだ)と成り
渾(すべ)てを 愁(うれ)いて 天(そら)へ


3.彷徨える

作詞:瞬火
作曲:瞬火

彷徨い乍らも飧らう
迷いも惑いも要らぬ事
其れは蓋し
人の懾理の所業 飧らえ

樟から轉げた木魅
其の場で煮やして犬の味
其れは寧ろ
人の原始の鼓動 飧らえ

丸で後ろ向きな
屁理屈よりも

堅肉なれど
萎る甘草なれど 餓えば
餬口の夢
悴む時も
日照り茹だる時も
誰もが糧を巡る
飢える我らは飧らう
戰もせずとも只 飧らう
其れは寧ろ
人が生きたる証 飧らえ

丸で的外れな
似非愛護など

堅肉なれど
萎る甘草なれど 餓えば
餬口の夢
悴む時も
日照り茹だる時も
誰もが糧を巡る

今日も彷徨える
明日も彷徨える
何時も彷徨える
永久に彷徨える
誰も彷徨える
彼も彷徨える
彷徨い乍らも
(飧らえ 飧らえ 飧らえ
飧らえ 飧らえ!)
堅肉なれど
萎る甘草なれど 餓えば
餬口の夢
悴む時も
日照り茹だる時も
迷わず 普く 其の口で
糧を飧らえ


4.甲賀忍法帖

作詞:瞬火
作曲:瞬火

下弦の月が 朧に搖れる
夜を 包む叢雲
磔(はりつけ)られた 番(つが)う雛(ひいな)
絡める 非情の罠

嗚呼 今も燻ぶ
想い胸に 聢(しか)と宿らば (殲(せん))

水の樣に優しく 花の樣に劇(はげ)しく
震える 刃で 貫いて
宿命(さだめ)られた 淚を
瞳の奧 閉じても
貴方を 瞼が 憶えているの

無明の淵で 終焉(おわり)を待つ
私は 噎(むせ)ぶ身無し兒
蹂み躪られた 盡(すが)る戀を
兩手に 包んだ儘

もう 諍(あらが)えない 共に辿る
釁(ちぬ)りの黃泉路を (殲)

水の樣に優しく 花の樣に劇しく
震える 刃で 貫いて
宿命られた 淚を 瞳の奧 閉じても
貴方を 瞼が 憶えているの

水の樣に優しく 花の樣に劇しく
震える 刃で 貫いて
宿命られた 淚を 瞳の奧 閉じても
流れる 血潮 止められない

蜜の樣に零れて 徒(あだ)の樣に散りゆく
儚い 祈りを 搔き消して
宿命られた 二人を
葵闇が 裂いても
貴方と 搖蕩(たゆた)う 隱り世まで


5.不知火

作詞:瞬火
作曲:瞬火

遙かに 海面を臨みて
靜かに
瞼を閉じれば浮かぶ
もう泣かないで 其の手
離して
眩れ初む 虛空に焰が
仄めくから

遙かに 前世を悔いるも
靜かに
現世の熾火が搖れる
そう言わないで 風に話して
眩れゆく 風の邊を
見詰めた儘
燈る 赤く 搖れる
ゆらゆらと搖らめく
幻の漁り火が
海原を染めてゆく
若しも辿り著けたら
此の身を灼いて

燈る 赤く 搖れる
ゆらゆらと搖らめく
燈る 赤く 搖れる
ひらひらと閃く


6.鬼ころし

作詞:瞬火
作曲:瞬火
編曲:瞬火&陰陽座

鬼殺し(おにごろし) (好(よ)い)
てやてやてや (よいやんせ)
鬼ころし (醉い)
てやてやてや (よいやんせ)

半殺し(はんごろし) (しょい)
しなはんな (てやてやてや)
鏖(みなごろし) (こなぁ)
そげなことすなや (こらえんぜ)
覺(さと)れ 鬼を滅ぼし
貪(むさぼ)る明日は
噫(ああ) 人が殘りて
此(こ)の世は鬼で滿ちる

鬼殺し(おにごろし) (好(よ)い)
てやてやてや (よいやんせ)
鬼ころし (醉い)
てやてやてや (よいやんせ)

捨(す)て殺(ごろ)し (しょい)
しなはんな (てやてやてや)
飼(か)い殺(ごろ)し (こなぁ)
なにしよるがらな (こらえんぜ)
覺(さと)れ 人を憎まず 罪を憎まば
噫(ああ) 鬼が殘りて
此(こ)の世は軈(やが)て朽(く)ちる


7.月花

作詞:黑貓
作曲:招鬼
編曲:瞬火&陰陽座

風に煙(けぶ)る月の
光に搖らめく
姿を化(け)す花は
水鏡(みずかがみ)に映(うつ)ろう

聘(あと)えど反初(かりそ)めなら
千代(ちよ)への糸を紡(つむ)ぎ
人ならぬその身を
永久(とわ)に笑けと祈る
唯(ただ) 想いは清(さや)かに肌を染めて
散り初(そ)む命の 定(さだ)めと知る
溢(あふ)るる淚(なみだ)の
雫(しずく)に搖れ
露(つゆ)の戀に 散るひとひら

禁(いさ)めの戀ならば
其(そ)の手に手折(たお)られ
後世(のちせ)は二重(ふたえ)にと
月讀(つくよみ)に乞(こ)い願う

軀(むくろ)は滿つる闇に
花へと還(かえ)ろうとも
此(こ)の腕を棺(ひつぎ)に
夜を裂いて詠(うた)う
唯(ただ) 想いは清(さや)かに肌を染めて
散り初(そ)む命の 定(さだ)めと知る
溢(あふ)るる淚(なみだ)の
雫(しずく)に搖れ
露(つゆ)の戀に 散るひとひら

唯(ただ) 想いは清(さや)かに肌を染めて
散り初(そ)む命の 定(さだ)めと知る
溢(あふ)るる淚(なみだ)の
雫(しずく)に搖れ
露(つゆ)の戀に 焦(こ)がれ消ゆるとも

弓張(ゆみはり)の月が 圓(まろ)む樣に
散り逝(ゆ)く命が迴(めぐ)るのなら
朝明(あさけ)に水沼(みぬま)の
畔(ほとり)に笑き
巡り逢(あ)える今一度(ひとたび)


8.蛟龍の巫女

作詞:瞬火
作曲:黑貓
編曲:瞬火&陰陽座

嗚呼(ああ) 渾(すべ)てを
愁(うれ)いて 天(そら)へ昇り行く
龍(りゅう)の面影(おもかげ)は
彼(あ)の蛟龍(みずち)の儘(まま)
微笑(ほほえ)みに宿した
引き留(と)む想いを
搔(か)き消す雨風(あまかぜ)
躊躇(ためら)いは偽藥(ぎやく)

幽遠(ゆうえん)の裁きの下(もと)に
滅び逝(ゆ)く我らを 救う者

永久(とわ)に行き掃す
人の過(あやま)ちの潮(しお)
贖(あがない) 其(そ)れすらも 被(かぶ)せて
殉(とな)ふ 淨潔(じょうけつ)は
責(せ)めて 餞(はなむけ)の印(かね)
纏(まと)いし 巫(かん)の衣(きぬ)を
染める 光よ

褪(あ)すまで 守り繼(つ)ぐ
回生(かいせい)の綱(つな)を
弊(つい)える寸餘(すんよ)に
解き放つ 任(まけ)を
我が旨(むね)に窶(やつ)した
人々の虛禮(きょれい)
萬古(ばんこ)の泉が
懈怠(かいたい)を暴(あば)く

悠遠(ゆうえん)の墮胎(だたい)の如(ごと)き
驕(おご)り吳(く)る我らを 燃やせ

永久(とわ)に行き掃す
人の過(あやま)ちの潮(しお)
贖(あがない) 其(そ)れすらも 被(かぶ)せて
殉(とな)ふ 淨潔(じょうけつ)は
責(せ)めて 餞(はなむけ)の印(かね)
纏(まと)いし 巫(かん)の衣(きぬ)を
染める 光よ

優婉(ゆうえん)な焰(ほむら)の如(ごと)く
滅び逝(ゆ)く我らを 灰にして

永久(とわ)に行き掃す
人の過(あやま)ちの潮(しお)
贖(あがない) 其(そ)れすらも 被(かぶ)せて
殉(とな)ふ 淨潔(じょうけつ)は
責(せ)めて 餞(はなむけ)の印(かね)
纏(まと)いし 巫(かん)の衣(きぬ)が
朱(あけ)に 染まりて
天(てん)を仰(あお)げ 滿ちる
肅清(きよめ)の威光(ひかり)
崇(あが)めし 鈍(なまくら)は 狂(たぶ)りて
唱(とな)う 救濟(すくい)など
渾(すべ)て 砂上(さじょう)の樓(やぐら)
寄り臥(ふ)せ
此(こ)の星を飧らい
迴(めぐ)る 生命(いのち)よ


9.組曲「義経」~悪忌判官

作詞:瞬火
作曲:瞬火

賽の河原に 打ち捨てる
誓いを染める 白旗
裂ける血汐 闇に啼いて
錯誤を匕とす

伽藍堂の正義と
現世(このよ)の渾てを
呉れてやる 此の悪の力で
代価(かわり)に 愛の証を呉れないか

眩く満ちる朝と
苟且(かりそめ)の天(そら)を
呉れてやる 此の夜の力で
帷(とばり)を 染め往く 白

西(さい)の彼方に 押し寄せる
祈りを込める 白浜
哮(たけ)る肉(しし)を 闇に投いで
覚悟は一つと

伽藍堂の正義と
現世(このよ)の渾てを
呉れてやる 此の悪の力で
代価(かわり)に 哀の言葉を呉れないか

眩く満ちる朝と
苟且(かりそめ)の天(そら)を
呉れてやる 此の夜の力で
帷(とばり)に 散り逝く 赤

昏(くら)き み空は
心まで 癈(はい)に堕ちる
赤い膿も 白い衣も
黒き傲りに澱み

伽藍堂の正義と
現世(このよ)の渾てを
呉れてやる 此の黄泉の力で
代価(かわり)に 燃える最期を呉れないか

眩く満ちる朝と
苟且(かりそめ)の天(そら)を
呉れてやる 此の愛の力で
幾瀬も 栄ゆるは 黒


10.組曲「義經」~夢魔炎上

作詞:瞬火
作曲:瞬火

剝き出しの骨を
爪で つと搔き裂く
虛ろなる病みの
睡り醒ます樣に
抑えられない
欺瞞の棘が
此の身を刺す
謀を 張り巡らして

世に仇なすのが惡
其れを誅するが正義
有事には再び
その天地が返り
畢竟、私は今、惡か
何かを果たし乍ら
誰かに疏まれ
叫びは返す返す
明かりを 探し求めて
望みは漂うだけ
凍える
哭が今消えゆく
風に千切れて

無明の睡りに
疲れ 迷い 誰そ彼る
失意の韜晦
冥き星を數えて
盞に浮かぶ花弁
深い闇に搖蕩う
胸に宿る火の鳥は
何時の日か雁になる

柘榴になり果てる
己の頭に
群がる埋葬蟲は
兄の面をしている
殺めた數だけ
愛を手に入れると

無間の奈落も
一躍に跳べると

髑髏に口付ける
虛榮の猿は
そ知らぬ素振りで
誰が為に唄う
殺めた數だけ
穢に塗れていると

無間の奈落に
真逆に吞まれると

嗚呼徒に
一縷の陽を求めても
嗚呼一向に
異鄉の地に
轉びて落ちる

渾ては渾ては
一族の名を賭して
渾ては渾ては
亡き御父君の誇りを賭して
犯した不文律も
罪科も
殺めた命さえも

あなたと新しい時代の
理想鄉の為だというのに

もうよい、默れ
詭弁を弄すな
政れぬ虎よ
我は今、
汝という夢魔を
燃やす

振り仰いだ
鈍色の空に
刻が夜を連れてくる

激よと交わす言葉も
明る色を失ってゆく
もう逃れられぬなら
此處で果てるとも
只其れで此以上
離れないのなら
抱き寄せて
抱き締めて
抱き留めて もう一度
束の間の別離でも
曇らさぬ樣に
愛されぬ相舞えぬ
相生えぬ もう二度と
惑う夢の中に彷徨う
聲にならぬ嗚咽を
白い雪が嗤う

拔け拔けと舞いおって
命乞いのつもりか
されど子は別じゃ
後の憂いとなろう
殺してしまえ

何故このような
慘い仕打ちを

己が命を取られた方が
增しで御座います
ああこの子だけは
あの人に抱いて欲しかった
お許し下さい
もう逢えませぬ

望みは漂うだけ
傲れる
嶺が今 移ろうまで
其處に降る雨は
躊躇うだけ 凍える
哭が今消えゆく
風に千切れて


11.組曲「義経」~来世邂逅

作詞:瞬火
作曲:瞬火

咲き後れた 白い花が
薄紅に染まる
帰ることのない誰かを
待ち焦がるように
立ち止まった道の端に
常闇(とこやみ)が迫る
往く宛のない わたしを
縛り付けるように

誰にも 毀れる 月の雫
止める 術が ないのなら

あなただけが 宿した
光を亡くして
わたしは只
拭えぬ痛みを 抱いて
胸に残る 枯れない
悲しみを消して
静かに 罪を泣くの

忘れかけたあの日に
擱いてきたあなたに
もう一度 逢いたい

あなただけが 託した
想いを遺して
わたしは只 震える瞳 閉じて
胸に残る 枯れない
悲しみを消して
静かに 来世(つぎ)を待つの


12.我が屍を越えてゆけ

作詞:瞬火
作曲:瞬火
編曲:瞬火&陰陽座

真っ白な光の飛礫(つぶて)
騷めく響動(どよ)めくの調べ
高らかに揭(かか)ぐ其(そ)の手に
掛け替えぬ喜びを 抱いて

末(ま)だ誰も知らない 無敵の歌を
そう 轉びながら
手負(てお)いながら 探している故(から)
努(ゆめ) 忘れないで 今の燃える火を
また 迴(めぐ)る時も
熱い魂(こころ)のまま
だけど 僕らが若(も)しも 倒れたら
屹度(きっと)願う 迷わず
此の 屍(かばね)を越えて

真っ直ぐな睛(ひとみ)の礫(たぶて)
ときめきと煌めきの調べ
朗(ほが)らかに舞う掌に
迸(ほとばし)る魂を 摑め

もう忘れられない 素敵な歌が
そう 彼所(あそこ)じゃなく
其處(そこ)でもなく
此處(ここ)に存る故(から)
努(ゆめ) 忘れないで 今の燃える火を
また 迴(めぐ)る時も
熱い魂(こころ)のまま
だけど 僕らが若(も)しも 倒れたら
屹度(きっと)願う 迷わず
此の 屍(かばね)を越えて

もう離れたくない 異鄉(いきょう)の町で
そう 詰(なじ)られても 飽きられても
聲の限り 歌いたい故(から)
努(ゆめ) 忘れないで 今の燃える火を
また 迴(めぐ)る時も
熱い魂(こころ)のまま
だけど 僕らが若(も)しも 倒れたら
屹度(きっと)願う 必ず
我が屍(かばね)を越え 明日へ